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「みたらし団子」 はっち

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Photo by Jeremy Stenuit on Unsplash

子どもの頃、縁日が大好きだった私(今も好きだけど)は、神輿や花火や盆踊りなんかには目もくれず、屋台の並びを物色して、何を買おうか、食べようかと悩む時間が大好きだった。お小遣いには限りがあるので、後悔しないよう、慎重に選ばなければならない。大抵の場合、たこ焼きやお好み焼きがマストで、そこにりんご飴や綿菓子が加わった。スポンサー(大抵の場合、それはおじいちゃんや親戚のおじさんだった)がいる場合は、ハッカパイプやチョコバナナ、スーパーボールすくい、お面も買ってもらうこともあったと思う。他にもベビーカステラや大判焼き(普通は今川焼きというのでしょうか?)、じゃがバターなんかもあったけれど、みたらし団子を縁日で自ら買うことはなかったように思う。

そう、わたしにとってみたらし団子は「おみやげ」だった。街角で売っているのを買ってきてくれたお客さんと一緒に、家で食べるもの。あるいは、スーパーへ買い物に行った母が買ってきたものと、夕食の前にも関わらず食べさせてくれるもの。だから、自分で買う機会がなかったのだ。

家を出た今となっては、夏祭りに連れていってくれるおじいちゃんも、買い物のついでに買ってきてくれるお母さんもいない。初めはなんとも思わなかったが、だんだんと「みたらし団子が食べたいなぁ」と思うようになった。団子の表面がちょっぴり焦げていて、それがみたらしあんに絡んだ味は、他のものには代わりができない。街中でふとみたらし団子の匂いがすると、頭で考える間もなく、足がそちらへ向いてしまう。そして「相方へのおみやげに」と言い訳して、みたらし団子を買って家へと帰る。

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