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十猫十色


新しい家族を迎え入れた。

保護猫を迎え入れるのは人生で三回目。
最初は私が小学生の時に迎え入れた三毛猫の保護猫ちゃん。
二回目は私が小学生の高学年の時に近所で拾ってきたキジトラの猫ちゃん。どちらもメスだったが、人馴れをしており秒速で家族に馴染み、秒速でゴロゴロを言っていた。

基本猫というのは、きまぐれで人馴れしている猫ちゃんが少ないことは知っていた。けれど、これまで迎え入れてきた猫ちゃんが二匹ともとてつもなく気さくな猫ちゃんだったというのもあり、ちゃんとお世話をすればすぐに懐いてくれると簡単に思っていた。

前途の二匹が老衰で他界し、猫ちゃんがいない日々を過ごしている中で保護猫の譲渡会に出会い、私と母はその会に脚を運ぶ。
子猫から1歳ほどの成猫までいた。色々とその子たちを見ている中で、可愛いと思うが、命が尽きるまで添い遂げてあげたいと思うほどの子はいなかった。(言い方が悪いかもしれないが、半端な気持ちで命を預かれるほど私も器が広いわけではなかった)
そんな中で、出会った黒猫のオス。名前はフクと言うらしかった。
ケージの中奥深くに居て、周りの様子を目を大きくしながら見ていた。とても怯えている姿に驚いたものだ。
だが、その子に私は目が釘付けになった。この子はどうしてこんなにも怯えているのだろうか、何をそんなに恐れているのだろうか。
どんな生物にも必ず個体差があるのは承知だった。きっとこの子はそういう子なのかもしれない、もしくは何か理由があるのかもしれないと。
見つめていると、保護主さんが話しかけてくださり、触れることになった。
今にも目が出てしまうのではないと思うほど、大きく見開かれた目。手を伸ばすと少しだけ震えているのを感じた。恐る恐る鼻先挨拶をすると少しだけ匂いを嗅いでくれた。首を撫でてあげるとうっとりとした表情になる。
心を少しだけれど開いてくれたのだろうか。軽率だと言われてしまうかもしれないが、運命をこの時に感じてしまったのだ。
そこからは行動が早かった。
保護団体の方に連絡をし、フクの譲渡エントリーを済ませた。抽選で譲渡先が決定するので、自分になるかどうかはわからなかったが、直感でこの子は家族になるんだと思っていた。

そこから、フクが私の家族になるのは早かった。
そして、今月の頭。トライアルが始まり、1週間が経過して正式譲渡の運びになった。
保護主さんからは、フクは臆病な性格だということを聞いていたし、保護される前がどういうふうな生活だったのか分からないと言われていた。
1週間のトライアル中も、フクは人間への警戒心は拭えず、ずっと怯えており夜鳴きも酷かった。
ご飯や排泄が二日目からきちんとできるようになり、少しずつ距離が近づいていると思っていたが、撫でさせてくれることはなかった。
トライアルが終わり、正式譲渡になった後も少しずつおやつを近くであげられたり、一緒に遊んだりして心が開いてきたと思えてきたのに。
私は過ちを犯してしまう。

ネットで見る、猫たちの動画や以前飼っていた猫たちにフクを重ねてしまい、2週間経っても触らせてくれないフクは一生家猫として飼えないかもしれない、病院に行く時に難しいかもしれないと焦り、ケージに強制的隔離をしようとしてしまう。
それがいけなかった。
それをしてしまったのが、今日。
そして、私は今日の今の時間とても反省している。フクなりに私に心を開いて、ご飯をあげるときは近づいてくれたり、ちゅーるを食べる時は目と鼻の先まできてくれていたのに、触らせてくれない=懐いていないと勘違いをしてフクが嫌だと、警戒するようなことをしてしまったのだ。
不甲斐ないばかりである。

まだまだ、フクと過ごす時間はたくさんある。長い目で見れば序盤も序盤の今、焦る必要がどこにあるのだろうか。
今日してしまったことを胸に刻んで、フクといい距離感を保ちながら、お互いストレスフリーな生活を送りたい。

フクに何度謝っても無意味なこと。フクと築いてきた3週間弱の絆をこれから誠心誠意を持ってお世話して知っていって欲しいなと今日素直に思った。

これは自分への戒めのためのnote。

フク、待っててね。絶対にいい猫ライフだったなあ〜と思ってもらえるようにお姉ちゃん頑張るからね。


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