9月1日に寄せて。
夏が好きです。
葉月という名前の所為もあるし、単純に寒がりというのも大きいのですが、夏が好きです。
歳を重ねるごとにどんどん好きになります。
夏が好きだなあと思うとき、私は懐かしい匂いを感じます。気温の中に、いつかの夏のワンシーンを思い出し、ああ夏が好きだなあとワクワクします。
例えば、
ホットのブラックコーヒー。
幼い頃、母が「暑い日にクーラーの効いた屋内でホットコーヒーを飲むのは最高の贅沢だよ」と連れていってくれた喫茶店。(それ以来ブラックコーヒーが好き。)
柴犬。
かつて祖父母の家で飼われていた柴犬のモモ。畳の部屋で、彼女のお腹に顔を埋めて昼寝をする。獣くさい。夕飯には西瓜が出る。
四つ切りサイズの画用紙。
毎年本気だった、夏休みの絵画コンクール。アクリル絵の具の匂い。午後にベランダから吹き込む強い風で飛ばされそうになる画用紙。
ジャイアントコーン。
友人と行く市民プール。子どもだけ、というのがちょっとだけ特別。プールサイドのちょっと高いジャイアントコーンだって買っちゃう。
コンビニのツナマヨおにぎり。
高校の部活の夏休み練。夏休み中は母がお弁当を作ってくれないので、コンビニでお昼を買って向かう。食べ盛り、午前中ずっと楽しみにしてる。
一枚一枚のシーンの積み重ねで夏はできています。絵日記を1ページずつ埋めていくように、夏は埋まってゆきます。夏ほど過ぎて行くことを意識する季節はないと思います。一枚一枚、ただ過ぎてゆく夏が好きなのです。
今年は夏がなくて寂しかったなあ。夏がないと、私の日々は保存されないのです。絵日記でもつければよかったと、今更後悔しています。
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