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Q&A(院試対策の進め方、受験と成績)

進学にむけて熱心に準備なさる方から、院試や学習に関するご質問をいただくことがあります。
生の情報、大事ですよね。真摯なお取り組みに頭が下がります。
直近で何度か質問されたことをここにまとめます。


勉強の進め方

Q.予備校に通った?

通っていません。
理由は2つあります。
一つはお金をかけられないこと。お金持ちではないので、あの金額をポンと払えませんでした。
もう一つは院生さんにお話を聞いたとき、予備校に通った方がいなかったこと。志願先の大学院の在学生で、予備校に通って受かった人がいるとは聞かなかったので、「自分で対策できるんだな」と考えました。

Q.おすすめのアプリありますか?

アプリではないんですけど、プロロゴスのホームページに『心理院単』の単語を出題してくれるページがあって、移動時間とかにやってました。

Q.スマホでできる勉強はある?

あります。
私がやっていたのは、読むべき本のページを写真に撮っておいて、それを寝る前とか電車とかで読むことです。
アプリでの出題やまとめサイトは結局のところ、その出題やまとめをした人のフィルターを通した素材です。論述のアイディアを増やすときには、そのフィルターが必要ないことも多いです。書籍そのものを自分に取り入れるなら、写真に撮った本を読んだほうがいいかなと私は考えています。

あと表とか……自分でまとめた表を写真に撮っておいて、見ながら頭の中で説明したり、目を閉じて全体が浮かぶような総体的な確認をしています。

自分で分かりさえすればいいので、まとめはこんなもんです

Q.どのくらいの時間勉強した?

筆記試験直前期の1ヶ月は6〜8時間勉強していたと思います。
それより前は、
・心理統計(ワークブックなど※)
・心理学の重要語句の整理と記述練習(よくわかる臨床心理学など)
・心理英語(ヒルガード)
の3つから、その日やることを決めておき、それが終わるまで勉強する、という方法をとっていました。時間は決めず、納得したらおしまいというくくりにしていました。
※使った教材は別記事にまとめています。

Q.いつから勉強を始めましたか?

院試を意識した勉強は3年次の9月から、院試対策一辺倒の勉強は4年次の4月から、志望校に絞った対策は4年次の7月ごろからです。

詳しいスケジュール感は以下の過去記事に記してあります。

Q.何から始めればいい?

志願先の情報がないなら、まずは説明会に行ったり過去問や資料を取り寄せるなどの「情報集め」からすることをおすすめしたいです。
あ、あと河合塾KALSの入学説明会(オンライン)に参加してアンケートを送ると、各校の院試のことをまとめた冊子をプレゼントしていただけます。これも参考にはなるので、早めにもらっておいてもいいかもしれません。

「勉強はどこから始めればいい?」という意味であれば、
まずは『よくわかる臨床心理学』の目次にある各項目を200字くらいで要約できるようにしてみると、知識獲得の基盤になると思います。
そのあと過去問を一年分解いて傾向をつかみ、より力を入れるべき項目に重点を置いて学んでいくと、バランスが良いかもしれません。

「研究計画はどこから始めればいい?」という意味であれば、
まずは興味のそそられる分野の講演会なり学会なり、人の集まるところに行ってみたらいいと私は思います。そこで話したこと、聞いたことが学問的なアプローチの入り口になる可能性が高いです。論文を読むのはその後にすると、よりいきいきとした活動としてたのしく読めるのではないでしょうか。

Q.心理統計が苦手です。どうすればいいですか?

私も苦手で、動機づけに苦しみました。
ただやればいいというものでもないはずなので、個人的に「勉強したら得だぞ!楽しいぞ!」と自分の認知を納得させたポイントを共有いたします。

①心理統計は量的研究の基盤である
心理的支援の効果検証や、社会的な傾向をつかむような量的研究は、理解するにも自分で行うにも心理統計の考え方がもとになります。心理検査(質問紙)の結果を解釈するにも、説明するにも、統計の考え方の理解が関わります。

②心理統計の計算以外の側面に注目する
学び始めだと公式や数式に圧倒されますよね。
一旦そこは置いておいて、
なぜその公式になるのか、とか、その公式を支える考えに他の公式と共通のものがあるか、公式の背景にある欠点は何か、とか、そういう思想的な部分を捉えるようになると、心理統計はただの計算問題・公式暗記ではなくなってきます。
個人的には、過去の偉人たちが大きなものを理解しようといかに奮闘したかがにじんでいる点、心理統計自体が研究者の善性によってる点が教科書から掴めた気がして、健気ながんばりの蓄積に親近感が湧きました。

③計算問題はやればやるだけ伸びる
心理の用語要約がやれどもやれども果てがないのにくらべて、心理統計の計算問題はやればどうにか習得できます。たとえその1回で理解ができなくても、少なくとも勉強をやったという満足感が手に入ります。

あとはぶっちゃけやるしかないです。
『心理統計学ワークブック』は、7周やるといい、という迷信があるらしいですね。

Q.論文をいっぱい読むべき?

