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暇人による『サンファン2』考察(前編)
これは身内で大流行中の『サンファン2』というボドゲの考察メモです。
人類の99.99%にとっては1ミリも役に立たない記事です。
☆サンファンで勝つ基準について
〇合計得点を競うゲームであること
大前提として、サンファンの勝利条件は最も高い得点を獲得することだ。
どんなに道中のゲーム展開を有利に進めているように見えても、最後の得点計算で27点とかだったら全く意味が無い。
では、だいたいどれくらいの点数を目指せば良いのか。
目安として40点取れたら上級者、40点後半~50点台は強運が必要といったところだろう。
このボーダーをイメージしやすいように簡単な計算をする。
1~2コスが1点、3~4コスが2点、5コスが3点とされているため、建物の平均点数を2点として、建てられる上限はインディゴを除く11枚である。
つまり、何も考えずにゲームを終えるとたったの23点しか取れない。
ここから約20点伸ばすためには1枚で6点以上獲得できるフィニッシャー級のカードを複数枚用意する必要がある。それぞれ火力にバラつきはあるが体感で3枚ほど用意出来たら40点は超える。
分かりやすいのは市役所11点などだが、このゲームには6コス以外にもフィニッシャーがいくつか存在するため、引きが弱くてもある程度は妥協できる。
そして、これらは当然12枚建てきるというのが前提である。
〇建物の数を競うゲームであること
序盤は仕方ないにしろ、建築士フェイズでパスをすれば建物の数で後れを取る。このゲームは相手の盤面に干渉することができないため、だいたい建物2枚以上の後れを取ったらその差は最後まで縮まらない。
得点でこの差を埋めようとするとフィニッシャーを多く建てる必要があるが、フィニッシャーはコストが重いため、普通は手札を整える準備が必要となる。そんなことをしたら更に建物の差は広がってしまう。
一方で、建物の数で優位に立っているプレイヤーは手札が潤沢であるため、フィニッシャーを複数枚建てることなど造作もない。建物の数で負けているのに得点効率で逆転などというのは無理な話なのだ。
〇手札リソースを競うゲームであること
このゲームは手札から建物とそのコストを消費するため、序盤は一気に手札が無くなっていき、どうしても建築士フェイズをパスしがちである。
その泥沼から抜けるためには、早期に、そして11枠という少ない枠の中に、どれだけリソースを稼げる建物を建てるかが勝負である。(ポイントとして、リソースとフィニッシャーを兼任するカードは存在しない。リソースとフィニッシャーのバランス感覚も大事である。)
後述するがまともなリソースカードは3コス以上なので、ゲームを通して手札の枚数が4枚以下になる瞬間が少なければ少ないほど、ゲームを有利に進められると考えてよい。
〇テンポを競うゲームであること
ここまでゲーム単位の話をしてきたが、一度少しミクロに、1ラウンド(総督1人分)内の話に移る。
建築士フェイズをパスするなという話をしてきたが、いつ建築士フェイズが来るかはそれぞれのプレイヤーに委ねられている。
つまり、もしリソースを稼げる建物を建てていたとしても、リソース確保の前に建築士フェイズを打たれればパスせざるを得ないことになる。
これを回避するためには、極論1ラウンド内の全ての役割フェイズでリソースを稼げるようにしておけばいいのだ。そうすれば、毎ラウンド総督が建築士フェイズから始めても、残り3ターンで(何を選ばれても)次のラウンドまでに手札を補充できる。もちろん厳密にそうする必要は無いが。
これが私がよく言っている「受けの広さ」である。詳しくはまた後述する。
このロジックを理解すればおのずと生産施設が弱いことに気付くだろう。
生産施設は監督→商人と2ターンかけて多くドローするというコンセプトだが、ドロー枚数よりもこの2ターンかけるテンポロスが致命的なのだ。
ドローまでの動きが1ラウンド内に完遂されるためには、他のプレイヤーも生産施設を複数建てている(=監督や商人を踏むインセンティブがある)必要があり、相手依存のプレイングになってしまう。
農場の悪口はこれくらいにして、サンファンで勝つための基本的な考え方を総括すると、建築→ドロー→建築をテンポよく循環させて、余った手札でたまにフィニッシャーを建てて12枚揃えよう!ということだ。
次節からはこの考え方を実際のゲームでどのように使うのかを見ていく。
☆一番大事な序盤の動き方について
〇見切りをつけるべき時と待つべき時
序盤はすぐに手札が枯渇すると書いたが、それゆえに序盤のリソース次第でゲームが決まると言っても過言ではない。
