谷本洋之

絵を描いたり、文章書いたりしてます。

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最近の記事

インスタントラーメン

昼食は、インスタントラーメンで済ませようと思い、電気ケトルでお湯を沸かす。 沸かしている間、パッケージ裏面の調理方法を確認する。 「めんを煮込んだお湯とは別のお湯を使用してください」と書かれていた。 わざわざそんなふうに書かれているのを初めて見た。 パッケージ上のラーメンの写真と商品名のロゴは、古めかしい、というか古くさい感じがし、ロゴの左上には「復刻版」と書かれている。 昔のインスタントラーメンは、そういう作り方をするものだっただろうか? しかし結局、めんを煮込んだお湯に粉

    • ひまわり

      10時頃に目を覚ました。 頭痛が、昨日最後に飲んだハイボールに含まれていたアルコールを、過剰量として表現していた。 11時ごろ、尿意に耐えかねて、起き上がる。 流しに置いてあったグラスをいい加減に濯いでから、水道水を2杯ほど飲み込んだ。 ケトルに湯を沸かしている間に、軽くシャワーを浴びる。 髪も乾かさずに、カップラーメンを食べる。 腹も満たされ、気分もいくらかスッキリしたところで、作業用のちゃぶ台に向かい、鉛筆を走らせた。 卓上の隅には、小さいひまわりの一輪挿し

      • 空洞、透明

        空洞。 のぞく。無が跳ねる。 絶えず、ぐるぐる。 渦をなす。呑まれて。 闇を着て、闇を歩く。 つまづいたなら、石ころくらい、落ちている。 拾い上げたら、闇を包む殻は、無限遠にに溶ける。 空はたちまち広く、光が、私の目、肌を焼く。 新しい五感で、色彩を喰む。 でも、気付けば、またのぞいている。 透明。 ない。 ない。なさ。希薄さ。寄る辺なさ。 それすら知らない。見ないふり。 吹けば飛ぶ。飛べ。 ない。「ない」ことにするな。誰か。 誰か、「ある」に

        • マット

          朝起きて、簡単に身支度をして区役所に向かう。 国民年金と健康保険の手続きを済ませる。1時間もかからない。 年金係の待合席から見える壁面には、絵画が展示されていた。2つの絵画サークルの合同での展示のようだ。 大半が風景画であった。一枚の水彩画が目を惹く。 空の青、水に映り込む青。 深く透き通った青。 面白味の欠けた青。 それがどうにも美しい。 木々の葉の茂った濃い部分の暗い色づかいが、画面全体を引き立てている。 遠くに、スカイツリーがどこか冗談みたいな格好で写

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        記事

          恐怖について

          恐怖について 一昨日、ジムに行って、いろんな人とマススパーリング(怪我しない強度の実戦練習)をした。 初めての相手とやるのは少し怖い。初めてじゃなくても、コーチ以外だと少し怖い。向かい合うだけでも怖い。 俺よりも経験の浅い20代くらいの子が、強そうな人とスパーをやっている。 腰がひけている。苦し紛れにローキックを出すと、強めのローキックが帰ってくる。 そりゃ怖いよな。退がりたくなるよな。 動きが止まると何度もローが飛んでくる。 最後は、蹴られた足を抱えて倒れ込ん

          恐怖について

          外観

          洗濯物が、風で僅かに揺れている。 淡色のジーンズと、Tシャツが2枚。 Tシャツの色は、真っ白な無地のものが一枚、もう一方は、ベージュとオレンジを混ぜたような色で、胸から腹の部分にかけて、カバが2匹歩いている。 今日は朝から天気がいい。 ちょうど12時ごろに干した洗濯物は、もう乾いているのかもしれない。 もうすぐ出かけるから、その前に取り込もう。 ベランダの洗濯物越しに、公園に続く小さな路地を挟んで、白い外壁の家が見える。 しかし、私が座っている部屋の中央から、ベランダ側にお

          わからない

          ラーメンの食べる順番がわからない。 ラーメンに関していえば、私は小学2年生だ。 ここ最近までラーメンから逃げ続けてきたからである。 今の私には、本当に難しい問題なのだ。 今日食べたラーメンの具材は、ネギ、メンマ、海苔1枚、チャーシュー3枚、味玉1個。 基本的には、スープ、麺という繰り返しで、リズムの骨を形成していく。 ネギは、そのリズムに付随して、ほぼ自動的に口の中に運ばれ、小節の頭に入るクラッシュシンバルのように、リズムに関節を与えている。 さて、ここまではい

          わからない

          ラーメンこわい

          ラーメンがこわかった。 どういう意味か。 きらいなわけじゃないし、まったく食べないというわけではない。 でもラーメン屋には、めったに入らない。 お昼時でも、混み具合だけ確認して、素通りしてしまう。 だいたいの日本人は、ラーメンが好きだと思われる。 人が4人あつまれば、だいたいラーメンの話をする。 「あの店は、味噌ラーメンがうまい」とか「新しくできた店にはいった?どうだった?」とか。 私は、その議論からはいつも一歩引いて「へぇ、おいしそう」というだけだった。

          ラーメンこわい

          『私は蚊であります。 なんの例えでもなく、ショウチョウテキな話でもありません。 まぎれもなく蚊なのです。 人の言うところの、蚊という虫に相違ございません。 ハエ目糸角亜目カ科に属する、蚊、です。 分類に関しては、今しがた調べたのだから間違いはないかと存じます。 その蚊が、あなたになんの用かと言えば、取りたてて用はないのです。 私は、ただ蚊であるが故に、蚊としての本分を全うしているだけに過ぎないのです。 それがなんの因果か、こうしてあなたの頭の片隅に、邪魔するこ

          『ルックバック』2日連続で観ました!