わかる、楽しいと感じる論文ならたくさん読むときっといろいろな効果が見込めると私は思います。
ただ、義務感で読んでいたり、「積ん読」したりするなら、一度立ち止まってもいいのではないでしょうか。

・研究計画に必要なパターン
Jstageなどで公開されている論文は、気になったらアブストラクトだけでも目を通しておく、できればPDFをパソコンに整理して保存しておくのが理想的だと思います。
というのも、自分ではそれをやっておらず、研究計画書を書く段になってすごく焦ったからです。研究計画書を書くには先行研究への体系的な理解があるに越したことはありません。論文、あと講演会とか学会とかで、いろいろな話を知っておいたら有用だろうなと思います。

・院試対策に必要なパターン
お茶大の院生さんは、(志願先の)先生の論文をよく読むようにしていた、とおっしゃっていました。
また日大のある教授は、(自身の生徒さんに)志望分野の英語論文のアブストラクトを読んで内容把握の練習をするようにと伝えているとおっしゃっていました。

お二人の話を総合して、私は志願先の先生の論文を集めて要約したり、図説できるようにまとめたりしていました(日本語で/筆記試験対策)。
また、自分の研究分野の論文はJstageで定期的に調べ、私にとって意義深いと感じる論文は、同じように要約・図説する感じでまとめていました(面接対策)。
といっても院試前の初夏からのことなので、数にすると全体で10に満たない程度だったと思います。

Q.どこまで勉強すればいい?

個人差と思い込みがあるという前提で、以下に自分の感覚をお示しし、まわりくどく話します。

私は院試前、「自分の志願先の内部進学生は院試本番ですべての出題に完璧に答えられるに違いない」という認知(の歪み)を持っていました。
なので、自分が縁あって触れた教材から吸収できることは力の及ぶ限り会得しようという切迫した感覚で勉強しており、知識の獲得に歪んだ執着心を向けていたと思います。

もしも教材の中に理解のあいまいな箇所、自分で説明できない箇所があったら「これが出題されたらまずい」と思って、200〜400字で説明可能になるまで調べたりひとりで口ずさんだりしました。
心理学の知識全体が大きな樹形図としてまとまる状態を理想像に描いて、できる限り「なぜこう言えるのか」を明らかにして体系化を目指していました。逆に、人の名前や年代は志願先に出題されないことがわかっていたので、暗記は完全に手放しました。

歪んだ動機ではありましたが、切迫感はいつの間にかストレスというより探求的なものに置き換わっていました。日々「おー!ここがこう繋がるのか!」という納得を得ることを大切にしていくと、ストレスも溜まりづらく、知識も忘れにくくなります。

そういう意味で、「納得するまで勉強すればいい」と私は思います。


受験と成績

Q.何校受けましたか?

1校です。
日程的に第一志望の試験日が最初で、それに通ったかたちです。

出願全体の話をすると、秋に2校、冬に1校、受けようと思う学校がありました。縁があるところ、自分に合うところに受かると考えており、今年度ご縁がなければ違う道に進む予定でした。

Q.志望校はどうやって決めましたか?

主に、自分の理想とする研究環境、地理的・経済的条件で決めました。
私立校が志願先から外れたのは、入学金の納入期限が主な理由です。

詳しくは以下の記事に記しています。強い興味があれば…

Q.何校出願すればいい?

経済的・心理的条件などなどいろいろ複合的だと思うのですが…
私の場合は
・志願先の院生さんに話を聞いた→だいたい1〜2校
・やりたい研究・実践ができる近場の大学院→3〜4校
・1校の受験料がだいたい3万円→最大で3校かな…
という事前の情報から、「とりあえず一校押さえておく」という心理的安全策は採らずに、「受かったら行く大学院だけ受ける」という方針で出願校を決めました。

「とりあえず7月の入試で受かっとくと心がおだやかになる」というタイプの方もいらっしゃいますよね。本命校の前に練習の試験を…というのも大切な準備だと思います。

ご自身の人格的な傾向、過去の受験体験、経済的・地理的条件、自分がそこに通う姿を思い描けるか…など、いろいろな角度から吟味して、出願校の数を決めるといいのではないかなと思います。

いろいろな大学院に行ってみてのまとめも、以下の記事にあります。とても興味があればご検討ください。

Q.大学の成績はどうだったんですか?

はじめに共有しておきたいのですが、私は学部時代の成績が院試にどのくらい関与しているか懐疑的な立場です。なので、お伝えして参考になる情報かはわかりません。

10代のころ通った大学(私立文学部)ではGPAが3.3くらいだったはずです。心理学を学ぶために通った通信教育部ではいまのところまでのGPAが3.7くらいです。
自分で目標とペースを決めて進める学習に向いている性格ではあります。
ですがそれ以上に、周りの環境や友だちにつくづく恵まれているなといつも感じています。

Q.院試どうでしたか?

いろいろ考えるんですが、院試を受けること自体が成長・発見につながる大切な機会だと今は思っています。自分の人生にとってとても貴重な時間でした。
(主に金銭的に)気軽に受けるものでもないですが、例えば自身の学力や素質への自信のなさからあきらめるほどに重いものでもないと思います。院試受験を検討するすべての方の勇気と決断を応援しています。

近況

最近は、gaccoというイーラーニングを利用して統計を学び直しています。
よく聞かれる質問がたまってきたら、またまとめます。

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