UnityのIPO申請書からビジネスモデルを読み解く
ゲーム開発エンジンで有名なUnityは、今年8月に新規株式公開(IPO)の申請書類を提出しました。275ページ以上にわたって、これまで一般に公開されてこなかった財務情報を開示しています。今日はこのIPO申請書から、Unityのビジネスモデルを読み解いてみましょう。
Unityはどこでお金を稼いでいるのか?
まず、Unityの売上高について。Unityの2019年の収益は5億4,180万ドル(約570億円)。前年比42%増と、すさまじいスピードで成長しています。
Unityはゲーム開発エンジンが有名なので、ゲーム開発エンジン利用料が主な収益源だと思われるかもしれませんが、実際にはUnityの売り上げの3分の1しか占めていません。
では、残り3分の2はどこで稼いでいるかというと、2014年に設立された「Operate Solutions事業」です。どんなことをしているのか、英語が分からなくても雰囲気で分かる良いビデオがあるので張っておきます。
ビデオからも分かる通り、Unityはゲーム開発エンジンだけでなく、Unityで開発したコンテンツの収益化もサポートしているのです。具体的には、アプリ内広告、アプリ内課金、ユーザー集客、滞在時間を増やすためのソリューション等を、Unity Ads、Unity IAP、VIVOX、deltaDNAなどの名前で提供しています。
IPO申請書によると、アプリ内広告のビジネスモデルはレベニューシェア(revenue share)です。ユーザーが広告をクリックしたり、広告先サイトで商品を購入するなどのアクションが発生した時点で、広告収入の一部がUnityに渡ります。
Unityは、ゲーム開発エンジンを提供する一方で、アプリの広告枠をとりまとめて広告代理店のような事業を展開しており、むしろこっちがメインの収益源なのです。
携帯ゲームやPCゲームの50%以上がUnityを使って開発され、毎月30億件以上もダウンロードされています。すべてのアプリ開発者が収益化を望むわけではありませんが、これらを束ねることができるUnityは、巨大な可能性を秘めているといえるでしょう。
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