従業員の高齢化と健康支援②
従業員の高齢化と健康支援①の続きです。
従業員の高齢化がもたらす特有の健康課題とは?
高齢従業員特有の健康課題への対応は企業の労働力と、生産性の安定・向上には欠かせない経営課題と言えます。従業員の高齢化、老化に伴う「フレイル(虚弱)」への対策の検討、実施が考えられ、フレイルは以下の3つに分けられます。
身体的フレイル(ロコモティブシンドローム・サルコペニア:筋肉の減少)
精神・心理的フレイル(老人性うつ・認知障害)
社会的フレイル(孤独・引きこもり等)
人間は例外なく、加齢による心身の体力低下により、体重減少、疲れやすい、歩行速度低下、身体活動量低下(運動不足)や認知能力低下、聴力低下やコミュニケーションの減少による社会活動への参加や意欲低下を起こします。
社内での健康セミナーや運動教室を活用し、それらへの予防や改善はもちろんの事、コミュニケーションの活性化や職場環境の活性化を図る事に貢献します。
気力体力が充実し、経験や知識が豊富な高齢従業員の活躍と活用は、人材不足の現代にとって、女性の雇用や活躍と並び
重要な企業の資源と言えます。また、現在の若い世代の従業員も何れは必ず歳を取ります。自身が高齢化していく過程での対応策や必要な知識を蓄えヘルスリテラシーを高めておく事は必ず将来役に立ちます。
従業員の高齢化対策は将来を見据えた「先行投資」で
当然の事ではありますが、10年後には皆10歳、20年後には皆20歳年を取ります。
30代社員は何れ40代に
40代社員は何れ50代に
50代社員は何れ60代に
つまり、従業員の高齢化に対する対策というのは、現状の高齢社員に着目するだけでなく、5年、10年、15年、20年後の視点を持って取り組む事が重要です。
従業員高齢化と医療費の増加
日本の年間医療費は「42兆円」を超え、その財源は、公費38.6%、事業主20.8%、個人の保険料と自己負担額で40.5%という構成比となっています。事業主と個人の負担額比率はこの10年間およそ変化はありませんが、65歳以上の医療費の上昇は右肩上がりに伸びており、公費の支出額の増加でそれを補っている状態です。
2025年には医療費は57兆円超える見通しで、その財源確保に、所得別で個人負担額割合の変動、さらには今後、事業主と個人の保険料の徴収額の増加などで対応される可能性もあります。
つまり、今後増える65歳以上の国民の医療保険の捻出の為に、事業主と労働者の保険料が上がり、企業経営と財政の負担が増える事が考えられます。
これに対処する方法は、国民一人一人が健康になり、医療への過剰な依存を無くし、医療費の適正化を図る必要があり、前期・後期高齢者の人口増加減少が続く限り医療費の上昇続きます。
企業というコミュニティを活用し、個人のヘルスリテラシーの向上を図る事で、将来の自身の健康とその管理への意識と行動の質を高め、将来の日本と、企業経営の為の働きかけが必要と考えられます。
将来を見据えた「健康投資」と「健康教育」
◆健康投資とは?
「人」を企業・ 組織における貴重な「資産」と考え、従業員の健 康の維持・増進を「人的な資本」に対する積極的 な「投資」として捉えていく考え方です。そして、 こうした「投資」については、適切に実施すれば、 プラスの収益を生む可能性が高い(健康関連コス ト全体の効率的・効果的縮小につながる)とされ ています。超少子高齢社会、人口減少社会に突入 した日本において、こうした発想は特に大きな意 義を有していると考えられます。
(出典:厚生労働省保険局-コラボヘルスガイドライン)
◆健康教育とは?
健康教育おける最大の目的と期待する効果は参加者の「ヘルスリテラシーの向上」です。ヘルスリテラシーとは健康に関わる情報を正しく理解、評価し活用する能力の事です。健康に関しての情報が氾濫する現代において、専門家でなくてもテレビや雑誌、インターネットを通じて無数の関連情報にアクセスできるようになりました。しかし、残念ながらその中には間違った内容や質の低い情報が紛れており、自分にとって重要な情報を選択し、利用できる能力が必要となっています。
そして、個人のヘルスリテラシーが低い事は、危険な行動や不健康な行動を選択し、健康状態の悪化をもたらす事が示されています。
(参考出典:WHOヨーロッパ事務局)
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