腐女子は実は少数派？女性向け同人事情

「男性向け」「女性向け」と分類するのは時代遅れかもしれませんが、２つの界隈ではルールや規範に大きな違いが存在します。

確かに一般に男性向けとされる美少女コンテンツを嗜む女性も多いですし、女性向けと言われているBL創作を行う男性作家もいます。男女双方のキャラが混在する大手コンテンツに至っては、男性向けとも女性向けとも言えないでしょう。

ただ双方でルールが違うため、「郷に入っては郷に従え」を遵守しないと、荒らし扱いされることもあります。

時代遅れを承知していますが、便宜上「男性向け」「女性向け」に分類した上で両者の違いを考察していきましょう。

男性向け同人事情についてはこちらの記事を参照

女性向け界隈の中でも腐女子は今なお「異端者」

🤓「女性のオタクと言えば腐女子だ」

😍「ホモが嫌いな女子はいません！」

このような誤認をしている人はいまだ多いですが、腐女子は少数派です。

ソース：調査で女性の５人に１人はBL好きであることが判明(にじめん)

BLを好む腐女子が大勢力を築いている一方、ノマカプを好む女性も多いですし、少女漫画のような二次元の世界に自己投影し疑似恋愛するタイプの夢女子も多いです。百合を好む女性だってそれなりいるでしょう。

夢女子は、腐女子ほどにはSNSでコミュニティを作らないので大きな勢力には見えないかもしれませんが、潜在的に夢女子はかなり多いのではないかと思われます。

「夢女子」って何だ？という人はこちらを参照(ちるちる)

少女漫画がそうであるように、昔から女性誌や乙女ゲーの本流は「自己投影を前提とした夢女子向け」であり、それは現在でも変わっていません。腐女子はあくまで異端者の立場であり、隔離される側であり続けています。

中には腐女子であることが公言して人気を得ている人もいますが…

女性向けは自衛と棲み分けの文化

夢女子、特にガチ恋勢にはBLを嫌う人が少なくありません。「わたしの推しキャラをホモ扱いすんな！😠」という人もいて、そのため掲示板などでBLネタが出ると激しく荒れます。

そもそもカップリングネタ自体が大荒れ必至であり、専用のコミュニティ以外の場所ではカップリングの話題はタブーとされています。

界隈が荒れまくるとコンテンツが衰退してしまうので、秩序維持のために互いに棲み分けをする慣習があるのが女性向け界隈のルールです。

棲み分けというのは、たとえば「刀剣乱舞」のBL創作をPixivに投稿する場合、以下のように「刀剣乱腐」タグを付けて、版権名の「刀剣乱舞」タグ及びキャラ名はあえて付けないという手法が取られます。

参考：棲み分けとは(pixiv百科事典)

Twitterにおいても、BLの創作物を堂々と投稿すると、「腐は地雷だからやめてくれません？🔪🔪🔪」ってフォロワーでもない人から絡まれる可能性があり、自衛のためにあえて検索に引っかかりにくいよう配慮する腐女子作家は多いです。

また、腐女子の傾向として公式でBLとは言い難いものを二次創作でBLにするのを好む人が多く、むしろガチのBLゲーは大手になりにくいと思います。

公式で明確にBLとは言い難い「ユーリ!!! on ICE」「刀剣乱舞」「ヒプノシスマイク」「あんスタ」「アイナナ」「ツイステ」「うたプリ」等のほうがBLの二次創作は盛んです。

つまり言えば、女性向け大手コンテンツは腐女子と夢女子が同居しやすく、それゆえ二次創作を投稿する際は棲み分けが要求されます。そうした事情を理解している公式側も「BLに偏り過ぎず、逆ハーレムに偏り過ぎず」としているコンテンツは多いです。

女性向けではありませんがジャンプ作品のような少年漫画でもBLの二次創作は盛んです。しかし、少年漫画の男性読者はBLに興味のない人が多く、そうした環境をBLの二次創作で埋め尽くすのは界隈荒らしと見做されるため、やはりBLの二次創作は棲み分けするのが鉄則になっています。

続き：スルースキルが試される男性向け界隈

(注釈)

「刀剣乱舞」における審神者や、「あんスタ」における転校生などのような二次創作上のキャラが版権キャラとカップリングになったり、逆ハーレムになるような作品は夢創作と呼ばれている。こうした夢創作の文化は女性向けのあらゆるコンテンツ上で見られるが、好き嫌いが割れるためBLと同様に棲み分け対象になることが多い。

参考：夢向け(Pixiv百科事典)

ノマカプであっても捏造カプの場合は棲み分け対象になる。クロスオーバーや性転換ネタも棲み分け対象になる。