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だんごむし
皆さんにとっての人生ファーストゲット虫はなんですか?
そんな事振り返りたくもありませんか?
いーや、ダメです。
必ず思い返してください。
さぁ、深呼吸をして頭の中を自分が少年、少女だったあの頃に戻して。
野原が見えてきましたか?
それとも雑木林ですか?
あなたの小さな手の中になんの虫がいますか?
虫ってキモいですよね。
そりゃあ、キモいでしょう。
思いだしたくないですか?
でもね、虫はあなたの指の先、掌の中には必ず触れているはずです。
そしてそこで蠢いていた筈です。
それってなんの虫ですか?
カブトムシ?クワガタ?
嘘をおっしゃい。
そんな虫の王様が人生ファーストゲット虫の筈がない!
あなたの人生のファーストタッチ虫、ファーストゲット虫はもっと小さく、そしてもっともっとお手軽にゲット出来る虫に決まってます。
形は丸っこくて、灰色の。
見えてきましたか?
指先、掌の中の感触を研ぎ澄まして。
だんごむしでしょう?それ…
ここで私と虫の想い出
私は小さい頃、虫が大好きで本当にいっぱい虫を捕った。
私の育った東京都練馬区には当時まだまだ多くの草ぼーぼーの空き地があったり、エロ本どっさり落ちてる雑木林もあり(ここで性に目覚めた、この話はまた別の機会で)今よりも緑豊かだった。
カブトムシ、クワガタは滅多に捕れなかったがカナブン、カミキリムシ、カマキリ、ショウリョウバッタ、トノサマバッタ、キリギリスなどがいっぱいいた。水溜りにはトンボ、ミズカマキリ、ゲンゴロウがいて、闇雲にいっぱい捕ってそれをどうする訳でもなかったがとにかくそうして遊んでいたのだった。
秋には草にくっついたカマキリの卵を家に持って帰ってきて、それを押入れの中に入れたまんまにしてて春になったら卵が孵って部屋の中にカマキリの赤ちゃんを大量発生させたこともあった。
あの頃は今ではあんなに怖い「ゴ」も余裕で触れたし、海に行った時は磯でフナムシを積極的に追いかけ回したりもした。
でもやっぱり、1番最初に捕まえて遊んだのは絶対にだんごむしだった!
捕まえて、丸めて転がして、元に戻ったらまた丸めて、水に落としたり、蟻の巣を塞いだり、筆箱に入れてみたり。
似たような形の丸まらないのは便所虫って呼んでて、その辺りから触りたい虫と触りたくない虫が出てきたような気もします。
東京23区の中で最も緑豊かだった練馬区に於いて様々な虫たちがいるのにも関わらず私が1番初めに馴染んだ虫はだんごむしでした。
だからと言ってあなたもあなたも絶対に同じとは言い切れない。でも男でも女でも80%そうだと思う、あなたの人生のファーストゲット虫はだんごむしだと。
だってお手軽なんだもん、丸まるのが楽しいんだもん、丸まって元に戻る間が絶妙なんだもん。
先日、ひょんな事から東京の超超超一等地である元麻布辺りをうろうろしていた時の話です。
あの辺(港区)っていうのは同じ東京23区とは言え練馬区とは全然違うんです。
大使館がいっぱいで暮らしてる人たちは各国の大使館員の家族とか日本人でももう桁違いのお金持ちばっかりなんです。
有栖川公園って言う公園がありましてね。
その辺りを通りかかった時に植え込みの根元からそりゃあ、育ちの良さそうな日本人のお坊ちゃんと北欧系なのかな?もう天使みたいなお嬢ちゃんが這い出てきたんですよ。
虫捕りしてんだねぇ、ピンと来ました。
そう、だんごむしですよ、だんごむし捕ってんですよ。
それでね、その女の子の方がね、言ったんですよ、天使みたいな顔して。
「ねぇ、だんごむしもっと捕ろう!」
って。
私ね、なんかもう無性に嬉しくなっちゃってね。ああ、そうかと!こんな天使みたいな女の子もだんごむし捕ってんじゃん、って。
俺と同じじゃんかって!
すげーな、だんごむし、だんごむし最高じゃねーか!
って言う話です。