VRChatユーザーは何故UnityやBlenderと「戦う」のか
【注意】この記事を読まれる前に
当記事は、BlenderやUnityを初め、現状の3Dクリエイティブツールに対しての批判記事ではありません。
特に、UnityやBlenderはその高い機能性にも関わらず、我々個人ユーザーが無償で使える素晴らしいツールです。
なので、この記事を見て「UnityとBlenderはわるいやつだ!」とか思わないでください。
むしろめっちゃすごいやつです。VRCはだいだいこの2つに支えられてます。
VRC界隈の方々はよくお知りかと思われますが、
VRC等で使用するモデルを改変、ギミックを仕込む、そもそもイチからモデリングするなどの作業をする場合、
VRCユーザー等々を始めとした、3Dアバターを扱う方々はUnityやBlenderなどの3Dモデルを扱うクリエイティブツールを用いて、様々な作業を行いますが、
その作業に対して、我々は
「戦う」
という、
そういったツールを使用するのが
非常に難しいのを承知で、
仕方なく、あるいは必要なので、それを扱う
といった意味の旨の発言をなさる方々が、多く見られます。
何故か。
その理由はいくつか存在します。
「そもそも、そういったツールを扱う機会のなかった方々が、
必要に迫られて、操作方法から覚えないといけない」
3Dオブジェクトを扱うアプリケーションを使う機会がなかった、もっと言えばクリエイティブなツールを使う機会がなかった方々が
初めて扱うアプリケーションとしては、UnityやBlenderは非常に難易度が高く、初学者がまず何から手を付けて良いのかわからない、操作方法を覚えるので手一杯、といった難しさから、頭を抱えるケースが多いと感じられます。
実際に、何度かこういったものの使い方を、私自身が人に教えてあげたことも何度かありますが、知ってて当たり前だと思っていた操作すらおぼつかない方も何度か見受けられました。
そういった方がUnity、Blenderを扱うのはかなり大変な作業になると思います…(普通にかわいそう)。
「他にはなかったり、独特である操作方法に
ストレスを感じてしまう」
特にBlender、それも2.79の頃によく見られた光景ですが、
その操作が、そのアプリケーションにしか存在しなかったり、独特の癖のある操作を求められるアプリケーションの場合、
前項と若干被りますが、扱いが非常に難しく、操作方法を覚えることが大変であるのも「戦う」理由の一つなのではないでしょうか。
かく言う私も、Blenderを使用した作業に何度も挑戦しましたが、最後にはさじを投げてしまうことが殆どでした。
とまあ、ここまでは
「そんなこといちいち記事にするまでもないじゃないか」
と、誰しもが思うかもしれません。
しかし、この記事を書こうと思った、否、
「絶対に共有せねばなるまい!」
とまで考えさせられた、あるもう一つの理由が、Unity、Blenderを難しくしてるのではないかと考えました。
それは…
「そもそも、3Dオブジェクトを扱う
ツールなのにも関わらず
それらのツールの操作は、
モニター越しに見る、2Dでの操作である!」
…です。
実際、VRCに用いられるクリエイティブツールに限らず、3Dオブジェクトを扱うクリエイティブツールの殆どは、デスクトップ操作で行わねばならず、
それは、例えるならば、「彫刻を作るために、キャンバスをそれぞれの面にいちいち移動させながら作る」ようなものなのです。
…たとえが下手なのでわかりにくいかも知れませんが。
とにかく!3Dオブジェクトという立体物の操作にも関わらず、それを操作するためのデバイスは、平面での操作にしか適さないマウスとキーボード、そしてそれを確認するためのデバイスは、平面状のモニターなのです。
3Dアバターにポーズを付ける作業は、特にその傾向が顕著に出ます。
フィギュアのポーズを作るような感覚で作れればいいのですが、モニター越しのマウス操作では、そうはいきません。
関節の角度や頭の位置の操作など、平面上の操作では、
一つの視点での操作だけではかなり難しく、マウス操作で視点を臨機応変に変えていく必要があります。
それで上手く操作できればいいのですが、いざ他の視点から見ると、
思った感じのポーズになってない状態などがよくあるもので、そのたびにストレスを感じます。イライラ
しかし、そうは言えども、モニター越しにマウスで操作する以外の方法で、3Dオブジェクトを操作する方法なんて少ないです。
抗う術などありません。我々は、諦めて立体物を平面で操作するしかないのです…。
そう、今までは…。
3Dオブジェクトを立体的な視点から操作する方法は、我々のすぐ身近なところにあるじゃないですか!
