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2025-01-16 米国金融市場動向

総括

米国株式市場は反落し、S&P 500は0.21%安、ナスダックは0.89%安、ダウ平均は0.16%安となりました。市場は銀行決算や経済指標を見極める展開となり、ハイテク株の下落が相場の重しとなりました。FRBのウォラー理事は、インフレがさらに鈍化すれば利下げが前倒しされる可能性を示唆。債券市場では金利低下を背景に買いが優勢でした。一方、トランプ次期政権の関税政策への懸念も市場の不安要素として浮上しています。

1. 株式市場

1.1 概況

  • S&P 500は0.21%安の5,937.53

  • ナスダックは0.89%安の19,337.92

  • ダウ平均は0.16%安の43,152.95

銀行決算と経済指標の影響を受け、慎重な取引が続きました。モルガン・スタンレーは好決算で株価が上昇しましたが、バンク・オブ・アメリカは金利収入の増加見通しにも関わらず下落。また、ユナイテッドヘルスが決算で売上未達となり、ダウの下げを主導しました。

1.2 VIX指数の日中の動き

VIXの日中推移

VIX指数は日中を通じて上下動を繰り返しながら、最終的に上昇しました。市場の不安定さを反映しており、特に終盤にかけてボラティリティが増加しました。ハイテク株の下落や経済指標の発表が投資家心理に影響を与えた可能性があります。VIX® Index Charts & Data

1.3 株式市場変動要因

ポジティブな要因

  • モルガン・スタンレーが好決算を発表し、IPO引受手数料の増加やトレーディング収益の好調が評価された。

  • **TSMC(台湾積体電路製造)の決算が市場予想を上回り、AI向け半導体の需要が好調だった。これにより半導体製造装置関連株(アプライドマテリアルズ、KLA)**も上昇。

  • FRBウォラー理事が、インフレのさらなる鈍化が確認されれば、今年前半の利下げの可能性を示唆。

  • 米10年債利回りの低下により、金利と比べた株式の相対的な割高感が薄れ、一部の主力株に買いが入った。

ネガティブな要因

  • ハイテク株の下落(アップル、テスラ、エヌビディア、アルファベットなど)が市場を圧迫。

  • ユナイテッドヘルスが決算で売上高未達。保険利用の増加や高価な専門薬の影響で収益見通しが市場予想を下回った。

  • バンク・オブ・アメリカが金利収入の増加見通しを示したものの、株価は下落。

  • 小売売上高が市場予想を下回り、消費関連株の動きがまちまちとなった。

  • トランプ次期政権の関税政策への警戒感が市場に影響。

1.4 セクター動向

S&P500の株価ヒートマップ
  • ハイテク株が大幅下落。特にアップル(-4.04%)、テスラ(-3.36%)、エヌビディア(-1.96%)、アルファベット(-1.35%)が下げを主導。

  • 金融株は比較的堅調。ゴールドマン・サックス(+1.17%)、モルガン・スタンレー(+4.03%)が上昇。

  • 医療関連株はまちまち。ユナイテッドヘルス(-6.04%)が決算失望で急落した一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(+1.93%)は上昇。Stock Heatmap — TradingView

1.5 個別銘柄

  • AAPL(アップル): 中国でのスマートフォン出荷台数が前年同期比25%減少。市場シェアも低下し、株価は4.04%下落。

  • TSMC(台湾積体電路製造): AI向け半導体の好調な需要を受け、3.86%上昇。

  • MS(モルガン・スタンレー): 決算が市場予想を上回り、4.02%上昇。

  • UNH(ユナイテッドヘルス): 売上未達が嫌気され、6.04%下落。

2. 米国債券・為替市場

2.1 概況

FRBウォラー理事のハト派発言を受け、米債券市場は上昇。10年債利回りは約5bp低下し4.61%で終了しました。また、新規失業保険申請件数が市場予想を上回り、労働市場の強さに対する警戒感が広がりました。

2.2 Fed Watchツール

FedWatch Tool

次々回のFOMC会合は2025年3月19日に予定されています。現行の政策金利は425-450bpsです。市場では、

  • 425-450bpsの据え置きの確率が68.1%

  • 400-425bpsへの利下げの確率が31.1%

  • 375-400bpsへの利下げの確率が0.8%
    利下げ期待はやや後退し、当面の政策金利維持が市場のメインシナリオとなっています。CME FedWatch

2.3 債券利回り曲線(イールドカーブ)

米国国債のイールド・カーブ
  • 直近の利回りカーブ(青)は1カ月前(オレンジ)や1年前(緑)と比較して、短期ゾーンでの上昇が目立つ

  • 長短金利差は依然として逆イールドの状態だが、1カ月前よりも傾きがやや緩和

  • 長期金利の低下が進んでおり、市場はFRBの金融政策に対し、緩和方向への期待を織り込みつつある。US government bonds

3. 関連動画

公開済みYouTube動画『米国金融市場概況』


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