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2008東京進出→見事に挫折


(写真は当時の八島・ミッドタウンにて)
六本木ストーリー
第1話 
「六本木店 オープン‼️」

よし!東京で勝負しよう!
と、専務の掛け声から全てがはじまりました。
その当時は、
まさに機は熟した!とみんなが思っていました。

前原店→天神店→上人橋通り店→もつ鍋八兵衛
とすべてが順調であった当時。
私達に怖いものなんてなかった。
一通りの失敗も経験し、全てが完成形で、成功の定義は我が手中にありと。
八兵衛スタッフの誰もが成功を信じて疑わなかったと思います。

当初は専務が1人スタッフを連れていって20坪以下の小さなお店からスタートするはずでした。
専務はかねてより天神店スタイルのお店にこだわっていたからです。15坪でもよかったのです。
場所は、銀座のはずれや築地界隈など2.5等地をさがしていました。
専務は東京で八兵衛を拡張する。
私は福岡でバックアップする。そんな図式でした。

しかし、
2年たっても出店のメドがたたずに焦っていました。

そんな時あるビールメーカーさんの紹介で六本木の地下に物件があるから見てくれないかと。
38坪!
広すぎる!
家賃高い!
まず第一声でした。
しかし、2年あまり東京に何度も何度も行っては断られ。
何十軒と申し込んでは断られの繰り返しでもう疲れ果てていました。
精神的に限界だったのです。

ここに申し込んでダメならあきらめよう。
もう、東京なんて終わりにしよう。
いや、もう終わりにしたいという気持ちが強かったのかもしれません。

こんないい場所で審査に通るわけない。
でも、やれるならやってみたい。そんな気持ちもあったのは確かですが。

専務やスタッフにそう言って申し込んでみたのです。

数日後、まさかのOKでした。
小躍りして喜びました。
やった!勝った!
歴史なんて一晩で変わるもんだ!やれる!
そう信じていました。

六本木でやるなんて夢にも思っていませんでした。
当初のイメージは
銀座か渋谷などの街はずれ
人通りはまばら
けど、夜になるとお店は満席。
そんな感じが理想でしたし、それ以外は考えられませんでした。

いくら自信があったって…
ここは、世界的な街 ROPPONGI

そして、2008.12.12
八兵衛六本木店
Open!

市松・英人  えんや・けんじ

(オープンには同門の兄弟弟子たちが駆けつけてくれました)

しかし、六本木はまさかのリーマンショックでガラガラのもぬけの殻でした。
開店のお祝いにきた人々が心配してくれました。
「リーマンショック前なら沢山儲かったのにね」
「大変な時にオープンしましたね、でも大丈夫ですよ」
そして、次々と六本木のクラブや名店が閉店していくという恐ろしい光景を目にしました。



しかし、まだ自信はありました。
あの前原の人がいない町での17年間にくらべたら絶対ましだろうと。
とにかく人がいるとこで商売させてくれたら負けるわけないやん!と。
福岡から八兵衛の精鋭たちを6人ほど連れての戦いです。
これほど自信があったお店はなかったです。

しかし、その目論見は見事にはずれるのです。

つづく

六本木ストーリー
第2話
「誤算」

やっとのおもいで入居できた物件は、

六本木、
地下一階、
38坪、

天神店スタイルは到底できない。
上人橋店スタイルで高客単価を狙うしかないと店作りをしました。
だから、専務だけでなく、私や多くのスタッフを連れて東京へ乗り込んだのです。

しかし、お店を作るのに予想してた予算の倍近くがかかってしまいました。
銀行に再融資をお願いするという事態に。
最初の誤算です。

もうすでにピンチでしたが。。。。
まだ、余裕があったと思います。
しかし、その余裕が消えるのに2カ月もかかりませんでした。

12月オープンでしばらくはオープン景気でなんとかいい売り上げで
「よし、いけるぞ!」
好感触を得ていました。

しかし、東京の都心部は福岡と違って正月に人が消えるのです。
いつまで待ってもお客様は帰ってこられません。
休みが長いのです。
今でこそ六本木は正月や夏休みでも人通りが沢山ありますが、リーマンショック後の当時は人影がまばらでこれが東京か?!と疑わんばかりの光景でした。

翌年の1月からは売り上げが落ち続け、ほぼノーゲストの日々もありました。

何よりも博多の焼とりがウケなかったのです。


ブタバラ(塩・タレ・味噌)

「ブダバラ?!
は?そんなのガード下とかで焼くもんだよ。笑」
「港区でそれはないやろ…」
「ちゃんと鳥焼けないのかよ、鳥だよ鳥!」
「ネギマないんだ。博多にネギはないの?笑」

何よりまいったのは
「は?なにやってんのよ!キャベツのうえに焼とりおかないでよ!」
キャベツのうえに焼とりをのせるというスタイルがお客様の逆鱗にふれたのです。

福岡で当たり前のスタイルがウケない。。。。
お客様にとって良かれと思ってることが逆効果になる。
まさかの出来事でした。

初めて東京のお客様に恐怖を覚えたのはこの時です。

「いったい、どけんしたらよかとかいな…
何してもお客様を怒らせてしまう…」
散々な批評、酷評…
お客様が来られても、サイドメニューを少し食べて帰られる。
焼とりが売れずによく捨ててたのを覚えています。

お客様を不快にさせてしまう博多の焼とり…
まったく焼とりが売れない…

2番目の誤算です。

つづく

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