デザイン思考の社内浸透に向けた3ステップ
デザイン思考研修を受講された方の多くが、業務への活用方法について考えられると思います。商品開発やソリューションの検討をはじめ、いわゆる『企画モノ』の仕事において、(時と場合によるものの)従来とは異なるアウトプットを出すことに役立つでしょう。一方で、デザイン思考を学んだ方の全員がスムーズに自組織で活用できるかというと、必ずしもそうではありません。
デザイン思考の浸透を阻む壁(特に大企業に多い)
・従来の仕事のやり方と全く異なるので、理解を得られるのかが不安
・いきなり、「じゃあブレストしてみましょう!」と言っても、テンションが違い過ぎてついてきてくれない
・周囲から理解は得られても、なかなか使いこなすレベルにたどり着けずに、トーンダウンしてしまう
・自己流でやり続けているけど、研修と違って講師がいないのでフィードバックが得られず、習熟度が上がっている感じがしない
上記は受講生から、研修後1ヶ月程度でよく発せられるコメントです。従来と異なるやり方は、(特に歴史のある大企業であればあるほど)受け入れられづらいものです。また、デザイン思考の良さは体感しないとわからないことにも原因があるように思います。研修で実際に使ってみた感想の多くは、『実際にやってみて効果がわかった』です。それなのに、いくら口でデザイン思考のすばらしさを伝えようとしても中々伝わりづらいのは当然と言えば当然かもしれません。(研修プログラムの大半の時間がワークに充てられている理由も同じです)
社内浸透をトライ&エラーでやってはダメな理由
デザイン思考を学んだ方ならば、一度の失敗であきらめずに試行錯誤を繰り返しながら何度もトライして磨いていくプロセスを体感したことでしょう。しかしながら、社内浸透を狙うにあたってそのやり方は得策ではありません。理由は2つです。1つ目は論理的に説明しづらいものは受け入れられづらいため、2つ目は一度の失敗が尾を引くことが多いためです。
何かを始める時には組織内で説明が求められます。その際に論理的に説明できないものは却下されることが多いのが組織です。当たり前です。説明を受けた人も誰かに説明する必要があるので、それがイメージできない限りは許可できません。デザイン思考を論理的に説明するにはコツが必要なので、ココでつまずくことは多いようです。
また、一度失敗するとネガティブなイメージを払拭することが困難で、「デザイン思考ね、あれは以前〇〇さんが試したけどダメだったらしいよ」というどうでも良いウワサが浸透してしまいます。前例至上主義の日本企業において、新しいアプローチをするのに失敗は禁物なのです。
3段の階段を着実に登っていく
ではどのように社内の浸透を図っていきましょうか?どんな組織にも当てはまるベストな解決策があるわけではないものの、当社が複数の企業にヒアリングし、上手に社内展開をされているケースを紐解いてみると、3つのステップがあることがわかりました。3つのステップとは、①理解を得る、②一緒に学ぶ、③使ってみる、です。
回りくどいかもしれませんが、既に記載したとおり一度の失敗が命取りになるので、打算的に取り組むことが肝要です。また、このステップを刻んでいく前提として、いきなり全員を味方にしなくても良いことは心に留めておいてください。
1段目:理解を得よう!
まずはデザイン思考が何であるのかを理解してもらうことから始めましょう。相手は上司とメンバー。上司はマストです(自分が上司にあたる場合は、直属の右腕がマスト)。ここでは、全員に賛同してもらわなくても構いません。数人でも、面白そうだなと思ってもらえればOKです。
そのために、デザイン思考を教科書的に説明するよりも、自身の体験談をもとに「自分がどんなところを魅力に感じたか」伝えたり、動画コンテンツを活用しても良いと思います。自身がデザイン思考を知った時のようなワクワク感が伝えられるように工夫しましょう。
2段目:一緒に学ぼう!!
ここで、賛同を得たメンバーと共に、いきなり使ってみるのではなく一緒に学ぶプロセスを挟みます。これには2つのポイントがあります。1つ目は、メンバーのマインドを醸成すること。デザイン思考の重要なマインドである「失敗を許容する」ことを、この段階でしっかり共有しておかないと、現場で失敗した時のダメージが大きくなります。耐性を強くしておくとも言えるかもしれません。2つ目は、自組織で活用するイメージや方法を考えることです。デザイン思考を取り入れて成功している企業の多くが、自社なりの使い方を見出しているケースが多いです。そのため、この段階で、デザイン思考をどこでどのように使ったら効果的か、ということをメンバーで議論しておくと成功確率がグッと上がります。
一緒に学ぶ際には、1時間程度の勉強会を毎週開催してみたり、関連書籍を輪読するなどが良いでしょう。
3段目:使ってみよう!!!
ここまでに来たら、満を持して実際の企画やプロジェクトで使ってみましょう。きっと今までにないアイディアが出ます。その成果を、上司や他のメンバーに上手にアピールして、ムーブメントを起こしていきましょう!
ざっくりと社内浸透のためのプロセスを紹介してみましたがいかがでしたでしょうか。一人でも多くの方がデザイン思考を社内で取り入れて、今までにない成果を生み出すことを願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?