2024-11-08 米国金融市場動向
総括
11月8日の米国金融市場は、トランプ前大統領の選挙勝利とFRBの利下げ決定を受け、株式市場が最高値を更新し続けています。ダウ平均は新たに44,000ドルを突破し、S&P 500も6,000ポイントに迫りました。一方、債券市場では、利下げと選挙の影響で長期債が買い戻され、10年債利回りは4.30%まで低下しました。米消費者態度指数の上昇も、米経済の堅調さを示唆しています。
1. 株式市場
1.1 概況
8日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が259ドル（0.59％）上昇して44,000ドルを突破し、最高値を更新しました。S&P 500も続伸し、一時、6,000ポイントに達しました。選挙結果を受けたトランプ政権の減税・規制緩和期待と、FRBの利下げが相場を支えました。テスラやユナイテッドヘルスなどの一部の銘柄が特に好調で、消費関連株も上昇しましたが、アマゾンやマイクロソフトといった一部銘柄は軟調でした。
1.2 VIX指数の日中の動き
VIX指数は、取引序盤で15.2を超える水準まで上昇しましたが、その後は徐々に低下し、終盤では15.0付近で推移しました。この動きは、トランプ政権への期待感による市場の安定化が背景にあると考えられますが、一部では依然としてリスク警戒感が残っていることも示唆されています。VIX® Index Charts & Data
1.3 株式市場変動要因
ポジティブな要因
トランプ前大統領の勝利による減税・規制緩和などの経済政策への期待
FRBの0.25％の利下げ
ミシガン大学の米消費者態度指数が市場予想を上回り、7カ月ぶりの高水準に達したこと
「ゴルディロックス相場」の継続期待（経済成長と低インフレのバランスが取れた状態）
共和党が議会を掌握する可能性が高く、ビジネス優遇政策が進展する見通し
テスラやAxon Enterprisesなど、トランプ支持関連銘柄の株価上昇
ネガティブな要因
トランプ政権の関税政策がインフレを引き起こすリスク
急速な株価上昇による市場の「テクニカル的な過熱」懸念
AirbnbやPinterestなど、企業の収益予測が期待を下回ったことによる株価下落
1.4 セクター動向
S&P 500のヒートマップでは、特にエネルギー（Exxon Mobil, Chevron）や消費関連（Procter & Gamble, Walmart）、そしてテスラを中心とした自動車セクターが堅調でした。一方、半導体セクターではエヌビディアやアマゾンが下落し、ハイテク株にやや弱さが見られました。エネルギーセクターの上昇は、経済成長期待による需要増が背景にあります。Stock Heatmap — TradingView
1.5 個別銘柄
テスラ（TSLA）: 株価が9%上昇し、時価総額が1兆ドルを超えました。CEOイーロン・マスクのトランプ支持表明が市場に好意的に受け止められたことが影響しました。
エヌビディア（NVDA）: ダウが最高値を更新する中で下落。他の構成銘柄が上昇する中で、ハイテク株に弱さが目立ちました。
2. 米国債券・為替市場
8日の米国債券市場では、10年債利回りが4.30%に低下しました。選挙後の債券売りによる利回り上昇が一巡し、持ち高調整の買いが入ったことが影響しました。また、FRBの利下げや、次期トランプ政権の政策に対する不透明感も安全資産である米国債の需要を支える要因となりました。
2.1 Fed Watchツール
次回のFED会合は2024年12月18日に予定されており、現行の政策金利は450-475bpsです。市場の予測では、425-450bpsへの利下げの確率が64.9%、据え置き（450-475bps）の確率が35.1%とされています。これは、利下げ期待が高まっているものの、景気堅調さを背景にFOMCが慎重に判断する可能性があることを示唆しています。CME FedWatch
2.2 債券利回り曲線（イールドカーブ）
現在のイールドカーブは1か月前および1年前と比較してフラット化が進んでいます。短期金利がFRBの利下げによって低下し、10年債を中心とした長期金利は景気の強さから上昇していることが要因です。これは、市場が長期的なインフレリスクをある程度織り込んでいることを示唆しています。US government bonds
3. 関連動画
一部ナレーションを訂正します。
訂正：「0.50%の利下げ」→「0.25%の利下げ」
公開済みYouTube動画『米国金融市場概況』