つくるもの纏うもの|茉記
背の順で並ぶと前から3番め以内に居続けたわたしのファッションは、トライアンドエラーの連続。
それはいまでも進行中だ。
幼い頃からほとんどのものが、9歳上の姉のお下がりだった。両親の好みのせいか、流行を感じさせないトラディショナルなものが多かったけれど、ひと昔前の雰囲気が漂うプリントやシルエットの服を着せられそうになると、いやだとごねた覚えがある。
小学生の頃、姉が読んでいたファッション誌のページをめくるたびに「どっちがいい?」と言った後、誌面に並ぶ好きなコーディネイトをふたりで「こっち!」と指す遊びをよくしていた。大学生が読んでいるファッション誌から、小学生のわたしも一緒になってコーディネイトの好きなポイントを見つけていく。この遊びからも、自分が好きなものに少しずつ出会えたきがしている。
10代は、そばかすとふわふわのヘアスタイルのモデルさんがとてもかわいいオリーブに夢中になり、何度も読んでは憧れのリセエンヌやパリジェンヌのマネをして…繰り返しながらなじんできた感覚は言葉では説明しがたいけれど、同時に「なんだか違う」をキャッチする感覚も得たように思う。
いまでも、パリジェンヌやマダムのファッションスナップを眺める時間はあっという間に過ぎてしまう。高校時代はサラサラワンレン全盛期。天然パーマのわたしは、オリーブを手に美容院へ行っては、美容師さんを悩ませた。天然パーマのルーツである父は、それは几帳面で清潔感重視だったため、父が編み出した技でウェーブを抑え、キッチリヘアで出勤していた。その技は子どもの目には吹き出しそうになるものもあったが、気持ちもわかりふむふむと感心していた。
コンプレックスや憧れから失敗を繰り返しながら、自分にフィットするものを見つけていくのも悪くない。
だんだんとファッションにもストーリーがあることを知り、音楽とファッションの関係もとても魅力的で…このエッセイを書きながら、ファッションにずっとときめいていることに改めてきづかされている。
オリーブで出会ったコンバースは定番となり、長年メンテナンスしながら身に着けるアイテムに出会えたこともファッションの楽しみのひとつだ。60年以上前に作られた母のコートを着ることもある。
最近は着心地と、なにより身に着けた時に感じるきもちをたいせつにしている。
誰かが着ている姿がすてきでも、自分が着るとまったく違う印象になってしまうのは、身長や骨格だけではなく、内側からにじみ出てしまうものも纏っているからだろう。そう思うと日々じぶんをつくるものも、ていねいに選んでいきたい。
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