          『ルックバック』、観ました!2日連続で! いやーよかった。2日とも見終わった後、しばらく立てませんでした。 終盤、もの凄い勢いで感情の渦がどんどん膨らんでいって、その巨大な渦が、その勢いと質量をそのままに、比べてみるとあまりにも小さくちっぽけな身体(作中の藤野あるいは私の)に、すっぽり収まってしまったような。そんな感覚に捉われて、すっかり放心してしまいました。 大変素晴らしい体験でした。 大枠で、ざっくりとこの映画を捉えるならば、”「〜したい」という欲求に対する応援歌で

          『ルックバック』2日連続で観ました!

          夕立

          麦茶つくる用のボトルはやっぱあったほうがいいな。 さっきスーパーで見たら、800円くらいだったから、百均に寄って帰ろうと思ったけど忘れてたや。 図書館から帰って、一息ついたところで、そう思い立って、またすぐに家を出る。 午後5時少し前、弱い雨が降っている。 暑いでも涼しいでもない、曖昧な空気感の中、傘をさして歩く。 昨日、退職願を出した。 2ヶ月後には、はれて無職である。 3日前に急に決めたばかりのことで、彼女にも、昨日伝えた。 「好きにしたらいい」という言葉

          シュークリーム

          踏んだな、何か。 ぐちゃり。かな。 いや、ぐっちゃぁり。 いやいや、「ぐ」が違うんじゃない? ぶっちゅあっちゃり。 「ちゃり」で終わる感じもなんかな。 半濁音も入れたいね。すると、ぶぷぶっちゅあっちゃり。 やっぱ「ちゃり」か。 シュークリームだったな? 暗くてよくわかんなかったな。夕闇だもんな。 夕闇って、あんま使わないけど、「夕闇」としか言えない暗さがあるよな。その暗さだな。うん。 急いでいたから、あんま確認しなかったけど、犬の糞でなかったのはたしか。

          シュークリーム

          ストレスの発散、自覚

          去年の暮れから、キックボクシングを始めました。 ですが、私は特別、格闘技が好きなわけではないのです。 格闘技の試合中継などが偶然テレビに映っても、平気でチャンネルを変えていたくらいです。 それでは何故?と思うでしょうか。 「心身の健康のため」というのが、主な理由です。実際に、いつもそのように答えています。 しかし「それなら格闘技じゃなくていいじゃないか。痛そうだし…。」と思われるでしょう。 むしろその「痛そう」が重要だったのです。 もう少し解像度をあげて当時の心

          ストレスの発散、自覚

          ヘキサン

          分液ロート、と言われてわかる人はどれだけいるだろうか。 分液ロートは主に、有機溶剤などによって、水から目的成分を抽出、分離する用途で使われるガラス器具だ。 化学の実験で使ったことのある人なら覚えているかもしれないし、私みたいに今も使っているなら、当然その形を思い浮かべるのは容易だろう。 その形は、にんじん、あるいは気球。気球の方が適切だろうか。 大きさはにんじんくらいだけど、形は気球という方がしっくりくる。 気球は文字にすると、気、球、なのか。 なるほど。 で、その

          夏の視線

          朝の9時、職場に電話をかける。 「おはようございます。今日は病院寄りたいので午前休にしてください。」 前後の記憶がないから、かなり寝ぼけていたような気もする。 しかし、今日の午前は大した仕事もない。すんなりと仮病はまかり通った。 ただの、深刻な、寝不足だ。 電話を切ったあとやっと眠気がやってきたので、浅い眠りに落ちる。 12時には起きて、身支度をして出かける。 駅前のチェーンの蕎麦屋に入る。 10分程度歩いただけだが、汗でシャツが体にまとわりつく。クーラーの効いた店内でも、汗

          銭湯とリズム

          駅前でおださんのライブを観る。開始と同時に日が少しかげって、なんとか日傘なしでもステージ正面に立てる。それでも、まとわりつくように暑い。帽子の中が汗で蒸れてかゆい。 1曲目と最後の曲が、軽快で心地よかった。最後の曲のドラムソロ、多次元にうねるようでかっこよい。 久々にラーメン屋に入る。店主がとても丁寧な態度だった。醤油煮干し味玉。ラーメンは一口目が一番好き。紫玉ねぎのみじん切りが楽しい。美味しいけど、最後は少し飽きる。終盤に味玉をまるまる残すのは失策だったかもしれない。 帰っ

          銭湯とリズム