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乳酸菌ウオヌマ株との出会い

酒粕を現代に蘇らせる挑戦の中で、私たちは「誰もが気軽に摂取できる形にする」という課題に直面しました。
特に、アルコール分を抑える必要性が明確でした。日本酒を絞った後に残る酒粕は、8~11%程度のアルコールを含んでいます。
このアルコールを抑えることで、幅広い世代に親しまれる可能性が広がる一方で、アルコールが持つ雑菌防止効果を失うことで保存性が低下し、酒粕が劣化しやすくなるという新たな問題が浮上します。

この課題を解決するカギとなったのが、新潟の雪室で発見された寒さに強い「乳酸菌ウオヌマ株」です。

この植物性乳酸菌は、雪室で保存されていた野沢菜漬けから発見された菌株であり、漬物文化が育んだ独特な特性を持っています。
新潟の雪室という環境は、低温・高湿度の条件下で食品を長期間保存できる日本独自の知恵の結晶であり、その中で進化したウオヌマ株は、漬物文化の恩恵を象徴する存在でもあります。

雪国にいがたでは「雪室」という雪の冷気を利用した天然の冷凍庫で
野菜や漬物などを保存する文化があります。


この菌株の最大の特徴は、5℃という低温でも発酵を進める能力にあります。通常の乳酸菌は人の体温程度の環境で繁殖しますが、ウオヌマ株は雪室環境の中で培われたため、低温でも活動を続け、乳酸によって酒粕の保存性を高めるとともに、ゆっくりと低温で発酵することで酸味を抑えたまろやかな味わいを引き出すことができます。この特性が、酒粕の栄養価や風味を現代のライフスタイルに適した形で進化させる鍵となりました。

「乳酸菌ウオヌマ株を活用すれば、酒粕はさらに進化する。」

この確信のもと、私たちは酒粕に乳酸菌ウオヌマ株を加えて再発酵させ、新しい食品を開発することに成功しました。
こうして誕生したのが「醸グルト(JOGURT)」です。

乳酸菌の作用によって酒粕が植物性ヨーグルトのような
新たな食品に生まれ変わることを発見。


醸グルトは、酒粕由来のたんぱく質やアミノ酸をさらに吸収しやすい形に変え、保存性を高めるだけでなく、酸味を抑えた自然な甘みを持つ植物性ヨーグルトとして、多くの方に親しまれる存在となっています。

酒粕+植物性乳酸菌「醸グルト」

漬物文化と雪室の知恵が生んだ乳酸菌ウオヌマ株との出会いは、酒粕の可能性を次の世代へと広げる大きな一歩となりました。

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