生活保護から自立するための制度
精神保健福祉士養成のテキストで知ったのですが、生活保護者が利用できる「就労自立給付金」をご存じでしょうか?
生活保護受給中の就労収入は、福祉事務所に収入認定します。しかし、「就労自立給付金」を利用すると、収入認定した金額の範囲内で別途一定額を仮想的に積み立てて安定就労し、保護廃止に至った時に戻ってくる積立金があるのです。平成26年度から制度化され保護脱却後の生活を支え、再度保護に至ることを防止する制度です(以下、イメージ図)。
生活保護を受けている方で、いずれは保護から脱却し、就労したいと思っている人で、保護受給中に就労し収入認定している方は、「就労自立給付金」を利用し、保護脱却時のために積み立てをした方がいいです。
収入認定ですべて役所に返還ではなく、この制度を使えば、保護脱却した際に、積立てした金額が戻ってきます。
「就労自立給付金」について、担当の福祉事務所に訊いてみましょう。
福祉事務所は既存の制度を生活保護者にわざと教えないことが横行しています。せっかく自立のための制度が新しくできたのに、利用させないのでは意味がありません。
また、これも精神保健福祉士養成のテキストで知ったのですが、平成17年度から導入された生活保護者への「自立支援プログラム」策定というものがあります。自立まで就労支援員がサポートしてくれる制度ですが、表を見ると平成28年度で約4500人。生活保護の受給者が全国で約200万人なので、全体のわずか0.225%しかこの制度が利用できていないのです。
この「自立支援プログラム」の策定というのは、生活保護者ひとり一人に合わせた個別のプログラムの策定で、その人の就労先の希望に応じ、その人の意思を尊重して策定されるもので、働けない人に強制的に働かせるものではありません。 生保脱却したい人にはこうした支援があるのに役所は生活保護者にその制度の存在を知らせていないし、利用させないのはおかしいと思います。
【参考文献】『低所得者に対する支援と生活保護制度』第5版(中央法規)2019.
その他、生活保護を受給しながら学校などに通いスキルアップするための費用が出る技能修得費や、就職支度費なども生活保護制度の中にあります。生活保護者であれば自立に向けて誰しも利用できる権利がある制度ですので、できる限り制度を利用してより有利に生活再建を図って頂きたいと思います。以下、技能修得費などについて詳しく書いてあるサイトをご参照ください。
虐待の後遺症については、以下の書籍で詳しく描いています。
虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!