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2024-10-30 米国金融市場動向

総括

10月30日の米国株式市場は、主要ハイテク企業の決算発表を前に様子見ムードが強まり、ダウ平均とナスダックが続落しました。半導体株の急落が大きく影響した一方、アルファベットやビザなどの好決算が一部セクターを下支えしました。米国債券市場では、労働市場の底堅さから金利が上昇し、長期債の価格は下落しました。

1. 株式市場

1.1 概況

30日の米株式市場は、ダウ平均が91ドル安(0.21%)、S&P 500が0.33%下落、ナスダックも0.56%安で終了しました。市場はハイテク大手の決算発表を控えて様子見姿勢が続き、特に半導体株への売り圧力が強まりました。アルファベットやビザの好決算が一部のセクターを支えたものの、米大統領選挙や経済指標の発表を前に慎重な姿勢が目立ちました。

1.2 VIX指数の日中の動き

VIXの日中推移

VIX指数は日中を通じて緩やかに上昇し、深夜には急激な上昇を見せ、最終的に20を超える水準に達しました。この動きは、ハイテク企業の決算発表や米大統領選挙を控えた投資家の警戒感の高まりを反映していると考えられます。VIX® Index Charts & Data

1.3 株式市場変動要因

  • ポジティブな要因

    • アルファベットが市場予想を上回る好決算を発表し、広告収入とクラウドサービスが堅調に成長したこと。

    • ビザが予想を上回る売上を記録し、決済取扱高が順調に伸びたこと。

    • アナリストがアルファベットやビザの目標株価を引き上げたこと。

    • メルクやアマゾンが買われ、指数を下支えしたこと。

    • ガーミンが好決算を発表し、株価が大幅に上昇したこと。

  • ネガティブな要因

    • 半導体セクターで、AMDやクォルボの決算が市場予想を下回り、関連銘柄全体に売りが波及したこと。

    • スーパーマイクロ・コンピューターの会計問題を受けた株価急落。

    • 米大統領選挙に関する不確実性が市場に重くのしかかっていること。

    • 米国GDP成長率が予想を下回り、さらにPCE物価指数発表を控えて投資家が慎重な姿勢を強めたこと。

1.4 セクター動向

S&P500の株価ヒートマップ

ヒートマップを見ると、情報技術セクターが広範囲に赤く染まっており、特に半導体銘柄の下落が目立ちました。エネルギー、一般消費財の一部も軟調でしたが、一方でビザやアルファベットの好決算が金融や通信サービスセクターを支えました。特にアルファベットは広告収入の増加が寄与し、GOOGLは2.82%の上昇を見せました。Stock Heatmap — TradingView

1.5 個別銘柄

  • GOOGL:2024年7〜9月期決算で広告収入とクラウドサービスが堅調に成長し、市場予想を上回りました。アナリストによる目標株価引き上げも相次ぎ、株価が2.82%上昇しました。

  • V:ビザは24年7〜9月期決算で予想を上回る売上高を記録。堅調な決済取扱高の伸びが評価され、株価が2.93%上昇。

  • AMD:収益見通しが予想を下回り、AI向け半導体でのシェア拡大に対する期待が後退。競合エヌビディアに対抗するのは難しいとの見方が強まり、株価は10.6%下落。

  • QRVO:クォルボは10〜12月期の見通しが市場予想を下回り、アナリストによる目標株価の引き下げも相次ぎ、株価は27.3%急落。

  • SMCI:監査法人の辞任と会計慣行への懸念が表面化し、株価は32.6%の大幅下落となりました。

2.1 Fed Watchツール

FedWatch Tool

次回のFED会合は2024年11月7日に予定されています。現行の政策金利は475-500bpsですが、市場予測では450-475bpsへの利下げの確率が94.6%、据え置き(475-500bps)の確率が5.4%とされています。このように、労働市場の堅調さにも関わらず、利下げ予測が優勢です。CME FedWatch

2.2 債券利回り曲線(イールドカーブ)

米国国債のイールド・カーブ

US government bonds

3. 関連動画

公開済みYouTube動画『米国金融市場概況』

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