日記hibi/ 2020/4/1〜4/7
2020年4月1日(水)
両国>下北沢>代々木八幡>下北沢>代々木八幡>両国
八時に233の声で起きた記憶があるがちゃんと覚醒したのは九時ごろで、すでに寝坊している。233の食事を鑑賞しながらメールを返して、サイトの更新など行って、出。下北沢。電車に乗るのがすでにきついが、それも今日で終わりにしたい感がある。
新宿西口駅で乗り換えで降りて、少し寄り道してビックロに向かう。ビッ、のほうにも、クロ、のほうにもほとんど用がないのであまり行かないが、調べるとここが一番近そうであった、Phoneの修理センター。そこのお兄さんにとても丁寧に、ぼくのiPhoneSEの状態を見ていただいたところ、これはもう駄目っぽい、という結論で一致した。三年、落とすこと五〇回程度。電池はいま一時間しかもたない。買い替えするかは悩みどころで、もうスマートフォンを卒業してもいいんじゃないか、SNSとか超めんどい、と思っているのだがどうなのだろうか。保留。
そこから小田急線で下北沢。Bonus Track。B&B。開店には五分だけ間に合わない。階段下にサインがあったほうがいいなと思ったので、写真をパチリする。出、月日。関係者の皆さまの人入りがある模様。何やかや、雇用契約やら、レジ作業やらの打ち合わせをして出。八幡の事務所に戻る。勤勉に作業。作業。恐ろしいほどの事務仕事。のち、ふたたび下北沢。外は雨。本日最初のレジ締め作業を手伝うというか、ほぼやり、こういう感じで締めてくださいね、というような偉そうに教える役をロールする。月日のコーヒーは美味しい。この移動でiPhoneの電池は再び死亡。レジが締まったので辞して再び八幡で作業。恐ろしいほどの事務仕事。出、電車。新宿駅には人がいる。そういえば今日は入社式なのだろうなと思う。何が正解か何もわからない。マスクがひどいことになっていたり。ロゴがひどいことになっていたのでTwitterで暴言を吐く。だからもうiPhoneはないほうがいいのかもしれない。帰宅。二三時に多少遅れても大丈夫だろうと思っていたら、今日に限って233はぱっちりと起きたようでいづちゃんが見ていてくれた。二三時定例の食事。飽きがちな233は、寝起きということもあってかミルクを残す。布団に置いておいても、何をしても特に寝ないが、何もしないと一時間くらいでひとりでに寝るので、主に放置。いつも、布団の裾を、今はじめて見つけたひらひら、というような顔で真剣に凝視したあと、もにもにと遊び始める。寝。それからのご飯はいつも食べ過ぎる。
2020年4月2日(木)
両国>蔵前>両国
もう在宅がいいのですが、というメッセージを送り、在宅を決め込む。移動の時間がないぶん作業は進むのか、と思うのだがどうだろうか。ここ数日は新店舗準備で月末月初にも関わらず満足な事務作業の時間が取れていなかったので、ここぞとばかりに決め込む。233がいるので、ときどきちょっかいをかけに行き、遊ぶ。ほうれん草のペーストをたべ、こぼし、たべ、いつものように離乳食を感触すると、「たりないよ!」といううめき声を上げ、ミルクを満足そうに飲む。食に貪欲。いづちゃんと久しぶりに同じ食卓でお昼ごはんを食べる。233は本日、寝返りをセルフで成し遂げたようなのだが、ぼくはリアルで見ることができなかった。いづちゃんは昼過ぎから、233を抱いてZOOMで母会をしている。よその子の鳴き声がマイクを通じて聞こえてくる。
蔵前まで、途中で郵便局に寄ったら混んでいて、開店時間ぎりぎりに店に着く。開店。何をどうしたらいいかわからないので、とりあえず今週末は普段どおりオープンして、そのお客さんの様子を見ながらこれからのことを決めようと思っているが決まるのかどうかまったくわからない。判断軸がなさすぎて困る。来店は二名。ちまちまとメールを返したり、冊子を折ったりしているとすぐ閉店時間で、時間がかんたんに溶けていく。けっきょくなにもかもが、たいして進まなかった。
2020年4月3日(金)
両国>蔵前>両国
引き続き家でしごとをして、店に向かう。来店二名。ご祝儀なのかなんなのか、単価が高かったのでありがたく販売する。あとはあまり思い出したくない。
2020年4月4日(土)
両国>蔵前>両国
