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2024-12-18 米国金融市場動向

総括

18日の米国市場は、FRBのFOMC後に発表された利下げ回数の減少見通しが市場予想を下回り、株式市場が大幅下落。債券市場も売りが広がり、長期金利が急上昇しました。株式はすべてのセクターがマイナスで終え、リスクオフの動きが鮮明となりました。

1. 株式市場

1.1 概況

ダウ工業株30種平均は1,123ドル(2.58%)下落し、42,326.87ドルで引けました。この下落は10日続落となり、50年ぶりの記録的な低迷です。S&P 500指数は2.96%下落の5,869.22、ナスダック総合指数は3.56%下落し、19,392.69で終えました。これらの下落は、FRBの利下げペース鈍化の示唆と長期金利の上昇に起因しています。

1.2 VIX指数の日中の動き

VIXの日中推移

VIX指数は日中15付近で推移していましたが、深夜帯に急上昇し、一時30を超える場面もありました。この動きは、FOMCの結果発表後に投資家のリスク回避姿勢が一気に高まったことを反映しています。VIX® Index Charts & Data

1.3 株式市場変動要因

  • ポジティブな要因

    • ネットギア:競合のTPリンク製品調査により、需要増加が期待され株価上昇(+4.78%)。

    • ユナイテッドヘルス:制度見直し案による収益影響が限定的との見方で上昇(+2.92%)。

    • ジェイビル:AI関連需要による業績好調で株価急騰(+7.26%)。

    • ビルケンシュトック:決算発表が好感され株価上昇(+1.96%)。

  • ネガティブな要因

    • FRBの2025年の利下げ見通しが4回から2回へ引き下げられたこと。

    • 10年物国債利回りが4.52%に上昇し、株式の割高感が増したこと。

    • ハイテク株に利益確定売りが広がったこと。

    • テスラ(-8.28%)やブロードコム(-6.91%)など、ハイテク銘柄の急落。

1.4 セクター動向

S&P500の株価ヒートマップ

株価ヒートマップから、すべてのセクターが赤色(マイナス)で終えたことが確認できます。特に消費者裁量と不動産セクターが大きく下落しました。テスラは電気自動車市場における価格競争の激化が嫌気され、8.28%下落しました。Stock Heatmap — TradingView

1.5 個別銘柄

  • ネットギア(+4.78%): TPリンク製品の販売停止の可能性を受けて需要増期待。

  • ユナイテッドヘルス(+2.92%): 制度見直し案の影響が軽微との見方で買われた。

  • ジェイビル(+7.26%): AI需要の増加に伴い業績好調を発表。

  • ビルケンシュトック(+1.96%): 売上高の成長を背景に上昇。

  • テスラ(-8.28%): 価格競争激化とFOMC後の利回り上昇が圧迫。

  • ハイコ(-8.68%): 決算が市場予想に届かず大幅下落。

2. 米国債券・為替市場

2.1 概況

FOMC後のFRBの利下げペース鈍化見通しを受けて、10年物国債利回りは7カ月ぶり高水準の4.52%に上昇。2年物国債利回りも4.36%と急上昇し、債券市場に売りが広がりました。

2.2 Fed Watchツール

FedWatch Tool

次回のFOMC会合は2025年1月29日に予定されています。現行の政策金利は4.50-4.75%です。市場では、450-475bpsの据え置き確率が93.6%、425-450bpsへの利下げ確率が6.4%と予測されています。利下げ期待が後退していることが読み取れます。CME FedWatch

2.3 債券利回り曲線(イールドカーブ)

米国国債のイールド・カーブ

イールドカーブは1カ月前に比べて全体的に上昇し、特に短期債の上昇が顕著です。これにより、利下げ期待が後退し、株式市場にプレッシャーをかけました。一方、1年前と比較すると、曲線はフラット化し、経済成長鈍化のリスクを示唆しています。US government bonds

3. 関連動画

公開済みYouTube動画『米国金融市場概況』


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