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不良品があったが、商法により、返品できなかった判例

登場人物

原告、訴えた=暖房器具メーカー
被告、訴えられた=種苗卸売業者

事実の概要

  1. 種苗卸売業者は、ビニールハウスを温めるのに使うライトバーナーを暖房器具メーカーから購入した。

  2. 納品後、種苗卸売業者は金銭的な事情で料金を支払わなかった。

  3. ライトバーナーは設計上欠陥があり、タンクに亀裂が生じていた。

  4. 種苗卸売業者は納品から1年以上後にこれに気付き、きちんとした商品が納品されていないのだから、契約が履行されておらず、もう代金を払う必要がないと主張した。

  5. 暖房器具メーカーは支払いを求めて種苗卸卸売業者を訴えた

裁判所の判断

  • 商法526条により、①種苗卸売業者は代金を支払え ②暖房器具製造販売業者は返品交換や損害賠償をする必要がない。

参考条文

商法526条
1.商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2.前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。

商法は任意規定のため、契約で上書きます。今回の事例では、契約に定めがなかったか、契約自体無かったようです。

得られた教訓と感想

  • 企業間の「売買において」契約不適合期間の記載を忘れた場合、6か月になることを認識しておく。

#契約不適合


最判昭和47年1月25日

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