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「初めて買ったCD」 はっち

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我が家には、音楽を聴くという習慣がなかった。両親が若い頃に買ったレコードはいくつかあったけれどプレーヤーがなく、カセットデッキはあったけれど音楽テープがない、という環境だった。さらにいえば音楽番組やラジオも聞かなかったので、アイドルとかバンドとかそういう単語が何を指すのか知ったのは、多分人より遅かったと思う。

そんな私が初めて買ったCDは、CHAGE&ASKAのシングル「SAY YES」である。

確かドラマの主題歌だったと思うが、ドラマもみていなかった。だから、なぜ私がそれを買ったのか覚えていない。なぜか我が家にCDプレイヤーがやってきて、「プレイヤーがきたんだったらCDを買わないと意味がないよね」という流れで買ったと思う。それを繰り返し何度も聴いた。イントロの入り方、声の強弱、楽器の鳴らし方まで、頭の中で再生できるほど聴いた。紙のジャケットも穴が開くまで眺めていた。それから、音楽を聴くのが好きになって、いろんなCDを買っては聴いていた。

その後、中学、高校、大学といろんな人の奏でるいろんな音楽を聴き、音楽との関わり方も変わってきた。今はCDを買うことは全くないし、音楽配信サービスも利用したことがないが、ライブへはよく行く。スピーカーから流れる音楽は便利だが、やはり生まれたその場で聴く音楽は全くの別物だと思う。人間が音楽を記録しはじめて150年弱だが、人間が音楽を楽しむようになったのは有史以前といわれている。気の遠くなるような歴史の長さだ。これが記録された音楽しか存在せず、生演奏がなかったとしたら、こんなに続いていなかったのではないか。

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