「問い」から気づくコミュニケーションの本質
この記事は 『note お題企画「#推薦図書」を教えてください。』をテーマに書いています。
伝えるお仕事
20年ほど前、IT 業界でコールセンター業務に従事していました。
IT系なのですが、パソコンやスマホのコールセンターではなく、SE(システムエンジニア)向けのサービスでした。
エンジニア向けなので「業務システムのセットアップ作業がわからない」という 作業補助や「お客様の業務が停止してしまった!」という危機的状態のトラブルシュートまで幅広くやっていました。
「業務が停止!」という緊迫した状況は、普段の生活では、なかなかイメージしにくいと思います。
しかし実際は、「消防署が火災通報を受け取る」ように、ほぼ毎日、エンジニアからの悲鳴コールが、センター内で鳴り響いていました。
最近話題になった『東京証券取引所のシステム障害』は、このような危機的な状況です。
おそらく常駐しているシステムエンジニアも、トラブル報告を受けたコールセンターも、かなり大騒動だったのだろうと想像しています
本との出会い
一刻一秒を争う事態へ対応する職場ですので、お互いに頻繁にメールと電話でコミュニケーションを取ろうとするのですが、残念ながら、現場は混乱した状況、あせりや不安が錯綜してしまい、なかなか意図したことが伝わりません。
そして毎回、お互いの関係は険悪なムードへと悪い方向へ転がっていきます。
正直、そんな仕事に対して嫌気がさしていました。
そんな状況で出会ったのが、この山田ズーニーさんの本でした
「なぜ?」という問いを積み重ねる
文章を書くことを意識すると、どうしてもアウトプット行為に注視しがちです。
たとえば、技術文書(テクニカルライティング)の技法、文章の構成力、要約する力、起承転結の結から伝える、簡潔に述べる。などです。
当時、私はこのようなアウトプットの事ばかり考え、日々トレーニングしていましたが、なかなか相手に伝わりません。
いつの間にか「理解できない相手が悪い」と身勝手な発想になっていました。
しかし、山田ズーニーさんの本を読み、ハッとしました。
自ら「問い」を立てることによって、内なる自分の考えと向き合うこと。
キチンと伝わる文章を書くために、何よりも重要だということに、気づかされました。
長く、続ける。ずっと、続ける。
この本の著者、山田ズーニーさんが、今、どういう活動をなさっているのだろうと気になり、ネットで調べてみたら、なんと今でも、本の元ネタになったサイト”ほぼ日刊イトイ新聞”で、執筆活動を続けられていました。
インターネット黎明期からある ”ほぼ日刊イトイ新聞”
開始当時から、内容が興味深く、よく拝見させていただきました。
そのサイトで、今も企画が継続されている”おとなの小論文教室。”
改めて、継続することの大切さを感じてしまいました。
最後にこの本を読んでから、ずいぶん月日が経っていました。
明日、もう一度読み返して、自分が忘れかけていたものを、心に刻んでおこうと思います。
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