昨日は233を寝かしつけているときにそのまま寝てしまったようで昨日の服のまま。いづちゃんによると233よりもよっぽど先に寝ていたようで、やくたたず感がすごい。ぽわぽわしたまま、竹田くんと田中くんに誘われていたラジオの配信に参加したところ、少なからず、聞いてくださる人がいたようで、朝から酔狂なみなさまだなというか、どうもありがとうございます。積読がテーマだったのだけれど、本は読書の快楽と購入の快楽があって、そのバランスが購入にふれる瞬間があるのだよなぁということに気づけたのがわりと良かった。もうオープンの時間だから、と四本録りのところ、三本目を取り終わったところで辞して、原付きで店まで向かう。途中で、なにを思ったのかお昼にカツ丼弁当などを買ってしまい、オープンしてすぐ食べたところおなかが重い。油を避けて生きていきたいなどといいつつ、最近は過食気味な気がしている。なにかストレスがあるのだとろうか、や、ただ怠惰なだけな気もしている。それでお腹が重いまま粛々と事務作業をしていたところ来店は三名で、もうこれ駄目だなという気分になる。三名のうち二名は来てくれた友人で、その友人二人が仲良さそうに本を選ぶさまをぼくはホワホワしながら見ていて、それが今日のハイライトであとはずっとデータ作成、整理。明日もこんな感じなのだろうし、作業は進むものの、うーん、と悩み思い切って明日は店を休むことにした。家族、大事。まじで、大事。いづちゃんに土日の233のケアをおまかせしきりというのも常にプレッシャーというか、申し訳無さがある。そういう気持ちのリカバリーも必要なように思われた。あと、カレーを作りたい。カレー、作る。常備菜も、たくさん、作る。煮る、茹でるというのは、精神に安定をもたらすのだと『わたしを空腹にしないほうがいい』で学んだ感じがある。
2020年4月5日(日)
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昨日の惨状から店を休むことにしたので、朝からゆるりと起きる。233といづちゃんはもう起きている。いの一番にカレーという感じで、身支度を整えたらカレーを作ることにする。カレーのいいところは、炒めたり煮込んだりしている間に手が空くので、そこで洗い物ができることで、料理も出来たのにシンクの片付けもできた! という達成感がなににも変えがたい。そしておいしい。胸肉を細く小さく切って玉ねぎをすりおろして、粉系のスパイスと和えて放置する。ここでラブライブ!の曲をかけて、寝ながらコチラをみてくる233とともに踊りながら楽しく過ごす。油に種系のスパイスと入れて熱して、あとは適当にさっきの玉ねぎと肉と、トマト缶をぶち込んでから炒める。のち、ココナツオイルをぶち込んでから煮て、なんだかいい感じになったあたりでガラムマサラとマスタードオイルを垂らしていい感じに仕上げる。緑が足りない気がしたので、おもむろにほうれん草を出してきて、適当に切って茹でる。カレーに入れても良かったとそこで気づくが、入れない。233の離乳食分はいるか? といづちゃんに聞くと今は間に合っているということで、若干残念な気持ち。カレーはおいしい。晩ごはんには豆腐麺と中華スープ。味覇を切らしていたので、普通の鶏ガラスープの元で作ったらまろやかな味になった。
あとは233と遊んで過ごす。夜に思い出したかのように確定申告作業。未達。本は寝る前に一時間ほど。
2020年4月6日(月)
両国>蔵前>両国
事務所に行こうかという気持ちがあったが、行かなくてもなんとかなりそうなタスクであったためやめ、ぱちぱちと家で事務作業をこなす。ふいに233と遊んでしまう。困る。
いづちゃんが233と散歩に行き、ぼくは店で本の出荷をすることにして、昨日切らしたベイリーフを買いにアンビカに寄ったら閉まっていた。5日から12日は休業するらしい。アンビカは蔵前のどの店が閉まってもやっているものと、それは店番の人の雰囲気とかで感じていたので、恐ろしく動揺していづちゃんにLINEを送ってしまう。ベイリーフは買えなかったうえ、最近ハマっているハラル向けの卵を使っていないというパンも買えないのが辛い。そのままコフィノワ。店はまだやっている。家に豆はまだあったが、切らしそうなので買う。明日はやっているかわからない、ということを教えてもらう。毎回おすすめ、というかおそらく焙煎したての豆を掲示してくれているのに、三月下旬以降、それがなくなっていて、豆にも品切れの物が出てきているのを見るのが辛い。本屋に行きたいが、この街に今日営業している本屋はない。
帰って、233が達成したという寝返りを、ぼくはまだ見せてもらっていなかった、というかぼくがいるときだけなぜかしない、といづちゃんも訝しむレベルでしてくれないので、今日こそはと、せがんでせがんで、おだてておだてて、なんとか見せていただく。くるんとまわる。くるりんMIRACLE(星空凛)。重要なのはお尻で、お尻の重心を回転先に少しでも傾けることができればあとは勢いで回れるようであった。233は、寝返り達成が初めてでもないのに、ぼくの方を見て何故か誇らしげな顔をした。
