【3人(男2:女1)声劇台本】いわく付きの肖像画
あらすじ
街外れの画廊には "いわく付きの肖像画" があった…
男2(又は不問2) :女1
人物紹介
・ボク
男性(不問) 一人称や口調は変更✕
記者
ト書き、ナレーションもボクが読んでください
・主=店主
男性(不問) 一人称や口調は変更✕
画廊の店主
年齢は お好みの年齢で
・少女
女性︎︎ ♀
実は魔女
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街外れに ひっそり佇む画廊に
" いわく付きの肖像画 "と言われている絵が飾られていると情報が寄せられボクは取材に訪れた
主
「いわく付きの絵は あるにはありますが… あれは見ないほうが貴方の身の為ですよ」
ボク
「あるのならば見せてはもらえませんか?
ボクも記者の端くれです!
覚悟は出来ています」
店主は うなずき店の奥へと案内してくれた
その絵画は 飾られてはいるが
黒い布が かけられていた
主
「布を取りますが…少女と絶対に
目を合わさないで下さいよ」
ボクは目線を下げ 少女の肖像画を見た
真紅のドレスを身にまとっていた
ボクは真紅のドレスが気になって
目が離せなかった
ワインレッド?いや この色は血の色に近い
油絵の具と言うよりは直接、血を塗り重ねたような そんな感じに見えた
少女と店主は 言っているがボクには
わからなかった
はたして少女なのだろうか?
どんな顔をしているのか?
どんな目をしているんだろう?
ああ 確かめたい!!
そう思って視線を上にやろうとすると
主
「いけません!」
と店主に止められた
ボク
「あっすみません…つい 興味が湧いてしまって… 」
主
「危ないところでした。
もう、この絵のことは忘れて下さい。
記事にも、そのような絵は存在しなかったと書いてください!!
危険なんです!!」
ボク
「はい…わかりました」
ボクは 画廊を後にした
出版社に帰る間 ずっと ぼんやりとしていた
店主に言われた通り「そんな肖像画は無かった」とデスクに告げた
その日から あの画廊の肖像画のことが気になり悶々(もんもん)とする日々が続いた
店主の言葉も気になっていた
なぜ 目を合わせては いけないのか?
そんなに魅力的なのだろうか?
少女
「ねえ アナタ 」
えっ?!なに 今の
少女
「アナタに話しかけているのよ」
誰 ?!どこにいるんだ??
少女
「ワタシはエレーナ♪
アナタに会いに来たの。
アナタの頭の中や心を通じて」
ボクは驚きはしたが怖さはなく逆に喜びを感じた
少女
「ねえ、今度は会いに来てよ」
ボク
「でも、店主に見つかったら大変だよ」
少女
「大丈夫よ。今夜なら彼は居ないわ 」
そう言い残し彼女は 消えた
ボクは深夜 画廊に向かった
店の鍵は 空いていた
不用心だなぁ
まあ そんなことはどうでもいい
早く 彼女に会いたい
少女
「ここよ!」
ボク
「会いたかったよ エレーナ」
ボクは 彼女の顔を見た
色白と言うよりは 少し青ざめた顔
だけど、とっても美しい少女だった
少女
「ワタシも会いたかったわ♪
ねえ ワタシの目を見て お話して」
ボクは 迷いなく彼女の目を見つめた
ああ 吸い込まれそうだ
海のように深い深い青
ボク
「とっても綺麗だ」
少女
「ワタシと一緒になりたい?」
ボク
「もちろん!キミと一緒になりたい」
少女
「ありがとう♪
それでこそ妾(わらわ)が認めた餌」
ボク
「え?! 餌だって!!」
…… エレーナぁぁぁ…」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
主
「(息を切らしながら)遅かったか…」
少女
「そのようね」
主
「最初から彼を狙っていたんだな」
少女
「ふふっ そのようね」
主
「もう 終わりにしよう …エレーナ」
少女
「嫌よ」
主
「キミは 絵に封じ込まれても魔力は健在だな。さすが魔女だ」
少女
「そんな お前は、ずいぶん店主が板に付いたわね。魔女狩りさん」
主
「その呼び方は やめてくれないか…
キミに惚れてから…魔女狩り稼業は捨てたんだ」
少女
「ふふふ♫妾の下僕(しもべ)これからも頼むぞ」
主
「なあ… 私は、もうじき死ぬんだ…
進行性の流行病にかかってしまって…
だから、そろそろキミと一つになりたい!!
お願いだ!! お願いだよエレーナ 」
少女
「くっ 使えないヤツ
お前のことを気に入ったから餌にはせず妾のそばに居させたのに…
わかった…食べてやる」
主
「エレーナありがとう
最後に私の名前を呼んでくれ」
少女
「いちいち うるさい餌だ
わかった お前は尽くしてくれたからな
願い 聞いてやる
ルドルフ ありがとう」
主
「ああ エレーナ 愛しているよ…
やっと一緒になれた…」
街外れの画廊には
まだ少女の肖像画はあるのか?
それとも 誰かのもとに行ったかは
わからない
肖像画の行方を知る者はいない
アナタの家の物置に眠っている絵画は ありませんか?
もしかしたら、いわく付きの少女の肖像画かもしれませんよ…