三郎。
ドリルです。
僕が 小学生の時 三郎という同級生の男の子がいました。
四人兄妹で三郎………ふーん…なるほどなって感じです。
三郎は 少し色黒で坊主頭、眉間にホクロがあり 正に絵に描いたようような三郎でした。
恐らくあなたが 想像する 三郎で 間違い無いでしょう。
そんな 三郎の得意技は 雲梯(うんてい)という梯子を横にした様な遊具の上を手放しで 走り駆け抜ける事でした。
こんなやつです。
こんなやつの上をまるで 猿回しのお猿さんの様に見事に駆け抜けていきます。
本当に 凄かったので みんな「三郎やって!三郎やって!サーブローウ!!サーブロウ!!」と囃し立て三郎にやってもらいます。
そんなみんなの声援に三郎は 得意になって雲梯の上を走り抜けます。
その時です!
「三郎くん!そんなんしたら 危ないでしょ!」
担任の山口先生が見ていたらしく その危険な猿回し的秘技を注意しました。
山口先生の恐ろしさは こちらの記事で紹介しています⤵︎
三郎もYAMAGUCHIのガード不能な超必殺技を目の当たりにしているので恐怖ですくみ上がってしまっています。
「三郎くん!あんな危ない事2度としたらあかんで!」
恐怖で心を支配されている三郎は 首を縦に振るしかありません。
そうして、山口先生が去った後 三郎は 少し寂しそうに 帰ろうとしました。
しかし、どこからか また、あの声援が聞こえてきます………
「……ロウ………ァーブロウ………サーブロウ……
サーブロウ!!サーァアブローウ!!!」
みんな 三郎の走りが見たいんだ!!
僕も合いの手を入れる!
「サーブロウっ!!」
「ハイッ!!」
「サーブロウッ!!」
「アッヨイッショ!!」
「サーブロウっ!!」
「サーブロッ!サブーロッ!サーブロッ!サーブウォッ、ウォッ、ウぉっ、ウォッ!!」
会場のテンションが最高潮に 来た時 三郎は 助走をつけて雲梯を駆け上がる!
「うぉぉおおおおお!!!」
三郎が叫ぶ!
三郎は雲梯の上を まるで空を駆け抜けるように、1歩!2歩!3歩!
そして、4歩目の足を出したとき………
『グシャワン!!』
はさまった!!
心に迷いがあったせいか 三郎が 挟まった!!
猿も木から落ちる!
いや、三郎が雲梯から落ちる!
しかも、雲梯の棒で強烈にアゴを打ったせいで アゴからドボドボと血が出ている!
「おい!三郎!サブロー!!」
「痛いィィ!痛いぃぃい!イタイィィイイ!!でも…
先生には 言わんといてぇえ!先生にだけは いわんといてぇえ!!」
「わかった!わかったから!取り敢えず帰ろう!家まで送るから!」
「う、うん……イタイィ……イタイよぅ。」
それから 三郎の家まで 肩を貸して送っていき 三郎のお母さんに事情を説明して 、
「僕らが囃し立てたんがいけなかったです。すみませんでした。」
と一応謝りましたが、
「ホンマに アホやなこの子はっ!」
と、頭を叩かれ 更に追い討ち攻撃を喰らう。
結局 三郎は アゴを三針縫い 膝や腕を数ヵ所 打撲していたぐらいでそこまで 大事に至らなかってのですが 三郎のお母さんと話をしていて衝撃的な事実を知りました。
なんと、三郎は…………
次男だったんです!!!!
この話の本当度 100%
これを聞いた時 僕は 後頭部を大ハンマーでどつかれたようなインパクトをうけました。
三郎がアゴから血が出てるとか もう どうでもよくなってしまいました。
そして、三郎の秘技は 永遠に封印されました。