【小説】私とホテルと枕4つ

｢ああキミ､明日から出張ね｡今回は3日間だから ｣
と昨日の昼休みに上司に言われ
出張費と宿泊先のホテルの住所が書かれたメモを渡された

まったく…いつもそうだよ
もっと前もって言ってくれないかなぁ💢
たまには､お前が行けよっ💢

と心の中で中指を立てながら
｢はい…わかりました｡行ってきます｣
と引きつった笑みを浮かべ言った

上司はゴルフをやらない
[接待ゴルフ] ができるのは私しかいないのだ
同期や後輩にはゴルフをやる奴はいるが[接待ゴルフ] はできない

[接待ゴルフ] は､通称[よいしょゴルフ]
いわゆる [ご機嫌とり] のことだw

微妙なサジ加減が要求され､これが
なかなかに神経を使うのだ
もろもろを考えると私が適任となるのは仕方がないか…

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

朝から新幹線と電車を乗り継いで先方(せんぽう)に顔出ししたのが14時近く

ご挨拶やら軽く打ち合わせをし､先方(せんぽう) に誘われるがまま夕飯を共にし､明日のゴルフに備える為そうそうに お開きになった

3日間お世話になるホテルへと向かった
フロントに行くと私よりも先にゴルフ道具一式が到着していた

カギを受け取り部屋に向かう
シングルルームと言うわりには､なかなかに広い

上司も私に悪いと思ったのかな
顔に出てたかなw

スーツを脱ぎ､部屋着になると
ベッドに横になった

ふと違和感を感じた
あれ??なんで枕が4つなんだ!?

コレはネタになるっ!!
今夜の配信のネタはこれだっ!!

私は､ゴルフの他に配信アプリで喋ることを趣味としてやっている
もちろん顔出し無しでだw

さて､配信開始

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
[配信]

はいっ 始まりました
やさぐれリーマンのドクターストップ！
出張先から配信しております

ちょっと聞いてくださいよ
ホテル着いてベッドにゴロっとしたわけですけど…
不思議なことが起きてるんですよ

シングルルームなんですけどね
なんとっ､なんとね
枕がっ､枕が4つ あったんですよ！

そうそう4つなんですw
同じ枕が4つなんですけど
なんででしょうねw

えっ!?硬さが違う?
ああ なるほど ちょっと確かめてみますね

……うーん 違いがないですね

えっ!?ちょっとちょっと なんですか
💦
いやらしい事なんてしてませんよw

やらし とか言わないでくださいよw

なんですか皆んなしてww
まったくもうw

女なんて連れ込めませんよw
シングルルームなんですからw

さて楽しい時間も
そろそろ終わろうとしています

謎を残しつつ終わっていきますけどねw

では また お会いしましょう
やさぐれリーマンでした

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

配信を終えて､あらためてベッドの上を見る

やっぱり枕4つ…

コイツのせいでネタは出来たが
いやらしい と言われたじゃないかっw

こうなったらビール飲んでやるっ!!
悪いのは枕が4つなのが悪い!!
このホテルが悪いんだからなっ!!

なんだかんだ飲む理由をつけて
部屋に備え付けの冷蔵庫の扉を開ける

ビールビールっと…
うわっ高い💦

ホテル価格になっていた…
仕方なしに缶ビールの350のほうを取り出した

グビグビ
ぷはーーっ!!

ああ 美味い!!
この為に生きてるってもんよ
今日も よく働き よく喋った
よし明日も頑張るぞ

そうだそうだ
後輩に柿ピーをもらったんだった

あったあった
ん!?裏にメモが貼ってある

｢お酒は､ほどほどに｣

あっ…そうだった…
先日の健康診断で医者に言われたんだった

｢はっきり言って飲みすぎです!!
お酒は控(ひか)えてください｣と

これはまずいなぁと思い休肝日(きゅうかんび)を作ろうと自分の配信番組の名前をドクターストップに変えてまで誓ったのに…
舌が乾かぬうちからこれだw

枕4つを睨みつけながら
柿ピーを豪快に ほお張りビールを
一気に飲み干した

明日から明日から やってやるぞ
今日がスタートラインだ!!

[完]

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スタエフの飛来薪さんの枠に お邪魔した時の会話を参考にハチママ流に書いた作品です