そう…
VRです!
(念の為言っておきますが、VRの代表例としてQuest2の画像を使いましたが、他のVRHMDも含まれます。)
VRHMDをお持ちの方は、こちらのアプリケーションを試してみてください。
こちらは120氏が作成された、VRMモデルをVR空間内で操作するアプリケーションです。
UIの操作方法が、一見だとすこしわかりにくいかもしれないので、ちゃんとReadMeは読みましょう。
こちらをすこしお試しのつもりで3Dモデルのポージングを試みてみましたが、プリセットなどを使用せず、イチからポーズを作るのに10分程度しかかかりませんでした!
(このぐらいのもの、私ならマウス操作でも10分程度で作れるとか言わないでください。
私は作れないので、悔しくて泣きます。)
だって、曲げたい方向に関節を手でひねって、持っていきたい場所に自分の手で持っていくだけですから。でもそれが出来なかったのが、従来のマウス操作による、3Dオブジェクトの操作なのです。
もちろん、文字を打ったり、細かな設定を変更したりするのには向いてないかも知れません。
でもそのぐらい被ってるHMD外せば出来ます。言うほどの手間じゃないです。
今はまだ、UnityやBlenderといった主流のモデリングや3Dエンジンのエディターは、VRでの操作には対応していませんが、
(VRで確認はどちらも出来ます。あとUnityは一部拡張次第?)
これから、VRがもっともっと普及していけば、近い将来、UnityやBlenderの操作がVRで可能になり、それらのツールとの戦いが、ちょっと楽になるかもしれません。
また、今現在VRで3Dオブジェクトを操作できるクリエイティブツールも、実際に多数存在します。
(VRCでみなさんがやりたいことに使えるかどうかはさておき…。)
以下は、そういった製品の例です。
こちらは、Googleが以前開発をしていて、開発終了時にオープンソース化し、その結果多数の派生アプリを生み出したVRお絵かきアプリ
「Tilt Brush」とその派生アプリに関する紹介記事です。
作例はこちら。
続いて、Oculusが開発を勧めていたツールをAdobeが買収し、現在はAdobe製品となっているVRモデリングツール「Medium」。
スカルプト造形でモデリングするタイプのツールで、なんかよくわかんないけどAdobeなのに無料(偏見)。
コチラの記事からの引用ですが、こういった細かいディテールの3Dモデルまで作ることが可能なようです。
VR関連のクリエイティブツールの例を全部あげてるときりがないので、
最後に、日本で期待されているVRアニメーション作成ツールである「AniCast Maker」についてご紹介。
AniCast Makerに関しては、
「VRを使って、誰でもたった一人でアニメーション作成が出来る、従来型のアニメーション制作とは異なるアプローチのアニメーション制作ツール」
という認識を持ってもらえればいいかと思います。
AniCast Makerについて思うことは、まさに本記事が伝えたかった
「扱っていたものが適していなかったために、
そのツールを使うハードルを上げてしまっていた問題」
を、アニメーション制作ツールという分野に対し、解決策として用意した、まさに、AniCast Makerを手掛けたGOROman氏の著書のタイトルである、
「ミライのつくり方」を体現したものである。
という非常に強いメッセージ性から生まれたツールであるという風に、私は解釈しました。(個人の感想です。)
このAniCast Makerが本当にミライをつくっていく、そんな期待を込めてここで紹介させていただきます。
(余談ですが、GOROman氏の著書、私のものぐさな悪いクセで結局読んでないのはナイショにしておいてください。)
最後に、結局本記事が伝えたかったことは、
「UnityやBlenderと戦わなければならないのは、
まだまだそれらのツールには、私達が使う上で
足りないものがあるからで、
それを解決してくれるバーチャルリアリティという
分野をみんなで応援していこう!」
ということでした。
(改めて言いますが、UnityとBlenderに対する批判ではないです。)
そして、そこに気づかせてくれた
「VRMお人形遊び」と製作者である120氏に、
多大なる感謝と敬意を表します。
マジでこれ試してください。↓
それでは。
ここまで、読んでいただいてありがとうございました!