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2025-01-31 米国金融市場動向

総括

1月31日の米国市場は、関税実施決定の影響を受けて下落しました。ダウは337ドル安、S&P500は0.51%下落、ナスダックも反落しました。当初は上昇していたものの、ホワイトハウスが関税実施を即時決定したことが伝わると、一転して売りが優勢に。特にエネルギー株と半導体株が下げを主導しました。一方、アップルの決算は市場予想を上回ったものの、iPhone販売不振が嫌気されました。2月はハイテク大手の決算に注目が集まります。


1. 株式市場

1.1 概況

  • ダウ工業株30種平均: 337ドル安(-0.75%)の44,544.66ドル

  • S&P500: -0.51%の6,040.07

  • ナスダック総合指数: -0.30%の19,623.27

市場は当初上昇したものの、ホワイトハウスが関税を即時実施すると発表したことで反落しました。特にエネルギー株や半導体株が下落を主導しました。


1.2 VIX指数の日中の動き

VIXの日中推移

VIX指数は、取引時間中は15.5付近で推移していましたが、深夜に関税実施決定が伝わると急上昇し、16.5を超える場面もありました。その後も高水準を維持し、市場の不安定さを反映しました。VIX® Index Charts & Data


1.3 株式市場変動要因

ポジティブな要因

  • アップルの決算が市場予想を上回り、1~3月期の増収見通しを示した

  • アマゾン・ドット・コムが上昇し、主力ハイテク株の一部が相場を下支えした

  • 1月は市場が乱高下しつつも、月間ではプラスで終えた

ネガティブな要因

  • 米国の対カナダ・メキシコ(25%)、中国(10%)の関税実施決定による不透明感

  • 関税によるインフレ懸念が高まり、投資家心理を悪化させた

  • FRBが金利を据え置き、利下げが当面期待できないと示唆した

  • エヌビディアが中国AI競争懸念で大幅安(週間で-16%)

  • アップルがiPhone販売不振で下落(-0.7%~-1.7%)

  • エネルギー株(シェブロン-4.6%、エクソン・モービル-2.5%)が決算不振で下落

  • 関税発表後に長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識された

  • 半導体株(AMD、インテル)を中心にナスダック指数が下落


1.4 セクター動向

S&P500の株価ヒートマップ
  • テクノロジーセクター: グーグル(GOOGL +1.57%)やブロードコム(AVGO +2.60%)が上昇した一方、エヌビディア(NVDA -3.67%)は大幅安。

  • エネルギーセクター: エクソン・モービル(XOM -2.50%)とシェブロン(CVX -4.6%)が決算を受けて下落。

  • 金融セクター: 銀行株は小幅安。JPモルガン(JPM -0.35%)、バンク・オブ・アメリカ(BAC -0.90%)などが軟調。

  • 消費関連: アマゾン(AMZN +1.30%)やテスラ(TSLA +1.08%)が上昇し、相場を下支え。Stock Heatmap — TradingView


1.5 個別銘柄

  • AAPL: 2024年10-12月期決算は市場予想を上回ったものの、iPhone販売の不振が懸念され株価は下落(-0.7%)。

  • NVDA: 中国AIスタートアップ「DeepSeek AI」との競争懸念が影響し、週間で-16%。

  • AMZN: 主要ハイテク株の一角として買われ、相場を下支え。

  • GOOGL: 来週の決算を控え、買われる動き。


2. 米国債券・為替市場

2.1 概況

  • 10年債利回り: 4.54%(+0.03%)

  • 2年債利回り: 4.20%(変化なし)
    関税によるインフレ懸念が強まり、長期債利回りが上昇しました。一方、PCE物価指数が予想通りだったことで、短期債には大きな影響は見られませんでした。


2.2 Fed Watchツール

FedWatch Tool

次回のFOMC会合は2025年3月19日に予定されています。現行の政策金利は425-450bpsです。市場では、金利据え置き(425-450bps)の確率が84.0%、利下げ(400-425bps)の確率が16.0%と予測されています。利下げの確率は依然として低く、FRBは慎重な姿勢を維持していることが反映されています。CME FedWatch


2.3 債券利回り曲線(イールドカーブ)

米国国債のイールド・カーブ

現在の利回り曲線は、1カ月前と比較してわずかにフラット化していますが、1年前と比べると短期金利が大幅に上昇しています。

  • 1カ月前と比較すると、全体的に小幅な上昇。

  • 1年前と比べると、短期ゾーン(1M-1Y)が大きく上昇している一方、長期(10Y-30Y)はほぼ変わらず。
    この形状は、短期的なインフレ懸念が強まり、FRBの利下げが遠のいた可能性を示唆しています。US government bonds


3. 関連動画

公開済みYouTube動画『米国金融市場概況』


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