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2024-10-10: 米国金融市場概況

本日の米国市場動向について、特に金利とインフレデータに対する市場の警戒感が高まっている点が重要と思います。当面は、FRBの金融政策の行方や、中東情勢の地政学リスクがどのように市場に影響を与えるのか、注意深く見守る必要がありそうです。

1. 株式市場

1.1 概況

2024年10月10日、米国株式市場は、終日、軟調な展開となり、S&P 500指数は、下落して取引を終えました。テクノロジーセクターの調整や、労働市場の強さを示すデータが、積極的な利下げへの思惑を弱めたことで、買いが手控えられました。一方で、エネルギーセクターは、原油価格の上昇に支えられ、物色されましたが、市場全体を押し上げるには至りませんでした。

1.2 VIX指数の日中の動き

VIX指数(恐怖指数)は、午前中は比較的安定した動きを見せましたが、午後には波乱含みの展開となり、一時的に21.5を超える局面も見られました。これは、労働市場の強さに基づく金利上昇懸念や、翌日に発表予定のインフレ指標への警戒感が高まったことが要因と考えられます。その後、やや買い戻しが入り、再び21付近まで戻りましたが、市場の不安定な心理状態が続いていることを示唆しています。

1.3 変動要因

市場全体の不安定さにはいくつかの要因が影響しました。特に、労働市場の強いデータにより、FRBによる利下げが、市場の思惑よりも、消極的である可能性が意識され、積極的な買いが手控えられました。また、米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、インフレ懸念が依然として高いことも、投資家のリスク回避姿勢を強めました。

1.4 セクター動向】

  • 上昇セクター
    エネルギーセクターが好調で、原油価格の上昇に伴い、エクソンモービル(XOM)やその他エネルギー関連企業が買われました。エネルギー価格の上昇が、企業収益へのプラス材料と受け取られたことが背景です。

  • 下落セクター
    テクノロジーセクターは調整局面となり、AMDの新製品発表を受けた材料出尽くし感が売りを誘発しました。また、メタ(META)の株価も1.13%下落し、特に、AI関連銘柄で利益確定の売りが出たことが影響しています。

1.5 個別銘柄

  • アマゾン(AMZN)
    有料会員向けセールが成功したことが好感され、株価は0.8%上昇。セールを通じた年末商戦への期待と、AIを活用した販売支援ツール「ルーファス」の活用がプラス材料とされました。

  • AMD
    新たなAI向け半導体製品を発表したものの、事前の期待が高かったため、発表後には材料出尽くし感から売りが出て株価は下落。市場では、依然としてエヌビディア(NVDA)の競争優位が続くと見られています。

  • エヌビディア(NVDA)
    AMDの発表を受けた形で、エヌビディアは1.63%の上昇。市場はエヌビディアのリードを再確認する形となり、AI関連の注目度が引き続き高いことが伺えます。

2. 米国債券・為替市場

2.1 Fed Watchツール

10月10日時点のFed Watchツールによると、11月のFOMC会合では、0.25%の利下げ観測の確率が86.4%と高く、市場参加者が緩やかな利下げ期待を持ち続けていることが伺えます。しかし、利下げを求める声が多い中で、金利据え置きの確率も13.6%と残っており、FRBの動向が注目されています。これにより、投資家は金利の先行き不透明感を背景に慎重な姿勢を取っています。

2.2 債券利回り曲線(イールドカーブ)

米国債利回り曲線では、短期金利が引き続き高い水準を維持していますが、3年債から5年債にかけての利回りがやや低下しました。これは、短期的な利上げリスクを意識しつつも、長期的な景気減速懸念が債券買いを促していることが背景にあると考えられます。一方、30年債の利回りは4%前後で横ばいとなっており、長期金利の安定化を示しています。

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