カレーの残り。233用のペーストしたほうれん草が余ったので、それも温めて入れる。スーパーで買ってきた芋をふかしてポテトサラダに。人参をスライスしてかんたん酢でつける。玉ねぎは適当に切って塩もみしておく。昨日入れた豆腐の水抜きを、キッチンペーパーを変えてもう一度。常備菜を作ると精神が安定する。スーパーは混んでいるようで、それは今日告知というか予告というか、見通された、非常事態宣言のためかもしれず、シーチキンとすりごまを買えなかったのが非常に心残りだった。シーチキンはわかるがすりごまはなんでないんだろうか。納豆もないようだったが、こんな日持ちのしないものがなぜ? と思って調べたけれどよくわからなかった。ウイルスに効くのだろうか? 納豆も細菌だからな、友達だもんな、とひとりで面白くなっているが間違いだろう。
ルチャ・リブロの青木夫妻と20時30分から打ち合わせのスカイプを始めて、結局23時まで続ける。本を作る。ぼくが進行を止めなければ、だが。23時に233がサイレンの音で起きてしまい、「あら、かわいいね」「サイレンで怖くて起きる233かわいい」という連帯をいづちゃんと見せて、抱き上げるとうんちをしていたのですかさず変えて、空間にファブリーズをあてた。
2020年4月7日(火)
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寝すぎる。233といづちゃんは当然のように早朝から起きており、ぼくはすごすごと台所に移動し、「おはよう」と声をかけてコーヒーを入れる。コフィノワさんは今日から営業休止らしく、昨日早めに豆を買っておいてよかった。しかしこれでもう、蔵前で投資したいようなお店がほとんどやっていないという事になってしまった。ペリカンはまだ開いているだろうか。あそこは卸もあるし製造はするのだろう。あと、あの美味しいケーキ屋さんはどうか。
しごとは引き続き家で、給付金のことを調べたり請求書を作ったり、経営計画などを策定したりしている。HABのしごとには手が付かない。本も読めない。煮詰まったところの、夕方、233を連れて散歩に出ることにして、というか、それをわりと楽しみにしごとをしていて、233は睡眠の欲求や不満が高まると、奇声をあげるか、妙にテンションを上げて些細なことでも興奮するようになるのだけれど、本日前者で、もう限界なので散歩散歩〜、といづちゃんが連れてきた。午前中はいづちゃんが散歩に連れ出してくれていた。抱っこひもを使って抱いて、そのまま外に出る。公園の葉桜など見たのち、なるべく通ったことのない道を通りながら当てもなく歩く。一〇分ほどしたのち233は無事に寝、あとは一人散歩となる。なにか見つけるたびに、「この路地初めてだね」とか「ここに公園あるんだね」などと、寝ている233にお構いなく話しかけてしまうが、そこに、胸の前あたりに別の生命がいるのだから会話は当然のような気もする。途中で知らないパン屋を見つけ、そういえば食パンが切れていたと入って買う。とても古いパン屋で、レジのおばあちゃんは、会計のときにおもむろにアメをくれた。233へのものかもしれなかったが、構わず口に入れて再び散歩。四五分ほど歩き、玄関の扉の前にきたところで、図ったかのように233はパチリと起きた。のち、風呂、食、寝。
隣で寝かしつけていたらぼくの方が先に寝てしまい、小一時間。ちょうどその間に緊急事態宣言の会見が行われたようだった。見逃す。今日はいづちゃんがごはんを作ってくれていて、昼はクリームパスタ、夜はごぼうと豚肉の煮物で、しごとして散歩して寝て起きてごはんがあるという幸せを噛みしめる。またしごとに戻り、朝に来ていた原稿を読むと、それはとても胸にしみるもので、鬱々とした気持ちが明るく晴れていった。というか、そうか、ぼくは鬱々としていたのか、というのにそのとき初めて気づく。脳に血液がまわるようにぶわぁっと、頭が活性化する。文章というものはこんなにありがたいものなのだな、とお礼のメールを送る。引き続きしごと。日常は233かしごとか、常備菜作りで過ぎていく。
夜、というか、深夜。クリックポストを投函するついでにコンビニでビールを買う。家から北と南、ほぼ等距離にある二つのコンビニはどちらも、深夜は常に外国の方が働いており、この方々はいつも感染リスクにさらされながら、少ない保証で、たぶん投票権もないまま、深夜に働いてくださるんだなと思うと、そこでビールを買う相対的上流階級であるぼくに辟易する。クソみたいな階級の自分。でも、ビールは、もちろん買わないより買うほうがいい。ぼくより儲けている人はたくさんいるが、ぼくより儲けていない人もたくさんいる。正しい平等はありえないが、平等は正しい。ただし、ビールは買わないより、買うほうがいい。なにを拠り所にすればいいのか。楽しさだろうか。あるいは親密さ。優しさ。ビールはその日のうちに飲まれた。
#READING 『のどがかわいた』(大阿久佳乃、岬書店)
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