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2024-12-09 米国金融市場動向
総括
12月9日の米国金融市場は、主要株価指数がいずれも下落し、投資家は今週発表予定のインフレ指標(CPIとPPI)を前に慎重な姿勢を示しました。半導体セクターは中国の独占禁止調査を受けたエヌビディアの下落が主因で売り圧力が高まりました。一方で、FRBの利下げ継続観測が引き続き市場の支えとなっています。
1. 株式市場
1.1 概況
12月9日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前週末比240ドル安(-0.53%)、S&P500は-0.60%、ナスダック総合指数は-0.61%の下落となりました。半導体セクターを中心にテクノロジー株が売られ、特にエヌビディアやAMDが市場全体に大きな影響を与えました。CPI発表を前にした慎重姿勢が市場全体に影響を及ぼしています。
1.2 VIX指数の日中の動き
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12月9日のVIX指数は終日上昇基調を辿りました。市場開始後の水準は13.25前後でしたが、米中対立やCPI発表前の不透明感からリスク回避の動きが強まり、最終的には14.5近くまで上昇しました。この動きは、投資家心理の慎重さを反映しています。VIX® Index Charts & Data
1.3 株式市場変動要因
ポジティブな要因
FRBの利下げ観測が継続。
CPIの低い伸び予想が一部で拡散。
ハーシーがモンデリーズの買収観測で急騰。
ザ・リアルリアルの投資判断引き上げに伴う株価上昇。
メーシーズがアクティビスト株主の経営改革要求で上昇。
ネガティブな要因
中国の独占禁止調査がエヌビディア株に圧力。
AMDがBofAの投資判断引き下げを受け下落。
米中対立激化懸念によるテクノロジー株の売り圧力。
今週発表予定のCPI・PPI前の慎重姿勢。
一部ハイテク株の利益確定売り。
1.4 セクター動向
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S&P500ヒートマップでは、ヘルスケアセクターやエネルギーセクターが比較的堅調でした。一方で、テクノロジーセクターや金融セクターが大きく売られています。特にエヌビディア(-2.55%)がテクノロジーセクター全体の下落を主導し、金融セクターでは大手銀行の株価下落が目立ちました。Stock Heatmap — TradingView
1.5 個別銘柄
エヌビディア (NVDA): 中国当局による独占禁止調査を受けて株価が下落。米中対立の影響も懸念材料に。【-2.55%】
AMD (AMD): BofAの投資判断引き下げにより、AI半導体市場での競争激化が背景。【-5.4%】
ハーシー (HSY): モンデリーズの買収観測報道で大幅上昇。【+10.8%】
ザ・リアルリアル (REAL): ウェルズ・ファーゴの目標株価引き上げを受け、急騰。【+39.13%】
メーシーズ (M): アクティビスト株主の改革要求が材料視され、株価上昇。【+1.76%】
2. 米国債券・為替市場
米国債市場では10年債利回りが4.20%に上昇し、債券価格は下落。中国の景気刺激策期待によるリスク資産選好の高まりが影響しました。一方で、FRBの利下げ観測が債券市場を下支えしました。
2.1 Fed Watchツール
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次回のFOMC会合は2024年12月18日に予定されています。現行の政策金利は450-475bpsです。市場では、425-450bpsへの利下げの確率が85.8%、据え置きの確率が14.2%と予測されています。このデータからも利下げが市場で大きく期待されていることがわかります。CME FedWatch
2.2 債券利回り曲線(イールドカーブ)
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現在のイールドカーブは、短期債利回りが上昇し長期債利回りとの差が縮小しています。これにより逆イールドが一部解消されつつあるものの、長期金利の下値は堅く、FRBの利下げ政策が将来的な長期金利低下に影響を及ぼす可能性があります。US government bonds