
第1回 精油の香り成分 構造式入門
・はじめに
精油の勉強をしていると構造式の壁にぶつかる方が多いと思います。
多くの精油に関する書籍では、化学知識の学習が前提とされるため、ハードルが高くなっているように感じられます。
私が知人や同僚に説明する際は、まずは構造式を見慣れてもらうことから始めています。そんな感覚でnoteを作ってみました。
(著者は国内外の香料会社で10年以上、天然香料、合成香料の研究・品質保証に関わってきました。)
・構造式を見慣れるメリット
香り成分の構造式は、人でいうと姿かたちと言えます。
人はまず見た目で印象を受け、どういう人かと想像します。
姿かたちを見ないで、親しみを感じるのは非常に難しいでしょう。
香り成分の構造式=姿かたちも、一見すると色々なことがわかります。
香り成分でも視覚情報から得られる情報は意外と多いです。
例えば、どんな匂いがしそうか、香りは軽そうか・重そうか、どのような効能がありそうか、などなど。
構造式の読み取り方をやさしくお伝え出来たらな、と思います。
・さっそく見慣れていきましょう
まずは一緒に香り成分の姿かたちを見ていきましょう。
読んでいただくだけでも大丈夫ですし、
余裕があったら紙に構造式を書くと慣れやすいです。
さっそく始めていきましょう!
①リモネン
有名な精油例:オレンジ、グレープフルーツなど柑橘系全般

精油の香り成分は全てが炭素と水素という元素から出来ています。
それぞれ炭素はC、水素はHの元素記号で表されます。
CとHを一つ一つ書くのが面倒なので、棒線で書かれます。
➁リナロール
有名な精油例:ラベンダー、ホーウッド、コリアンダー

棒線だけだったところにOHが加わりました。
Oは酸素の元素記号、Hは水素の元素記号です。
このように炭素と水素以外の元素が入っていると、その部分だけアルファベットで記載されます。
③メントール
有名な精油例:ペパーミント、ウィンターグリーン
メントールはガムなどにも配合されている成分です。

リナロールと同じくOHがあり、酸素が含まれていることが分かります。
実はこのOHのことをアルコール基と呼びます。
④エタノール
アルコールと言えばお酒、つまりエタノールですよね。
香り成分と呼べるか微妙ですが、エタノールの姿かたちはこんな感じです。
非常にシンプルで小さい。

一般的にはアルコールと言えばエタノールと言われるほど代表的です。
実はエタノールはアルコールの中の1つです。
そしてリナロールもメントールも、アルコールの1つです。
対して、一番はじめのリモネンは炭化水素の1つです。
炭素(C)と水素(H)だけからできているから炭化水素、そのままですね。
炭化水素にアルコール基(OH)がつくとアルコールになります。
まとめると以下のような感じです。
香り成分はいくつかのグループに分けることができます。

今回はここまで!
次回も香り成分の姿かたちから見ていきましょう!