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【詩小説】富士が綺麗に見える日

雲ひとつない青い空
富士が綺麗に見える日
貴方は旅立つ

サナギが脱皮するかのように
肉体を脱ぎ捨て魂(たましい)となり
空へと旅立つ

好きだったゴルフを空の上でやるのかな

鍋奉行(なべぶぎょう)な貴方は
菜箸(さいばし)と お玉を誰にも渡さず
張り切って采配(さいはい)を振(ふ)るうのかな

こだわりの銘柄のビールを
「やっぱりコレじゃなきゃ
   ビールじゃない !!」
と豪快に笑い美味そうに飲み干すのかな

肉好きの貴方は気兼ねなく思いっきり
肉に かぶりつくのかな

家族や孫自慢をして周りの人を
苦笑いさせるのかな

貴方にも見えていますか
とってもとっても綺麗ですよ
頭に雪をかぶった富士が
とっても…とっても…

そんなことを思いながら
貴方が荼毘(だび)に付(ふ)されるのを待った

これからは富士が綺麗に見えるたびに
貴方のことを思い出すのかもしれない

ふと見上げるとゴルフウェアに身を包んだ遺影(いえい)の貴方が穏やかな顔で
微笑んでいた

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可愛がってくれた叔父が
先日、亡くなりました。
この詩小説は亡き叔父に、ありがとうの気持ちを込めて書きました。

「叔父ちゃん ありがとう!!お疲れ様
安らかにお眠りください🙏」

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