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ひと月経ってもゴールデンカムイ展のことが忘れられない

ゴールデンカムイ展に行くためだけに、京都に行った。
全話無料キャンペーン。これがゴールデンカムイとの出会いだった。そう、もう原作は最終回直前だった。慌てて期間内に読んだが、結局最終回後に全巻買うのだから無料キャンペーンも馬鹿にならない。
京都展は平日にも関わらず整理券をもらい、2時間後くらいに入れた。
とても良い展示会だった。ああいう場所に行くと、仲間がたくさん居てそれだけでほっこりしたり、満足度がある。
壁に飾られた美麗原稿とともに、原作に出てきたものがレプリカとして展示されていたのは本当に魅力的だった。
「京都文化博物館」との空気も似合っていた。アイヌのものや軍服、作者の私物、銃などが飾られているのが、本当に漫画の中のキャラクターたちが実際に生きていたかのような感覚に陥るのだ。
モデルになった人物の実際の新聞の切り抜きなど、本当にどれだけの取材力と知識で描かれたものなのか、考えると鳥肌が立った。
「チタタプ」の食品サンプルもあった。作った人はなにを思って作ったのだろうか。
夢中で撮影した。
そう、この展示会。大ボリュームなのだが、8割は撮影オッケーなのだ。スマホがめちゃくちゃ熱くなる。
展示品の横にちらっと書いてる作者コメントも面白く、正直一回ですべてを見るのは大変だ。画像データをあとでゆっくり見て、何度笑ったことか。
カラー絵の展示場所は壮観だ。前の列にカメラを構えた行列ができていた。あれはやはり、会場で見てほしい。

終盤の2割が撮影禁止なのだが、そこは最終章の名場面原画などが飾られている場所だ。みんな足を止めてじっと見入る。涙が出てきて、感傷的な気分で展示を終える。
出口が見えてくる。物販コーナーだ。
ああ、終わってほしくないなぁ。でもいい展示会だったなぁ。よくまとまっていて、キャラクターみんな満遍なく見せ場があって、ファンもライト層も満足できて、空気が澄んだ北海道の山の中を思い出すかのような、爽やかな展示会だった。
そう、その時までは思っていたのだ。

出口付近で、客の皆が遭遇する、アレを見るまでは。

みな、間違いなく立ち止まる。アレの存在感に圧倒される。
感嘆の声が上がる。
「わぁ……?」
その瞬間、色んな感情が生まれる。
ゴールデンカムイとは、いったい何だったのか。
展示会のラストに問いかける。
ある者は、疑問を隠せず「なんやろこれ…」と言い、ある者は、笑いきれず失笑のような声を出す。
しかし個人的には、とても納得したのだ。
コレがあってこそゴールデンカムイじゃないか、と。

それと同時に「まだだ。まだ私はゴールデンカムを、野田サトルをまったく分かっていない……」という思いが沸々と湧いてくるのだ。

アレとは、言ってしまうと野田サトルの描き下ろしなのだが、もう描き下ろしの域は完全に超えてしまっているというか、ものすごい絵が飾られているのだ。
野田サトルはアレについて読売新聞で「ちょっとでも見た人が笑ってくれれば」とコメントしてるのだが、誰がどう見ても、そんなちょっとしたものではない。
魂がこもっている、そんな表現しか思いつかない。いや、愛か。愛なのか。

あの日の京都から、寝ても覚めてもあの絵のことを考えては、泣いたり笑ったり、頭を抱えてしまう毎日だ。
詳細を語るのは展示会が全国で終わってからにしよう。
しかし、最後の絵を見るためだけに入場料を上乗せしてもいいと思うほど、アレはインパクトを残していた。
あの絵は、今後何年も、しっかりと厳重に保管してほしい。
ルーブル美術館が、あの絵買い取りたい、と野田サトルに言いに来るまでは。

金カム展、迷ってるなら行くべきだ。
東京、京都が間に合わなかった人は、福岡、北海道まで行きましょう。

そして万全な体制でアニメ四期を迎えよう。


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