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【コトダマ004】「ケアが他者への気づかいであるかぎり・・・」

ケアが他者への気づかいであるかぎり、そこは必ず、意外性があります。自分の計画どおりに進む利他は押しつけに傾きがちですが、ケアとしての利他は、大小さまざまなよき計画外の出来事へと開かれている。この意味で、よき利他には、必ずこの「他者の発見」があります。

伊藤亜紗編『「利他」とは何か』p.55

伊藤亜紗さんの文章ですが、これ、深く頷けるものがあります。

やはり支援者としては、支援や相談をスタートするときは、あまり予定外のことが起きてほしくないと思ってしまいます。
でもあまりにも「予定通り」でモノゴトが進むと、それはそれで不安になる。何か見落としているのではないか、ご本人の意向と違う方向に無理やり進めてしまってるんじゃないか、と思ってしまうんです。
実際、こちらが「思い通り」のケアが提供できたと思っている時に限って、後からとんでもないトラブルやハレーションが起きたりするんですよね。

そういうケアは、伊藤亜紗さんによれば「押しつけ」だったんです。
押しつけでないケアは、思いがけないことが起きるのが「当たり前」。
でもこれは、「だったら支援者はノープランで臨めばいい」ということではありません。
アセスメントは必要。プランニングも必要。なぜなら、こちらが立てた予測と実際の動きがズレたときに、はじめてそこにその人の本質であったり、本当の課題が見えてくるからです。

そう考えると、ケアというのはなんとも因果なものですね。
でも、だからこそケアは面白い。そう思いませんか?

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