従業員の高齢化と健康支援①
少子高齢化と人口減少に伴い、労働人口が減少しています。「人材確保」は中小企業を中心に経営課題として顕在化し、その対応策として「定年後の再雇用」「高齢者雇用」が推奨推進されています。
しかし、高齢従業員の雇用を推進する事は結果として社員の高齢化という形で現れます。若い世代の社員に比べ、どうしても気力体力に劣る高齢従業員は「労働生産性の低下」と「健康問題」と向き合う必要があり、企業は労働力確保による「従業員の高齢化」への「健康対策」が求められます。
高齢社員が抱える健康課題
高齢従業員の抱える課題と健康対策に関して執筆する前に述べておきますが、本テーマは検証、対策を適切に講じるべきものであるのは事実ですが、これは決して高齢従業員を経営資源や、労働生産性の低下やイノベーション、企業風土・文化の進化、改善へに対しての「リスク」や「悪」として捉えると言うものではありません。
長年、その産業や日本社会に貢献した方々の持ち合わせる、「能力」「経験」「信用・信頼」「実績」に敬意を払い、将来の企業活動に必要な「ナレッジ」の継承や、活用を推進する為に必要な投資、努力とお考え下さい。
人は誰しも、年を取ります。気力・体力・頭の回転や仕事のスピード感覚、新しい最新技術やシステムへの適応能力など
どうしてもそれらの能力は皆衰えます。若年層の社員も何れ遅かれ早かれその様な時代、時間の流れに身を置き、当事者となります。会社や、従業員個人も、他人事でなく当事者意識をもってこの課題に向き合う事が重要です。
1.病気やケガによるアブセンティーズム
◆アブセンティーズムとは?
「何らかの病気(体調不良)によって、会社を休まなければならない状況」の事を、アブセンティーズムと言います。
高齢化すると、どうしても日々の体調の変動したり、抱える病気等による、早退や休養のリスクは上昇します。その世代の従業員の方々は、仕事への責任感や習慣から、多少の体調不良くらいでは、早退したり休むなんて社会人としてみっともないし迷惑をかけると考える人たちも多いですが、結果として職場で持病や体調不良を起こし兼ねないという事でもあります。
2.体調不良によるプレゼンティーイズム
◆プレゼンティーイズムとは?
「出勤はしているものの体調が優れず、業務への集中力や認知能力が低下した結果、生産性が低下している状態」の事をプレゼンティーイズムと言います。体調不良の主な原因として、慢性疲労症候群、うつ病、腰痛、頭痛、肩こり、花粉症をはじめとしたアレルギー症、生活習慣病が挙げられます。
プレゼンティーイズムに関しては、何も高齢社員に限った健康課題ではありませんが、アブセンティーズムでも述べた通り、病気や疲労の蓄積、体調不良による集中力の低下や認知能力の低下は、簡単に述べれば無理は効き難くなります。
さらに、ここで注目して頂きたいのは、「腰痛・肩こり・首痛・膝痛」等の筋肉や関節などの運動器の整形外科的疾患の罹患率は、間違いなく高齢化による体力低下や身体的特性の変化に合わせて上昇します。
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従業員の高齢化と健康支援②へ続く