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2024-10-15 米国金融市場動向
総括
10月15日の米国株式市場では、ダウ平均が前日比324ドル安となり、3営業日ぶりに反落しました。半導体関連株の大幅な下落が市場全体に悪影響を及ぼし、特にエヌビディアやAMDが売り込まれました。さらに、ユナイテッドヘルスの決算悪化もダウ平均を押し下げる要因となりました。一方で、原油価格の下落と製造業の景況感悪化を背景に、米国債は反発しました。
1. 株式市場
1.1 概況
10月15日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均は324ドル安(0.75%の下落)で終えました。主要な下落要因は、オランダの半導体製造装置大手ASMLが売上高見通しを引き下げたことと、米政府がエヌビディアやAMDなどのAI向け半導体の輸出規制を検討しているとの報道です。これにより、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は5.28%の大幅下落となりました。ユナイテッドヘルスが8.1%の大幅安でダウ平均を押し下げましたが、一方でアップルやボーイングが上昇し、相場を一部支えました。
1.2 VIX指数の日中の動き
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VIX指数は19.5付近でスタートし、午後にかけて大きく上昇し、最終的には20.5を超える水準まで達しました。これは、株式市場のボラティリティが高まったことを示しており、特に半導体セクターの急落が市場全体に不安感を広げた影響です。
1.3 株式市場変動要因
ポジティブな要因
アップルがAI搭載の新型iPadを発表し、株価が上場来高値を更新した。
ウルフスピードが米政府からの支援を受け、半導体生産拡大が期待された。
チャールズ・シュワブが予想を上回る決算を発表し、株価が上昇した。
ネガティブな要因
ASMLの売上高見通し引き下げにより、半導体株全体が売り込まれた。
米政府がAI向け半導体の輸出規制を検討しているとの報道で、エヌビディアやAMDが大幅下落。
ユナイテッドヘルスが決算で利益見通しを引き下げ、株価が8.1%下落。
1.4 セクター動向
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株価ヒートマップでは、半導体セクターが大きく赤く染まり、エヌビディアが4.69%、AMDが5.22%と大幅に下落しました。一方で、アップルやウォルマートが緑色で示されており、上昇していたことが分かります。エネルギーセクターも原油価格の下落により軒並み下落しており、シェブロンやエクソンモービルが大きなマイナスとなりました。
1.5 個別銘柄
アップル (AAPL): AIサービス「アップル・インテリジェンス」を搭載したiPadミニの発表で、株価が上場来高値を更新し、1.10%上昇。
エヌビディア (NVDA): AI向け半導体の輸出規制検討報道で、株価は4.68%下落。
ユナイテッドヘルス (UNH): 8.11%の大幅下落。決算で利益見通しを引き下げ、投資家心理が悪化。
ウルフスピード (WOLF): 米政府からの支援により株価が21.26%上昇。
2. 米国債券・為替市場
15日の米国債券市場では、長期債が反発しました。特に10年債利回りは4.03%に低下し、これは製造業の景況感悪化や原油価格の下落が背景にあります。市場では米国の景気回復に対する不安が強まり、安全資産である債券への買いが進みました。
2.1 Fed Watchツール
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11月7日のFOMC会合に向けて、ほとんどの市場参加者が0.25%の利下げを予想しており、450-475bpsに利下げされる確率は94.1%となっていました。これは、FRBが慎重な金融政策を維持する可能性が高いことを示しています。
2.2 債券利回り曲線(イールドカーブ)
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現在のイールドカーブは、短期金利が依然として高水準である一方、中長期の金利は比較的低下しています。これは、短期的なインフレ懸念が続いている一方で、長期的には成長の鈍化が予想されていることを反映しています。