投資失敗時に観るべき映画② 「フリーソロ」
他にもクライミングをテーマにした映画作品は多数あります。
同じジャンルで恐縮ですが、もう1つだけ私のおススメを紹介します。
クライミングには、命綱となるロープが必須です。
ハーケンという金属製のくさびを岩壁の割れ目に打ち込み、そこにロープを固定して安全を確保してから登ります。少し登れば、また新しい場所にハーケンを打つという形で、数メートルおきに安全確保の手順を繰り返すのです。
だから、崖を登るにはかなりの時間がかかります。
クライミング用語としての「フリーソロ」というのは、このロープやハーケンを一切使わないことを意味しています。道具として使うのは、シューズと滑り止め用のチョーク粉だけ。一緒に登るパートナーもいません。自分の体ひとつで、どんどん壁を登っていきます。
安全確保の手順を省略しているため、とても速く登ることはできます。
もちろん、一度でも手を滑らせて滑落すれば、死亡する可能性が非常に高いのです。
フリーソロは、プロのクライマーであってもほとんど手を出さない超人的な領域なのですが、アメリカ人のアレックス・オノルドという人が、恐ろしい記録を打ち立てました。
ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンにあるThe Nose(ザ・ノーズ)という有名なクライミングの聖地を、フリーソロで登り切ったのです。
これが、そのエル・キャピタンの崖です。
高さが914mあります。ほとんど、垂直の崖です。
ここにチャレンジするクライマーは数多いですが、フリーソロで登り切ったのは後にも先にも彼一人だけです。前人未踏の、超人的な記録です。
この映画は、オノルドがフリーソロにチャレンジする前からずっと取材に入り、実際に登るところも含めてその偉業の実際をドキュメンタリーとしてまとめた映像です。
俳優が演じているわけではありません。オノルド本人が、実際に登る前の不安やストレスを抱えながらも、フリーソロにチャレンジしていく過程を克明に記録しているのです。
公式サイトの紹介文を、少しだけ引用しましょう。
まずは、この映画の予告編だけでもいいので、ぜひ観ていただければと思います。
ずっと、ハラハラのし通しです。でも、本当にハラハラしているのはオノルド本人です。自分の不安を、恋人などの周囲にも見せないようにしながら、何度も悩みぬき、いつ出発するとも明言せずに、ある日ついに挑戦に挑むのです。周囲の人は、その様子を双眼鏡やカメラでのぞきながら、ただただ彼の強運を祈るしかないのです。
視聴者というとても安全な環境にいながら、こんな極限状況の感情を味わえるのです。翻って、いま自分がとても恵まれた状況にいることも実感できます。
主人公のように素晴らしい冒険者になってみたいという1%に満たない感情と、こんな行動は絶対に真似できないという99%の感情をいったりきたりしながら、スリル満点のシーソーゲームを体験することになります。