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2024-12-31 米国金融市場動向
総括
2024年最終取引日の米国市場は、株式・債券ともに下落し、年末にかけた利益確定売りと高いバリュエーションへの警戒感が浮き彫りとなりました。一方で、2024年全体ではAIブームや政策金利引き下げが市場を支え、S&P500は23.3%、ナスダックは28.6%上昇するなど、堅調な年となりました。
1. 株式市場
1.1 概況
2024年12月31日の米株式市場は下落して取引を終えました。ダウ工業株30種平均は前日比29ドル安(-0.06%)の4万2544ドル、S&P500は25.31ポイント安(-0.43%)の5881.63、ナスダック総合は175.993ポイント安(-0.90%)の1万9310.792となりました。
2024年全体では、S&P500が23.3%、ナスダックが28.6%、ダウが12.9%上昇する好調な年となりましたが、年末には利益確定売りや高値警戒感から売り圧力が強まりました。
1.2 VIX指数の日中の動き
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VIX指数は日中で大きな変動が見られ、前半は17.00を下回る場面もありましたが、後半にかけて急上昇し、一時17.75を超える水準に達しました。これは、利益確定売りや流動性の低下がリスク回避の動きを促したためと考えられます。VIX® Index Charts & Data
1.3 株式市場変動要因
ポジティブな要因
AIブームによる技術、通信サービス、消費関連セクターの成長。
FRBによる政策金利の1%引き下げ(2024年9月以降)。
インフレ鈍化による投資家心理の改善。
経済の底堅さと安定した成長。
主要株価指数の年間大幅上昇。
ネガティブな要因
高い株価バリュエーションへの懸念。
FRBの利下げペース鈍化への見通し。
米国長期金利の上昇(4.57%)。
年末にかけての利益確定売り。
薄商いと「サンタクロースラリー」の不発。
1.4 セクター動向
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ヒートマップを見ると、ハイテクセクターが軟調で、エヌビディア(NVDA: -2.33%)、テスラ(TSLA: -3.25%)、アップル(AAPL: -0.71%)などが下落しました。一方で、エネルギーセクターが堅調で、エクソンモービル(XOM: +1.17%)などが上昇しました。年末の利益確定売りが特にハイテク株に影響を与えたことがうかがえます。Stock Heatmap — TradingView
1.5 個別銘柄
NVDA: AI革命の主要ドライバーとして年間で171~179%上昇しましたが、年末の利益確定売りで2.4%下落しました。
TSLA: 年間で62~63%上昇。CEOの次期政権との連携が支援要因でしたが、年末に3.7%下落。
AAPL: 年間30%上昇も、年末には高値警戒感から利益確定売りが発生。
AMZN: 年末にかけて下落。具体的な要因は不明ですが、全体的なナスダックの下落に伴う動きと推察されます。
MSFT: 年末に下落。詳細な材料はないものの、ハイテク株全般の利益確定売りの影響と考えられます。
2. 米国債券・為替市場
2.1 概況
米国債市場では、10年債利回りが4.57%に上昇(価格は下落)しました。市場参加者が少ない中、持ち高調整売りが優勢でした。一方、短期債の利回りは変わらず、2年債は4.24%で終了しました。
2.2 Fed Watchツール
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次回のFOMC会合は2025年1月29日に予定されています。現行の政策金利は425-450bpsです。市場では、425-450bpsの据え置き確率が88.8%、400-425bpsへの利下げ確率が11.2%と予測されています。利下げペースの鈍化が示唆されている状況です。CME FedWatch
2.3 債券利回り曲線(イールドカーブ)
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イールドカーブを見ると、短期金利が上昇している一方、長期金利の上昇幅は比較的抑えられています。この形状は経済の底堅さを示しており、FRBの金融政策が引き続き注目されています。1年前と比較してカーブ全体が上昇している点も特徴的です。US government bonds
3. 関連動画
文頭画像出所:2024 performance: growth, value and FANGS
FANG+: CRWD, NFLX, NVDA, NOW, AMZN, META, GOOGL, AAPL, AVGO, MSFT