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2025-02-21 米国金融市場動向
総括
21日の米国市場は、景気減速懸念とインフレ圧力が重なり、大幅な下落となりました。ダウ平均は748ドル安と1カ月ぶりの安値をつけ、S&P500やナスダックも軒並み大幅下落。米PMIや消費者態度指数の悪化、関税政策の影響によるインフレ懸念が投資家心理を悪化させました。一方、ディフェンシブ銘柄には資金が流入し、相場の一部を支えました。
1. 株式市場
1.1 概況
ダウ平均 : 43,428.02ドル(-748.63ドル、-1.69%)
S&P500 : 6,013.13(-104.39、-1.71%)
ナスダック総合 : 19,524.01(-438.36、-2.20%)
市場は午後にかけて売りが加速し、特にテクノロジー株や消費関連銘柄が大きく下落しました。ナスダックは2.2%安と、2024年11月以来の週間下落率を記録。ダウ平均は週間で1,118ドル安と、大幅な調整局面に入りました。
1.2 VIX指数の日中の動き
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VIX(恐怖指数)は、取引序盤では15台で安定していたものの、米PMIや消費者態度指数の発表を受けて急上昇。深夜にかけて19台まで達し、終盤はやや落ち着いたものの依然として高水準を維持しました。市場のボラティリティが急激に上昇したことが、リスクオフの流れを加速させた要因の一つとなりました。
1.3 株式市場変動要因
ポジティブな要因
S&P500企業の76%が市場予想を上回る決算
→ 企業の業績は底堅さを示しており、一部のディフェンシブ銘柄には資金流入ディフェンシブ株が上昇(P&G、メルク、アムジェン、ゼネラル・ミルズ、クラフト・ハインツ)
ネガティブな要因
米PMI(2月速報値)が50.4に低下、サービス業は49.7で不況水準
2月の消費者態度指数が64.7に下方修正
1月の米中古住宅販売が市場予想以上に減少
関税政策によるインフレ懸念が拡大
1年先のインフレ予測が4.3%と上昇、FRBの利下げ期待が後退
ユナイテッドヘルス(-7.2%)が司法省のメディケア請求調査で急落し、ダウを220ドル押し下げ
テスラ、リビアンがリコール発表で4.7%下落
ウォルマートが収益見通しを下方修正し2.5%下落、消費関連株への懸念を強めた
エヌビディアが決算前の不透明感で4.1%下落
ブロック(-17.7%)、アカマイ(-21.7%)が業績悪化を嫌気され急落
VIX(恐怖指数)が2月3日以来の高水準に上昇
1.4 セクター動向
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エネルギーセクター は原油価格の影響で下落
テクノロジー株 は全面安、エヌビディア(-4.05%)、マイクロソフト(-1.90%)、グーグル(-2.65%)
消費関連株 ではアマゾン(-2.83%)、ウォルマート(-2.50%)が下落
ヘルスケア株 ではユナイテッドヘルス(-7.2%)が大幅安
ディフェンシブ銘柄のP&G(+1.81%)、ゼネラル・ミルズ(+3.00%)、クラフト・ハインツ(+3.00%)などが上昇し、市場の一部を支えました。
1.5 個別銘柄
TSLA(-4.7%) : 車両リコール発表で下落
NVDA(-4.1%) : 決算発表前の警戒感で売り
WMT(-2.5%) : 収益見通し下方修正
UNH(-7.2%) : 司法省のメディケア請求調査で急落
2. 米国債券・為替市場
2.1 概況
10年債利回り : 4.43%(-0.07%)
2年債利回り : 4.20%(-0.07%)
景気減速懸念の高まりを受け、安全資産としての米国債に買いが入りました。特に長期債の需要が増え、10年債利回りは2週間ぶりの低水準に低下しました。
2.2 Fed Watchツール
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次回のFOMC会合は2025年6月18日に予定されています。現行の政策金利は425-450bps。市場では
400-425bpsへの利下げ : 48.1%
据え置き(425-450bps) : 37.4%
375-400bpsへの利下げ : 13.9%
と予測されています。市場は利下げを織り込みつつあるものの、FRBの慎重な姿勢もあり、見通しは流動的です。
2.3 債券利回り曲線(イールドカーブ)
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短期金利はやや低下、10年債利回りは4.43%に低下
1年前と比較すると全体的に高止まり、FRBの利下げ観測が影響
安全資産への逃避が進み、長期債の利回りが低下しています。