【短編小説】愚痴れる幸せ
夜の風を浴びたくなった
窓をあけると三日月が笑っていた
「しんどくなったら連絡してね♪」
ってさ…
スマホ見るのさえ しんどい時は
どうしたらいいのさっ…
電源を朝と晩に入れ 即、切る
その状態になって1ヶ月近くなる
だけど寝る前は、きちんと残量を
見るんだよな
ほとんど減ってないのに充電したりしてさっ
皆んなさ 愚痴や不満もあるだろう
だけど それを呟いたり
表(あら)わせるだけマシなんだよっ
三日月は笑い続ける
ブツブツ独り言ほざく ぐらいなら
素直に呟けばいいじゃん
って言いたいのかよ…
お前も迷惑だよな
こんなオレの しょーもない愚痴を
聞かされてさっ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
オレは1ヶ月ぶりに呟いてみることにした
『愚痴れるだけ まだマシなんだ
愚痴れることが幸せなんだよ』
♪ピロンっ♪ピロンっ
通知音が しばらく続いた
久びさに聞いた音
「おかえり」と言ってくれてるように
聞こえた
オレは 声をあげ泣いた
相変わらず三日月は笑ったまま
オレを見下ろしていた