「気持ち」だけでは応援にはならない。
とある音楽関係者さんとご飯へ。
その方が担当しているのは、
もともと武道館をいっぱいにする
著名なアーティストさん。
「でもそれは昔の事で、
今、武道館ライブをやったらうちは倒産します」
絶対に集客が出来ないから、
チケットの赤字だけで事務所ごと吹っ飛ぶとのこと。
昔、1万人のお客さんを湧かせていた
アーティストさんが今やっているのは
地方の200人規模のライブハウスでのライブ。
地道に地道に。
「それがないと、生活ができない」
移動はお金がかかるから、車で。機材と人を一緒に運ぶ。
それでも、会場費とスタッフの人件費を払ったら、チケット代金は
チャラになっちゃうから、どこで儲けるかといったら物販。
Tシャツやタオルの売り上げがアーティストの生命線。
「昔はCDで『音楽』売ってたのに、
今は『Tシャツ』が売れるかどうかが、音楽活動の生命線」。
どこにいくにも何をするにもお金が無く、スタジオを一か月かりて、
曲作りにゆっくりじっくり時間をかけたのはもはやおとぎ話。今はスタジオ費、出せたとしても2日分だって。
作曲が出来る人間は売れっ子アーティストの曲をつくって印税でなんとか食べれるけれど、それ以外の、楽器を演奏するだけのメンバーとは生活格差が生まれ、メンバーの仲が悪くなる。
そして「本当はライブなんてやりたくない」とアーティストご本人はおっしゃる。
「昔は武道館埋めてたっていうプライドがあるから、200人の前で歌うたびに、消耗する。体力も、自信も」
でも、ライブをやらなくちゃ、次の音楽をつくる元手が無くて。
そんな話を聞いて「ユーチューブとかもっと使えば…」なんてどこかのインチキ代理店みたいな、安易なことは言えなくて。もっと何か奇想天外な打開策がいる。だってユーチューブやったって、テレビ出たって、本が売れるわけではないことを、私は誰より知っている。
作家もアーティストもそれぞれに大変だ。私は私で、新刊のプロモーションに頭を抱えているのだけど、何もかも他人事じゃない。
こんな狭い場所だけど、声を張って言いたい。あたりまえのことだけど、誰かを応援したかったら、物を買おう。サービスを使おう。ブログに書こう。イベントに行こう。
気持ちは態度に表わさないと無いのと同じ。
好きな作家さんや、アーティストさんがいらっしゃる方は、頭の片隅にでも、この話、いれて頂けたら嬉しいな。
みんな、それぞれの場所で頑張ってるし、成功者に見える人は水面で誰よりももがいてる、ってそんなことを噛みしめる午後。
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