
2025-01-29 米国金融市場動向
総括
米国株式市場はFRBの金利据え置き決定を受けて下落。声明文から「インフレ進展」の文言が削除され、利下げの時期が不透明となったことで投資家の警戒感が強まった。特にテクノロジー株が売られ、S&P 500は0.62%安、ナスダックは0.9%安となった。一方、ASMLは好決算を発表し欧州市場を牽引。米国債市場では金利上昇が続き、10年債利回りは4.571%に上昇した。
1. 株式市場
1.1 概況
S&P 500: 6,028(-0.62%)
ダウ平均: 44,683(-0.37%)
ナスダック: 19,560(-0.9%)
市場はFRBのタカ派的な姿勢を警戒し、特にハイテク株を中心に下落。声明では「インフレ進展」の表現が削除され、「依然として高い」との見解が示された。利下げ期待が後退し、金利上昇が続いたことも株価の重しとなった。
1.2 VIX指数の日中の動き

VIX指数(恐怖指数)は取引時間中に上昇し、一時18.5付近まで急騰。FOMC声明の発表後に市場が動揺し、ボラティリティが高まったことを示している。終盤にはやや落ち着きを取り戻したが、依然として市場の警戒感は強い。VIX® Index Charts & Data
1.3 株式市場変動要因
ポジティブな要因
ASMLの好決算(売上高・受注額が市場予想を上回り、4.28%上昇)
スターバックスの決算が予想ほど悪化せず、経営再建が評価
T-Mobile USの決算が市場予想を上回り、6.3%上昇
欧州市場の堅調推移(ASMLの急伸が主因)
ネガティブな要因
FRBが利下げに慎重な姿勢を示し、市場が「タカ派的」と受け止めた
貿易政策の不透明感(トランプ前大統領がメキシコ・カナダ・中国への関税を検討)
Nvidiaの下落(中国AI競争懸念、トランプ政権の販売規制強化の可能性)
マンハッタン・アソシエイツの業績見通し下方修正
バックト・ホールディングスが空売り対象とされ、急落
テスラやパロアルト・ネットワークスの下落
1.4 セクター動向

テクノロジーセクターが全面安。特に**Nvidia(-4.03%)とMicrosoft(-1.09%)**が大きく下落。
エネルギーセクターは小幅上昇。**ExxonMobil(+0.58%)**が堅調。
消費関連ではテスラ(-2.50%)が下落。
金融株は小動き。JPMorgan(-0.21%)、Wells Fargo(+0.63%)。Stock Heatmap — TradingView
1.5 個別銘柄
Nvidia(NVDA): -4.03%。中国AI企業DeepSeekの競争懸念と米政府の販売規制強化の可能性が影響。
Meta(META): +0.32%。AIインフラ投資(650億ドル)への期待。
Microsoft(MSFT): -1.09%。AI成長期待はあるものの、市場全体の売り圧力に押される。
Tesla(TSLA): -2.50%。低価格モデルの投入計画が報じられたものの、株価は下落。
ASML(ASML): +4.28%。好決算を発表し、欧州市場を牽引。
2. 米国債券・為替市場
2.1 概況
10年債利回り: 4.571%(+2.2bp)
2年債利回り: 4.236%(+3.1bp)
FOMCの結果を受け、利下げ期待が後退し債券売りが優勢に。声明文から「インフレ進展」の文言が削除され、インフレ懸念が再燃。市場では利下げ開始時期が6月から7月に後ずれするとの見方が強まった。
2.2 Fed Watchツール

次回のFOMC会合は2025年3月19日に予定されている。
現行の政策金利は4.25%〜4.50%で維持されている。
市場では据え置き(4.25%〜4.50%)の確率が82.0%、**利下げ(4.00%〜4.25%)の確率が18.0%**と予測されており、当面の政策変更はないとの見方が支配的。CME FedWatch
2.3 債券利回り曲線(イールドカーブ)

現在のイールドカーブは1カ月前とほぼ同水準だが、1年前と比べると大幅に上昇。
短期金利(2年債利回り)が高止まりし、利下げ観測が後退。
10年債利回りも上昇傾向が続いており、金利高が株式市場に圧力をかけている。US government bonds