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「お座敷桃源郷パノラマ号」乗車記

2022年3月下旬に千葉から小淵沢までを結ぶ臨時列車「お座敷桃源郷パノラマ号」が運転された。使用車両は485系<華>。いわゆるお座敷列車である。なお、残念ながら現在はこの車両に乗車することはできない。
今回はこの列車を往復乗車したので、簡単にではあるが、どんな感じであったかというのをご紹介させていただきたい。

往路(千葉→小淵沢)

朝7時に千葉駅に到着。本日は休日だから、この時間にはもう人の賑わいが出来つつある。改札内にあるNEWDAYSで食料を買い込んでから8番ホームへと足を運ぶ。

小淵沢行きの表示を見てニッコリ

ホームに降りると、すでに鉄道愛好家がひっきりなしにホームを歩き回っており、特別な車両が来るという非日常感で溢れている。そして入線の時間。ホーム上にいる人々の視線はすべて<華>に注がれていた。

千葉駅にて
このようにお座敷仕様になっている

定刻で千葉駅を出発。まずは総武快速線を快調に走行して、津田沼・船橋・錦糸町と停車していく。今回の列車ではツアー客用の席が用意されているようで、1つの号車がもぬけの殻となっているのが印象的だった。御茶ノ水方面の総武線を経由して、中央快速線(中央本線)の線路へと進路を移れば、まもなく新宿駅。ここから全席が満席になり、お座敷仕様の威力を発揮するときが訪れる。車内は話し声で溢れかえり、まさに居酒屋といった感じで、実際に酒を入れている方も散見された。そのような状態で列車は山岳区間へと入り、気温も次第に下がっていくのが肌で感じられた。

一部号車に設置されているフリースペース

途中の塩山駅で特急列車の通過を待ってから、山梨県の拠点甲府を通って、この列車の名前にふさわしい桃源郷が沿線に広がってくる。そのような優美な風景を見ていると、あっという間に終着の小淵沢駅に到着である。
3時間以上かかったわけだが、そんなにかかったのかと疑問に思うほど楽しかった。復路も新しい発見をして楽しめれば良いと思いながら小淵沢駅に降り立ったのだった。

小淵沢駅にて

復路(小淵沢→千葉)

陽が陰ってきた頃にお座敷車両が小淵沢駅に戻ってきた。往路と同じく満席だということだったが、甲府駅まで行っても実際に満席になることはなかた。これは臨時列車ではよくあることであり、中にはきっぷの収集目的で押さえてしまう方もいるとかいないとか。一言付け加えさせていただくと、禁止されている行為ではないが、ただし・・・
また、行きとは乗客層が異なっており、往路は家族連れが多かったものの、復路は通してそのような人々はあまり見られなかった。

小淵沢駅にて

都内へ戻ってくると、八王子駅から乗車する層(たぶん大回り乗車)が増えたが、新宿駅まで進めば、あとは次第にぽつぽつと降りていくだけ。
そして夜と化した時間帯に終着の千葉駅に到着。私がいた号車を見ただけだが、乗り通した方はあまりいないように見受けられた。

さて往復乗車した感想を最後に述べてみる。結局はこの乗車が最初で最後になったわけであるが、一人で乗るにはハードルが高いように思われた。度胸があればそんなことは問題ないかもしれないが、自分がいる机で酒盛りが始まってしまったらそれまでである。フリースペースがあるから、そこへ逃避するというのも一つの選択肢だ。ここまでネガティブなことしか書いていないが、乗る価値はお墨付き。私も以前までは上記の理由から見送り続けていたけれども、もうそろそろ潮時かもしれないと頭に浮かんだから、参戦した次第だ。
非常に有意義な日になったのであった。

おわり

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