言うまでもないが、序盤はリソースにならない建物を建てるべきではない。
しかし、このゲームはリソースになる建物の格差が激しい。建てたら勝手にリソースを稼いでくれるようなカード(【知事官舎】など)もあれば、自分から戦術を寄せなければいけないカード(【マーケット】など)もあるし、ランダムなカード(【金細工所】など)もある。
序盤から順調にリソースを稼げる建物を建てるため、もしくはそもそもリソースになるカードが手札に無くて探しにいくためには、建築士フェイズをパスした方が良い。弱いリソースカードを建てて建物1枚分の差をつけたとしても、その後しばらく手札が枯渇し、他のプレイヤーが強いリソースカードを建てたらあっという間に建物の数は逆転されてしまうからだ。
しかし、この「待ち」にも限度がある。
このゲームはデッキが120枚以上ある状態でスタートするため、序盤から理想のリソースカードを引きに行くのは実力だけでは不可能である。
どこかで、とりあえずこれで妥協するかと見切りをつけるべきなのだ。
この目安は、やはり建物2枚差が付きそうな時だ。もっと言えば参事会議員の特権を1回使って引けないなら今日はダメだと諦めていい。
これは単純に建物の数で負けるというだけでなく、仮に毎ラウンド1枚ドローできる強力なリソースカードを1枚用意できたとしても、相手が2ラウンドに1回しかドローできない少し弱めなリソースカードを3枚用意していたらリソース量でも逆転できないからだ。
具体的にどのカードを待つべきか、どのカードなら妥協できるかは後述のカード解説で触れていく。
〇タバコなんてみんなやってんだからさ
ここで少し応用の話をする。先ほど散々馬鹿にした生産施設のことだ。
結論から言うと、序盤で周りが農業しまくってたら合わせた方が良い。
このゲームはどの役割を選ぶかはプレイヤーに委ねられているため、本来カードの強さはゲームごとに変化する。しかし、気持ち良くゲームをする上での王道展開があり、それに沿えば生産施設は弱く、【知事官舎】や【石切り場】が強いという認識が生まれる。
でもそれは前提だから、諦める理由にはならない。
王道展開に殉じた場合に生産施設が弱いのであって、ゲーム展開が生産施設に寄っていれば当然恩恵を得やすくなる。
例えば、監督と商人と建築士が1ラウンドで踏まれれば金鉱掘りか参事会議員は選ばれないため、【タバコ保存所】の方が【税関】や【知事官舎】、【金細工所】よりドローできる頻度が高くなるなんてこともあり得る。
何故この話を序盤のプレイングとして書いているかと言うと、序盤こそ1つ1つの特権を活用していく地道なリソース確保が大切だからだ。生産施設がまともに機能するなら監督や商人の特権を強く使える。特に1ラウンド目で総督から一番遠いプレイヤーは監督を踏まされるため、恩恵を受けやすく、後手という不利を緩和できる。
逆に言えば、監督や商人を踏むであろう総督から一番遠いプレイヤーを確実にハズレの番にするために生産施設を絶対に建てないというのも戦略の1つである。引きで勝っているなら生産施設などガン無視でいいのだ。当たり前だが、生産施設に寄ったプレイは商人で全員がリソースを稼いでしまうため、一人勝ちするためには普通に悪手であることは変わりない。
☆練度を高めるべきは中盤という話
〇フィニッシュまでの建物を逆算しろ
中盤というのは建物が6枚建ったあたりだ。ここまで来たら、既にメインフィニッシャーは手札に用意できていることが理想的である。
そうなると残りの6枚をどうするかの方針を決めた方が良い。6枚も建物が建っていれば引きたいカードを引きに行くことも難しくないはずだ。
そして、手札は常に5~7枚ある状態をキープできると仮定して、自分が何を建てたいのか、どの役割を踏むべきなのか、最低でも1ラウンド先まで考えて動くべきだ。
例えば、手札に【石切り場】と【知事官舎】があり手札枚数は潤沢とする。
【石切り場】も【知事官舎】も強いカードであり、できれば両方建てたい。
このとき、先に建てるべきは当然石切り場である。
何故なら、このあと【知事官舎】を建てることが確定しているならば【石切り場】の効果は次のラウンドで確実に機能するのに対して、【知事官舎】を建てたとしてもこのラウンドで参事会議員を踏まれないまま次のラウンドで建築士フェイズに突入してしまう可能性があるからだ。じゃあ自分で参事会議員を踏めばいいじゃないか(踏めない場合もある)と思うかもしれないが、自分が建てたい建物が引けていて手札量にも困っていないのならば、参事会議員は踏まない方が周囲とアド差をつけられる。
この2つの建物は同じコストでどちらもカード1枚分のリソースで差が無いため単純比較が出来るが、実際の分岐はもっと複雑なのでこの辺は慣れと状況次第である。
〇総督の位置を計算しろ
