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【短編小説】音のない夜

【朗読】音のない夜


SNSの通知音すべて切った

みんなの幸せそうな姿

幸せそうな言葉が溢(あふ)れてるから

ソレを見せつけられるから

自分との差に苦しむから

自分を責める原因になるから

だから自分から距離を置いたのだ

嫌いになりたくないから

妬みたくないから

攻撃したくないから

だから自分から離れた

こんな日に限って電話とLINEもない…

静かな静かな夜

音ない夜

シーンと静まりかえる部屋に

冷蔵庫の頑張る音が響く

ゴウーン… ゴウーン

隣りの家の玄関トビラを開け閉めする音が、やけにデカく聞こえる

ギー バタン

たぶん慣れてないだけ

音のない生活に

ネットの繋がりがほとんどだったんだなぁと改めて思い知らされた

とりあえず窓を開けてタバコに火をつける

自室の窓を開けると目の前に月が見えた

今まで 気づきもしなかった

ずっとスマホばかり見てたもんな

月を見ながら、 タバコを吹かし
ぼーっとしていると…

あの人は どうしてるだろうか

この人は今ごろ、 どう思ってるだろうか

そんな事を考えてしまう自分がいた

なんの為にシャットアウトしたんだかと呆れてしまう

この生活に慣れた頃きっと私はココロ穏やかになっているだろう

寂しさを乗り越えれば、きっと良くなる

静かな静かな夜

音がないわけじゃない夜

自分から望んで作り出した夜

新たな一歩を踏み出した夜

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