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暑熱順化ってなんだ?〜体液キープというパワーワードが誕生した!

仕事場にはラジオが流れていて、ながら聞きながらよく耳にするようになった言葉がある。『暑熱順化=しょねつじゅんか』。ワイドショーなんかでも取り上げられているみたいだけど、ここにきて急な話題沸騰ワードです。

トレイルランニングの世界ではコアな人を中心に当たり前のように使われていた言葉でもあるのだけど、こうしてマスメディアで使われるのはここ最近ではないだろうか?


定義

言葉として使っていたけど、実はよく知らない。
その中身まで言語化できない。
なんとなく聞いたことはあったけど、詳しくはチンプンカンプン。

そんな人のためにここは定義して残しておきたいと思い立ち、解説役として声をかけたのがこちらのお二人。

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芥田さんがiPhoneで「しょねつじゅんか」と打っても正しく漢字変換されないほど、まだ一般には馴染みのないこの言葉を、まずは総論として定義しておこう!と始まったのがこの回です。

冒頭26秒から本題でもある「暑熱順化って何?」という"そもそも論"からスタートします。

芥田さん曰く「暑さ対策の一つ」と。
斎藤さんは「暑い温度に体を慣らす」と。

心頭を滅却すれば火もまた涼し』のように気持ちが暑さに慣れるのか、物理的に体が暑さに慣れるのか? といった導入話を経て、人間の体は暑さに対して"発汗"によって熱を放射し、心拍を上げて体液を循環させようとする話。

そして、正しく順化していれば、その心拍は抑えられたり、汗をかいても、サッと引いたりなど、順化というメカニズムの話へと移っていきます。

それは、体にサインを送る脳の順化でもあり、体の持つ本来的な強制力も補足されました。


パワーワード【体液キープ】の登場

5分を越えてきて、前段の次に展開されたのが、暑さに対しての人間の体のメカニズムです。長年レースサポートをしてきた芥田さんが先陣を切りました。

選手たちに言うのは、発汗によって体熱の上昇を抑える働きは、汗をかいて失われた水分を補充し続けることと同義で、それはただ水を飲むことではなくて、体液を増やすこと。

すると斎藤さんがすかさず解説を入れてきます。

人間の体は60〜65%が水分と言われる。この水分を体液と呼ぶとすれば、体液とは血液、リンパ液、筋肉や細胞の中の水を指す。
体脂肪=80%脂肪+20%水分
筋肉=80%水分+20%タンパク質
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
この状態をキープすることが大切!

筋肉がなぜ脂肪より重いのか?の答えが水分量(体液)の違いであったことが思わぬところで分かったわけですが、体から水分が失われ、足の筋肉がつるメカニズムとして、筋肉は80%を構成している水分が少なくなる=硬直化が始まることが、ここで語られたことにもなりました。

では、失われていく水分をどう取り入れれば良いのか?という実践編へと話は展開していくのが7分を越えたあたりからです。斎藤さんは人間の体を大きなタンクと見立てて、わかりやすく解説をしていきます。

すると、芥田さんの口からパワーワードが発しました。

「体液キープ!」

体に供えた水のタンクが満杯だとすると、汗をかくと底の栓が抜かれ、タンク内の水は減っていく。そこで、蛇口から水分を足していくと、その水の減りは抑えられる。蛇口が水分補給ということ。

体に供えたタンク内の水=体液を補給によって維持すること=体液キープが暑さ対策(発汗時の対処法)として大切だ!とお二人は解説してくれました。

そして、補給する水分は水ではなく、ナトリウムを含んだ電解質であることが大事で、塩熱サプリのような塩タブレットやスポーツドリンクを摂取すると良いと教えてくれます。


暑熱順化すると体はどうなる?

10分を過ぎたあたりからの話は「暑熱順化がうまくできたとしたら、体はどうなるのか?」という、暑熱順化成功の判断のお話に。

暑熱順化ができると、発汗で出るナトリウムの量も少なくなる。それは発汗の燃費(効率)がよくなることを意味する。体の水分量をなるべく減らさないようにすること=体液キープ!が暑熱順化には大切。

その後、斎藤さんの豆知識を挟んで、ランナーがよく取り組む2つの暑熱順化の方法について話を聞いています。2つとは「ウォーターローディング」と「サウナ練」です。

この2つについては、別の回で詳しく掘り下げているので、ここでは控えておきますね。

そうしてラスト4分で「暑熱順化にいい方法」と「汗をかくということ」の話題で締めていきます。

暑熱順化にいい方法とは、ヒマラヤ登山の高所対策が徐々に高度を上げ、時に下げ、また上げていく低心拍トレーニングのように、徐々に体を慣らしていくのが良いようです。

発汗という人間に備わった高度な機能をきちんと作動させるために、日常から汗をかくようにすると、汗のかき始めや汗の引きが変わるそうです。いつまでもダラダラ汗をかくのは暑熱順化としては不十分で、ナトリウムを含んだ電解質を補給し続けて、体液キープを心掛けてください。


まとめ

20分を超える長い回となりましたが、説明欄にインデックスを貼ってあります。ご自身の興味ある箇所から見ることができるので参考にしてください。

00:26 暑熱順化とは?
05:14 暑さ対策のメカニズム
07:13 水分の取り方と体液キープ
10:06 暑熱順化すると体はどうなる?
10:41 ハチミツおじさんの豆知識
11:22 ウォーターローディングとは?
13:44 サウナ練ってどうなの?
16:17 暑熱順化にいい方法
17:24 汗をかくということ

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