菓子かごを揺らすバランス
理由もなくうっすらとずっとしんどい状態が続いている。人と話すときは無理やり明るくしているので話し過ぎた後に後悔の念が俺を襲ってくる。ここ二年くらいは精神状態が比較的安定していたのかもしれない。とうっすらしんどい毎日が続いて、ようやく気づいた。
しんどい時に鬱っぽい曲を聴いて楽になっていた精神だったが、最近はそれも通用しなくなってきていている。というか俺の好きだった音楽が俺だけのものではなく、一般的に鬱な時に聞くと心が落ち着くとかダウナーな時に聞くと良いという人がいっぱいいるっぽいと知ったからかもしれない。俺は音楽を聴いて一人になりたかったのに、なんか知らん鬱っぽい顔している奴らが鮨詰めになっている部屋にいたのだ。
俺は別に同じものを好きなやつと会いたかったわけじゃなかったんだなと気づいた。結局誰にも会いたくなかったのだ。理解してもらえると思っていた訳でもないし、そもそも同じ音楽好きな人間に会ったことがなかったから想像できていなかっただけだ。音楽の話なんてしたくない。ツイッターで俺が好きなバンドをネタにしている人を見るたびにため息が出る。ネット向いていないな俺と思ったりする。
俺にとって大事なものが誰かにとってオモチャであるという可能性はどんなことにだって有りえる話だ。ただ俺にとって本当に大事だったものが最近何だったかはっきり言い表せない。そのバンドを語ることで言い換えられているつもりだった自分の気持ちは、どこにでもありふれているような言葉だったのかもしれない。茶化されるようなものなのかもしれない。だからこそ俺は曲を書かなければならない。義務的な話ではなく。自分の気持ちを自分の言葉で探す必要があるのだ。
不幸自慢してくるやつの話を聞くのはもううんざりしている。俺は俺が大事にしていることを確かめて、俺は何に不満を抱いているのか。誰かに共感してほしいから書く訳でもなければ、ましてや誰かを励ますために書く訳でもない。ただ俺は自己満的に俺が書きたいことを探している。
10代の頃俺は何に不満を抱いていたのか。現在も同じ不満に近いものを抱いているような気もするし、昔より許せないことが増えてきたようにも思う。人間的な成長は著しく止まっている。よくないことかもしれないが、向き合ってみる必要がある。
菓子カゴを揺らすバランス