単純化のために先ほどの例題では仮定しなかったが、総督の位置によって自分の取るべき行動も若干変化する。
序盤は総督が誰でも大した差が無いように感じるかもしれないが、盤面が固まってくる中盤以降は総督はそのラウンドで圧倒的優位に立てる。
少し極端だが、他のプレイヤーの手札が3枚ずつしか無く、総督である自分は5枚あるとする。【石切り場】や【闇市】などは無いとする。
ここで建築士スタートすれば、自分は特権で5コスまでの強力なリソースカードを建てられるのに対し、他のプレイヤーは2コスまでのカードしか建てられず、ほとんどの場合は手札温存のために建築をパスせざるを得ない。
しかも、自分は建てたリソースカード(【知事官舎】や【金細工所】)の恩恵をそのラウンド内で受けて手札を補充し直し、次のラウンドでも安全に建築士フェイズを迎えることが出来る。
これは経験者と初心者が対戦する時によく見る状況であり、いつの間にか建物の数で差が付いていたというのは、序盤の引きの強さ以外ではこうしたテクニックによるものが多い。
もちろん逆もしかりだ。自分の手札が少ない時に総督の場合はドローできる役割を先に踏んで建築士フェイズに備えることが出来る。これはフィニッシャーを建てたい時にやることが多い。
このように総督を有効活用するために、中盤以降はゲームエンドまでの残りラウンドを予測し、自分が何回総督になれるのかを把握しておくことが大事だ。
〇相手を警戒することと自分を優先すること
ここからは少し好みの範囲というかゲームへの取り組み方に関わる話だ。
例えば相手の盤面に【金細工所】がある時、金鉱掘りを踏みづらい。
例えば相手の盤面に【知事官舎】がある時、参事会議員を踏みづらい。
しかし、金鉱掘りも参事会議員も特権が強力な役割である。
このような相手の妨害と自分の展開のバランスをどう割り切るかというのは難しい問題であり、このゲームの最大の醍醐味だ。
しかし、私は基本的に自分のやりたいことを優先させるようにしている。
なぜなら、このゲームはTCGとは違い、相手の出すカードを予測することは不可能であり、お互いに洗練されたデッキを使えるわけでもないからだ。
極端な話、相手が何枚多くドローしようがそれが全て生産施設なら負けるはずが無いのだ。
手札の量で直接勝敗が決まるゲームではない以上、自分の手札という確定情報から判断した方が合理的であるし後悔も少ないはずだ。
もちろん自分の動きを阻害しない(=手札量で損をしない)ならば、相手の妨害を優先させた方が良い場面もある。
最も多いのは相手の盤面に【図書館】が建っている時に建築士と金鉱掘りを先に潰すというパターンだろう。これは純粋に【図書館】を雑魚カードに出来る。
あとは相手の【税関】に商品が埋まっている時に参事会議員を打つ。これは参事会議員を打つこと自体が妨害とは真逆の行為なので諸説ある。
また、ごくまれに決まれば強力な一手として、全員が手札補充を選んで建築をしなかった最後の番で建築士を選ばずに手札の余剰分を捨てさせるというパターンもある。
〇抱えるカードと捨てるカード
前述のような妨害は厳密な正解があるわけではないが、もっと簡単な妨害の常套手段として、自分が既に建てている強いカードを手札にしばらくキープしておくという小技がある。
序盤はリソースカード、終盤はフィニッシャーを抱えておくことで見た目以上に点数の差を付けられたり、相手に無駄な参事会議員を打たせたりできる。
しかし、これは手札を圧迫しているため、過度に固執してプレイが歪むようなことがあってはならない。手札を圧迫しない強力な手段として【礼拝堂】に埋めてしまうことで点数に変換しつつ本当に誰も引けなくすることがあるが、その手札消費のせいで建築をパスしたら本末転倒である。
また、これと反対に捨てた方が良いカードもある。
それが2枚目の【税関】である。
禁止カード級の強さを誇る【税関】だが、実は2人以上の寡占状態になってから真価を発揮するカードだ。
なぜなら、【税関】も基本は生産施設と同じで2段階のフェイズを踏まなければリソースにならないからだ。【税関】を持っている他のプレイヤーに商人を踏んでもらえなければ、自分で踏む羽目になり、普通にテンポロスである。もちろんそれでも大半の都市施設より強力である。
【税関】持ちが3人になった時、【税関】は毎ラウンド2枚ドローする禁止カードに様変わりするため、できれば早くこの状況を作るべきなのだ。
しかし、例えば【港】を建てているプレイヤーが【税関】を引くと手が付けられなくなるため、2枚目を引いた瞬間に即捨てていいかどうかは考えるべきである。
☆各カードの軽い解説
入れようとしたけどクッソ長くなりそうだったので後編に回します。
フィニッシャーが何なのかとか受けを広くするカードが何なのかとか妥協して良いカードが何なのかとかを解説します。