読書は高尚な趣味じゃない
という言葉が苦手です。そんな話。
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まさに今日「読書は決して高尚な趣味じゃない。コスパもいいし、あんなことやこんなことができて楽しいよ(※要約)」というツイートを見ました。
今回目にしたツイート以外にもたまに見ます。読書が好きな人が発信する「読書は決して高尚な趣味じゃない」という類のツイート。
ちなみに「高尚」の意味を『新明解国語辞典(第五版)』で調べたところ
だそうですが、ここでは「読書なんてそんなご大層な趣味でもなければ立派な趣味でもないんだよ!」程度の意味で使われているんだと思います。多分。
この手のフレーズを見るたびに、性根がひねくれている私は思ってしまうのです。「読書に興味がない人間は、別に高尚だから本を読まないんじゃないんだよ」と。ただ「本を読む」という行為に興味がないから読まないだけだよ、と。
だって「筋トレはみんなが思うほど立派な趣味じゃないよ! スクワットやプランクなんて身体ひとつでできるからコスパもいいし、体型も維持できる! 基礎代謝も上がるし、ホルモンバランスもよくなって、メンタルヘルスにも効果的!」なんてツイート見たら、筋トレ好きな人以外は「私が筋トレやらないのは『自分如きが趣味としてやるには、筋トレはあまりにも格上、立派すぎる……』と思ってるからじゃねーよ」って思いません? 「ただ単に筋トレに興味がないだけだよ」って思いません? 少なくとも筋トレに興味がない私は思います。
念のために言っておくと、筋トレそのものを否定しているわけではありません。割れた腹筋や膨らんだ力こぶを見ると「うおっ、すごい!」と思います。日々筋トレに励んでいる人の肉体がどんどん引き締まっていくのを見ると「すげぇ! かっけぇ!!」と思います。ただ、私自身は筋トレやりたい! と思わないだけです。
「読書は決して高尚な趣味ではない」という言葉が読書好きから発せられるのを見るたびに「むしろ読書を好む側の方に『読書には少なからず知性と教養が必要な高尚な面はあるよね……ただ、日頃読書をしない人が思うほどは高尚なものじゃないのよ?』という上から目線が無意識の内にあるのでは?」とひねくれた見方をしてしまうんだ。私は。
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と、ここまで屈折したことを書きましたが。私がこんなことを考えるのは、私の周りに「読書している=高尚、頭がいい、クソ真面目」と思っている人がいなかったせいが大きいのだと思います。
読書が好きな友達が多かったのもあります。教室で毎日違う本を読んでいる友達もいれば、あの分厚くて重いハリー・ポッターシリーズ(※ハードカバー)をわざわざ学校に持ってきて読んでいる友達もいました。
更に私の周囲にいる「架空の物語を読んで何が面白いのかよくわからん!」という人も、興味がないなりに読書を「娯楽の一種」程度にしか見ていませんでした。本を読んでいる人を見て「高尚」だの「クソ真面目」だの言ってくる人に、私はついぞ会ったことがありませんでした。
「『読書は高尚な趣味じゃない』って、なに当たり前のこと言ってるんだ! そんなことを思うのは、お前が心のどこかで『読書は高尚な趣味』って思ってるからだろ!!」
そんな意地悪なことを思ってしまう自分は、もしかしたら「読書好き」として恵まれた環境にいたのかもしれません。
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