春の化身のような姿。
北京オリンピックが終わり、私はお昼頃から夕方までフィギュアスケートのエキシビジョンをみていた。
すごく楽しみにしていたので、昨日の夜からずっとフィギュアスケートの舞台を何回もYouTubeで見ていたのだ。
昨日の夜にフィギュアのペアが行われ、その様子を見ていたがやはりオリンピックという特別な舞台で演技をする選手たちを見ていて、心が燃えるような、胸が暑くなるシーンがたくさんあった。
中国のペアの演技も、ロシアのペアも。全てが愛おしく、全てが魂が満ち満ちていた。
そんな選手たちのエキシビジョンなんて絶対におもしろいと母と二人で鑑賞していた。
しんみりとしたものから、コミカルなもの。ロマンチックで映画さながらな演技を披露する選手たち。
どれも私は印象深く、どれも最高だったのは間違いないのだが私は一人の選手のエキシビジョンに釘付けになった。
羽生結弦選手。
彼の名前を知らない人はこの世界にいないだろうと思うほどの選手。
今回の大会では惜しくも4位という結果になってしまった。
彼は努力が報われなかったとフリー最後のコメントで話していた。
私は、彼の全てを知るわけもないし、彼の今までの演技を全てフルで見てきたわけでもなかったが、エキシビジョンを見た時に、彼は本当にフィギュアが好きなんだということと、彼がこの大会で残したものの大きさに圧倒された。
彼がエキシビジョンで演じた曲目は松任谷由実さんの「春よ、来い」
ピアノver.だったが、ピアノの儚いが力強い音色と羽生さんの演技がとてもあっていた。
まずは、衣装がとても綺麗だった。
春を題材にした曲目なだけあり、淡いピンクと白を基調とした衣装。
袖の部分は蝶のようなひらひらした袖になっており、春の化身のような姿だった。
彼の衣装はほぼ黒のパンツが多いイメージが私の中にある。
黒により、足がすらっと長く見えるし、なにより羽生さんの綺麗な演技に合う。
羽生さんがリンクに入る前に深くお辞儀をした時にフィギュアへの尊敬と愛を感じた。
そして、演技に入る前の微笑み。
きっと、競技とはまた違うエキシビジョンへの自信。
自然と出たあの微笑みを私は忘れることはできないと思う。
曲が流れた瞬間に変わる表情。
まるで春の訪れを、寒く険しい世界を暖かくそして豪快に吹き飛ばすようなそんな春の化身に私は思えた。
演技中に彼が氷上をキスする瞬間も私は忘れられない。
彼の演技を見ていると、なんだか不思議な気持ちになる。
それは、恐怖に似たような。はたまた幸せという幸福に似たような。なんとも言えない気持ち。
神々しく、けれども儚く、切なく、でもどこかダイナミックで。
まるで神様にあったときみたいな。
なんとも言えない気持ちに私はなった。
うまく言葉にできないのがもどかしいが。
だけれど、彼は決して自分のスタイルに妥協しない鬼なのだと。
それも感じた。
彼がこれからどうなるのかはわからないが、悔いのない人生を歩んでほしいと、願わずにはいられなかった。
これから、きっと色々な試練が彼を待っているに違いない。
寂しく、厳しく、辛く、険しい。
だが、それを今までの如く乗り越えて、これからも生きていてほしいと。
素直に、そう思った。
最後に、全てのオリンピック選手に勇気と希望とそして感動をありがとう。