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オンライン教育はノウハウにこだわり過ぎず、『3段の階段』を一段ずつ登るのが良さそう

zoomをはじめとするオンライン会議ツールが、学習シーンにおいて急速に浸透してきました。この一か月でnoteにもさまざまな機能やノウハウやtipsが共有されています。(ほんと皆さん凄いです!)
一方で、色々工夫ができる分、やらなければいけないことと、そうでないことを切り分けて運用しないと、『HOW』に引っ張られて本質を見失ってしまう可能性があるな、とふと立ち止まってみたのが本稿のきっかけです。
誤解のないように申し上げておきますが、ノウハウを否定するつもりは無いどころか、多くの人の試行錯誤の結果は貴重な財産であると思っています。(実際、私もいくつもの記事やレポートを参考にしています)

※本稿は、企業における研修を主軸に置いて書いていますが、学校教育やその他の学習シーンにおいても参考になる内容だと思います。この困難を乗り切ろうとするすべての教育者のお役に立てば幸いです。

試行の末に辿り着いた『3段の階段』

教育手法、特に企業研修においては、コンテンツや講師に依存する側面が強いこともあり、これまであまりノウハウやテクニックが広くシェアされることは少なかったように思います。しかし、このコロナ禍の中、ノウハウをシェアして皆で乗り切ろうという機運が高まっており、非常に良い循環が生まれています。
一方で、ノウハウが溢れすぎているがゆえに、使いどころやタイミングを見誤ると「いやー楽しかったね。。。あれ、何を学ぶ時間だったんだっけ?」というその場の満足度重視の結果になりかねません。
私は新しいモノ好きなので新しく知ったノウハウってすぐ試したくなるんです。でも、実際に使ってみると、「今回は使いどころが違ったな」とか、「この研修には不向きだな」という振り返りが少なくない。この一ヶ月でのオンライン研修やオンラインワークショップでの試行の結果として見えてきたのは、ステップが3くらいあるな、と。

その3つのステップは、
1段目:グラウンドルール
2段目:きめ細かいフォロー
3段目:テクニック・演出

ステップと書きましたが、これは手順ではなく階段だ、と気づきました。一段ずつ確実に登る必要があって、順番を変えたり、一段飛ばししたりしないことが大事ということです。

階段抜粋_ver.0.4

1段目:グラウンドルールを徹底しましょう

土台となる1段目は、グラウンドルールです。
この段の目的は、円滑に進行すること、その1点に尽きます。
ルールの内容ついては言及されている記事が多いので細かい説明は端折りますね。

https://note.com/saito_lab/n/n574029d6e124

➀できるだけ静かな場所から参加する
②安定したWi-Fiを使う(テザリングは禁止)
③マイク付きイヤフォンを使用する!
④発言者以外、基本はマイクをミュート
⑤ビデオは基本ON!
⑥リアクションはいつもより大きめに!
⑦スマホやタブレッドではなくPCを使って入る
⑧みんなそれぞれ違う場所から入る

ここで大事なのは、参加者側に徹底させるということです。ファシリテータをやったことある方はわかると思うんですが、カメラOFFになっている人が一人いるだけでやり辛さが段違いに上がるんですよ。
ルールを設定するだけではなく、徹底させるためにできる限りを尽くすことが大事なんだと気づきました。
立教大学中原先生のゼミ合宿では、事前に1on1で接続テストを兼ねたルール周知を行ったとのことです。すごいです。


2段目:きめ細かいフォローを

次は、きめ細かいフォローを意識した打ち手を講じるのが良いでしょう。目的を、置いてけぼりを出さないことにフォーカスすると、取捨選択しやすいと思います。
オンライン教育のノウハウとして、集中力の維持について言われることが多いと思うのですが、それも学習内容によって優先順位が変わることがあるように思います。そもそも、ディスカッションの多い研修・授業であれば、リアルだろうがオンラインだろうが集中力が著しく落ちることはありませんし、一方通行の講義だって内容がつまらなければリアルでも睡眠学習続出でしょう。
オンラインの泣き所は、受講者側の理解度を随時チェックできないことにあると思います。臨む姿勢やメモの取り具合は見えづらいうえに、ディスカッションの内容に聞き耳を立てることも難しい。置いてけぼりを出さないために、細やかなフォローが大事だと思うのです。(その結果、集中力の維持がトッププライオリティになることもあり得ます)

やってみて有効だった、汎用的なフォロー策を挙げますね。

①全員へ問い掛け→チャットへ記入
⇒理解度をチェックしたり、良い気づきに対してコメントをフィードバックします

②強制質問記入タイム
⇒「質問あるひと~?」では中々出ませんが、「質問を書く時間です」と明言してしまえば、みんな捻り出してくれます

③質問に対してチャット上で回答
⇒アシスタントがいれば、チャット上で回答してしまえば、講義の流れを切らずに疑問点を解消することができます

④研修後の質問・相談窓口を開放
⇒終了後の個別質問に対応するための連絡先を共有する。心理的ハードルを下げるために、事務局を経由するより直接講師へ連絡できる方が良いです

3段目:テクニック・演出を活用しましょう

ここまで来てようやくテクニックや演出を披露するようにしましょう。目的は、参加感を高めポジティブな心理状態を作ること、と置いておくと良いと思います。
コンテンツそのものの面白さで勝負しても良いのですが、細かな演出がエンターテインメント性を高め、没入感を高めるます。
オンライン上でできるアイスブレイクでも良いですし、投票機能を使ったり、ポストイットを使って意思表示してもらったり、オンラインホワイトボードを使ってみても良いでしょう。

私が一番効果が高いと考えるのは、チャットを盛り上げることです。チャットの活用自体は、2段目に当たることですが、盛り上がっているチャットとは、参加者同士がチャットで会話している状態と理解していただければ。講義を聞きながら感想を言い合ったり、チャット上の会話によって疑問点を解消したり、慣れている参加者だとこのあたりが自然にできてきます。
雑談しながら研修を受けるなんて、リアルな場では御法度ですが、オンラインだと正々堂々とできちゃうんですよね。しかも、講師側からしても、盛り上がれば盛り上がるほど心の声が聞こえるようになるので、教室の空気がわかり、やりやすくなります。
チャットを盛り上げるコツは、安心安全な場づくりと、サクラです笑。
オンライン学習に慣れていないうちは、講師側が意図的にチャットに書き込ませるように誘導し、「あ、ここには何書いても良いんだ」という理解を作っていきましょう。あとは、サクラがひな壇芸人ばりに茶々を入れていけば、ある程度リテラシーのある方は書き込んでくれるようになります。


ということで、3段の階段を意識しながら、様々なノウハウの使いどころを整理して、よりよい学びの場を作っていきましょうー。

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