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やっと引退できました
こちらで書くのは遅くなりましたが2021年6月19日、後楽園ホールで行われたNKB(日本キックボクシング連盟)興行内で引退試合を行い、2016年6月1日以来5年ぶりの勝利でキックボクサーとしてのキャリアを終えることができました。
自分はもともとNKBとは縁もゆかりもない選手で、そんな自分に対して引退試合という場を設けてくれたマッチメイカーの竹村さんを始め、NKB関係者の方々本当にありがとうございました。
そして現役王者にも関わらず7連敗中の僕の対戦相手を引き受けてくれた蛇鬼選手、本当にありがとうございました。
上記のように自分は5年間勝ち星無し、7連敗中、しかもその全てがKO負けでした。
それでもずっと試合のために練習など面倒を見続けてくれたPHOENIXの先生、仲間、マネージャー達
ずっと応援し続けてくれた人達
その期間に知り合って、応援してくれるようになった人達
そういう人達になんとか最後に試合で、そして勝つ姿で感謝を表したいと思いました。
でも本音を言えば、正直もう辞めるって決めた上で試合をするというのはキツイと思ったし、やりたくなかった。
今までだってずっと勝つつもりでやってきて、それでも7連敗。
怪我も増えて、自分の納得いくパフォーマンスすらできていない。
キャリアを重ねるにつれて徐々に育った自信なんてもう木っ端微塵。
今回やったってまた不甲斐ない試合になってしまうんじゃないか?そんなイメージばかりしてしまう。
それでもケジメはつけたいと思いました。
自分の好きで始めて、自分の好きで続けてきて、それなのに応援してもらって
だから辞めるときだけは自分勝手にしちゃダメだって、そう思っていました。
また試合前の記事でも書きましたが、僕が選手としてここまで諦めずに続けてきてきたのは、自分が憧れた人達のように、試合を観た人達の心を動かしたいと思い続けていたからでした。
それができるのが今回の試合だと。
試合6日前にも自分が大好きで憧れ続けた梶浦由記さんのライブがあり、行きました。
選手として行くライブは最後なんだと勝手に感慨深くなっていました。やっぱりライブで受け取るものを消化しているのは選手としての自分だったから。
今までに行ったライブとか、その時々の自分のことだったりを色々思い出しているうちに、駆け出しの頃から今までの自分の歩みというものを俯瞰して見れた感じになりました。
そうしたときに
あれ?俺って意外とがんばってきたんじゃないか?
と思えました。泣けてきました。
そしてライブに行き始めた頃はこの人たちの100分の1でも1000分の1でも良いから人の心を動かしたいと思っていたのが
この日のライブ後は俺にだってできるはずだと思えていました。若干自分を奮い立たせてる感はありましたが。
負け続けて自信が無くなったと思っていたけど根本のところの自信というものはちゃんと育っていたんだなと気がつくことができました。
またそういうことに気がつくことで、良い意味で「今度の試合で勝とうが負けようが大差ない」と思えてきました。
それは世界的にとか大きな意味だけではなく自分の人生においてでも、です。勝っても負けても人生は続いていくし、自分で良い経験にしていけば良いと。そう考えて少し楽になりました。
それでも試合当日も緊張感はいつも以上にありました。緊張で足がフワフワした感じになり、いつもウォームアップをすると大体落ち着くのですが、アップを終えても変わらない。
でもそういう自分のこともまた俯瞰して見れていて、リングに上がる頃には落ち着いていました。
(お客さんがみんなそっぽ向いてるのが気になります)
そして試合開始。
落ち着いて考えられている反面、やはりどこか不安を感じながら闘っていました。
ここ最近の負けてきた試合と同じ感覚。
そんなことあるの?って思われるかもしれませんが、どこか自分から負ける方向に向かっていってしまうような、そんな感覚。
負けに引き寄せられる自分と、それをなんとか食い止める自分の二人がいるような感覚でした。
今回作った自分のTシャツの“DEFEAT MYSELF”というフレーズは、そういう弱い自分を打ち負かしたいという意味をこめていました。
最終第5Rが始まるときにまさにそのフレーズを思い出しました。Tシャツ作っといて良かった…。
結果的には大差の判定勝ちでしたが、自分の感覚としては綱渡りでした。
感情溢れちゃいます。
(金的で悶絶してるシーンではありません)
元REBELS山口代表からREBELSのベルトをプレゼントをプレゼントしていただくサプライズも
(NKBなのに良いのかな?なんて会話をしました)
マイクでも言いましたが
ただただ皆にもう一度勝つところを見せたいという気持ちだけだったので、それができて嬉しいです。
特に近年は上手くいかないことばかりでした。
15年前キックボクシングを始めた頃の自分は輝かしい未来の姿を思い描いていたと思います。
それとはまったくもって程遠いキックボクシング人生だったと思いますが
この15年、そんな青い自分が思い描くことすらできなかったような嬉しいことだってありました。もちろん悔しいこともたくさんあったし、信じたくないような悲しいこともありました。
今は、そういうもの全部ひっくるめて、他の誰でもないこの僕自身の人生を走ってくることができて心の底から良かったと思っています。
これからも、人生の最後の瞬間にもそう思えるように生きていきたいと思います。
試合後、色んな人から感動したって言ってもらえて、最後にちゃんと試合をして本当に良かったと思っています。
泣いたって言ってもらえるのも嬉しいです。泣かせたくてやってきた、みたいなところあるので。
続けてきたことを完全に肯定してはいけないかなと思うんですが(これはまた書きます)、この5年の苦労も全部報われました。コロナの影響もあり引退も延びてましたが結果的に良かった。
本当に今までありがとうございました!今後の人生にも期待。